伊達政宗のお墓が改葬(昭和49年)されて、調査によって、彼の頭蓋骨や骨から
いろいろわかったそう。頭蓋骨から「顔」が復元、身長など身体の特徴がわかった。
身長は、159.4センチで現在の日本人からすれば10センチほど低いが
当時であれば、平均らしい。
興味を引くのは、「独眼竜」と呼ばれる正宗だが、眼窩(がんか)には「異常」が
なかったとのこと。
このようなことを聞くと混乱してしまうが、歴史とは「通説」を完全に信用しては、
いけないもの、らしい。
(骨は語る 徳川将軍・大名家の人びと 鈴木尚著)
さて、龍馬の生まれた町記念館に「広井勇」のポスターが、貼られている。
広井勇のことに少し触れたい。
■山に向かいて 目を挙ぐ 工学博士広井勇の生涯:高崎哲郎著 鹿島出版会
(2004年2月発行)より
<序にかえて>より
・「広井君の事業よりも、広井君自身が偉かったのであります」
広井勇の終生の知友・内村鑑三(宗教哲学者・文明批評家)は広井の葬儀に臨んで
こう断言した。私は、内村の心友と永別する惜別の情と慟哭それに鋭い人間観察に
肺腑をえぐられるような感動を覚えることを常とするが、同時にこれ以上の簡潔に
して明瞭な「広井論」を知らない。
札幌農学校(北海道大学の前身)入学以来、半世紀を超える知識人同士の厚情は、
「ホモ・フアーベル」たる土木技術者・広井勇のいきざまの本質を鋭く突いている。
広井の六七年間の生涯は、日本の近代土木界の揺籃期における先駆者として、ひと時も
休息を許さない刻苦勉励のそれであった。
それは彼自身が希求したものであるとともに、日本という「遅れて来た近代国家」の
宿命を背負わされた結果ともいえよう。彼は与えられた事業をすべて完璧に完成させた。
その記念碑ともいえる土木事業は、港湾として、橋梁として、水害のない河川として
、ダムとして、全国各地に残されている。今日においてなお、光芒を放ってやまない。
疑う者は小樽港を訪ねよ。また、学会、官界、実業界への貢献も一頭地を抜いている。
だが彼の生涯の何物にも代えがたい最大の功績は、多くの優れた門弟たちを育て社会に
送り出したことではないだろうか。広井が師と呼ぶべき人物、それは札幌農学校時代の
ウイリアム・ホイーラーをはじめ少なからざる人物がいる。知友も少なくない。
が、しかしそれ以上に氏を恩師と呼び慕う人々ははるかに多かった。私はかって
「評伝 技師 青山士(あきら)の生涯」(講談社)を刊行したが、広井門下である
クリスチャン技師青山士の生涯は広井と内村の影響を抜きにして考えることができない。
青山は広井が独力で開いた孤高の道を誠実に歩み続けたのである。
・・・。
広井をはじめ内村(鑑三)、新渡戸(稲造)、宮部(金吾)ら札幌農学校同期生は
言葉の正しい意味で「エリート」であった。
「選ばれた者」であった。それ故に、彼らは”noblesse oblige”(ノーブレス・
オブリージュ、高い身分に伴う徳義上の義務)を果敢に実行することを宿命付けら
れた。
幕末に生まれ昭和期に他界した彼らの人生は壮絶な戦いであった。何と戦ったのか、
それを解明することが本書のねらいのひとつである。
・・・。
「学術論文や設計図にはオリジナリテイ(独創性)がなければならぬ」
広井の門下生に対する忠告である。
・・・。
※根木のコメント:
・赤字は、根木によるもの
・佐川町立:青山文庫で「広井勇展」開催中 12月15日~25年3月31日
2月3日(日)講演会あり:高橋裕(東大名誉教授など)
佐川・桜座13時30分~
・広井勇:上記の伝記では『いさみ』となっている。
また、「広井」は、「廣井」が正式な名称だそう。
ただ、高知県人名事典では、廣井勇(いさむ)と呼んでいる。
広井の曾祖父「廣井鴻(こう)」について、高知県人名事典を見ると、つぎのように
紹介されている。
■廣井鴻(1770~1853)
和算家、字は千里。号は、遊冥(ゆうみょう)。通称、喜十郎。
明和7年10月15日、高岡郡佐川村(佐川町)に生まれた。父は 徳。
家は深尾家の臣。17歳で仕官し高知邸で兵学、のち文学教授兼算学の師となり、
また刀槍の術も教えた。
のちに佐川に帰り名教館(めいこうかん)助教、教授、君公の侍読をし、算数の
教授となり、多くの門弟を育てた。積年の功労により、天保7年(1836)
禄10石加増。
嘉永6年9月11日没。84才。墓は佐川町松尾山麓。
※根木のコメント:
・広井の祖父は、「廣井勘左衛門」といい、儒学者だったそう。
・広井勇の叔父は、片岡利和(勤王の志士)。また、田中光顕とも親戚関係になる。
・入学が難関だった札幌農学校の「土佐ボーイズ」と呼ばれた人たちについては、
次回に。
片岡利和については、次回にでも。
根木勢介 携帯:090-2825-2069
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