Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

うとてとこ

2010-02-27 00:02:46 | 国語
 野口芳宏氏の実践の追試,「うとてとこ」の授業を行った。
 授業参観である。3年前も1年生の授業参観でこの授業を行っている。
 1年生相手に授業するのは,2回目である。

 第3連の最後の1行を創作させた際,次の意見が出された。

 ①たべるんだ
 ②あそんでる
 ③はなししてる
 ④あそぶんだ
 ⑤おままごと
 ⑥うたうんだ
 ⑦あるくんだ
 ⑧はしるんだ
 ⑨なべでにる
 
 消去法によって絞っていった。

 真っ先に消されたのが③である。
 理由を問うと,「リズムが合わないから」「5文字じゃないから」という。言語感覚がしっかりと養われていることが分かる。
 
 次に①②④⑥が消された。
 「ことこと食べる」「ことこと遊ぶ」「ことこと歌う」という日本語はおかしいという。
 
 そして,⑦⑧が消された。
 「とことこ歩く」とは言うが,「ことこと歩く」とは言わないとの理由である。この意見を出した友達は,「ことこと」と「とことこ」を混同しているのではないかというのである。
 
 最後に代表の子に音読させていると,予想外のことが起こった。
 音読のリズムに合わせて数名が手拍子をし始めたのである。
 やがて全体に波及し,最後は全員で手を打ちながらの音読で締めくくった。
 七・五調,八・五調のリズムを十分に味わい,楽しんでいる証拠である。
 今まで何度か行っている授業であるが,このような反応は初めてであった。
 
 初めは分からなかった「うとてとこ」の意味がすっきりと分かるようになる。
 どう読んでいいか分からなかった出鱈目な読みから,望ましい読み方へと変容する。
 リズムや響きを味わう。
 第3連の最後の行を創作し,音数律や文脈に合うように補う。
 
 「うとてとこ」の授業は,まさしく向上的変容が保障される授業であるといえる。