こんなので回って来たようだ。
角に噛んでるの。俗称神田川。
当然マッセカーブで狙ったものの
二口の虎徹。
こちらは30年以上前のシャフト。
これよこれ!
まだ文化は継承されている模様。
Meucci Pool Cue Restoration Part 1
キューのクリア塗りにはいろいろな
方法がある。
これは現在アメリカなどで一般的
になったエポキシレジンとCA(シ
アノアクリレート)によるクリア
コーティング方法による作業動画。
CA塗装は、1980年代には一般的で
はなく、ボブ・ランデ等のバット
を硬めに固める設計思想のごく
一部のキュービルダーしか採り入
れていなかった。
現在ではレジンコートと共にCA
塗りはキューメイキングで一般的
だ。シアノとは瞬間接着剤。
それを薄めた溶剤をキューに直接
垂らして、手で広げて、硬化促進
剤の水分を噴霧してカチカチに
固める。それを何度も繰り返す。
そして旋盤を使って研磨して行く。
ここでは古いメウチのキューの
リフィニッシュリペアをしている。
キューをサンディングして下処理
した後に、二液性レジンを塗る。
ゴム手袋をした手でそれを
伸ばして行き、固まったら
サンディングする。
キューをよく拭いてから、CAを
直接垂らしていく。
効果促進水分を噴霧。
これをこれでもかという位に
繰り返す。
なぞの湯気が出ている物体を
布に巻いて水蒸気をあてている。
ドライアイスかも知れない。
何度も何度もこのCA塗布工程
を繰り返してからカチカチに
固まったらサンディング。
キューを高速回転させながら
研ぐが、決して編摩耗研磨に
ならないように縦研ぎ主体。
ずっと縦研ぎだったが、#1000から
回転横研ぎ。
この職人さんは#1000で研ぎを
終えてコンパウンドに入るよう
だ。
私の場合は#4000まで研いで
からコンパウンドに入る。
コンパウンドで均し研磨の後
にはもうワックス。
私の場合、番手の異なるコン
パウンドを3種類使用する。
ワックスポリッシュ。
完成との事だ。
メウチキューの場合、元々が
バットに腰が無くビヨンビヨン
なので、レジンとシアノで固
めるシールド構想は、もしか
すると功を奏するかも知れない。
ただ、TADのキューなどに固め
方向のクリア塗りは✖だ。ウレ
タンでさえ、ウレタン厚塗り
したTADはもはやTAD本来の
能力は喪失している。
TADコハラさんがなぜあれ程
までにラッカーにこだわった
のか。
それはストラディバリウスを
ウレタンやシアノ塗りしない
のと同じ意味だからだ。
出来る事ならTADはシュラック
を本当は使いたかったのでは
なかったろうか。ストラディ
バリや歴史的名作楽器がそう
であったように。
保護被膜という塗装面の物的
能力だけをみるならば、科学
的に開発されたウレタン等の
人工塗料に軍配が挙がる。
だが、「木を十分に動かし、
呼吸もさせて、木の質性を
殺さない」となると、どうし
てもウレタンやエポキシでは
難がある。
また、天然素材であっても
漆器のようにカチカチ固め
の完全コーティング目的で
作用する物はTADのキューの
製作思想や目指すところの
キュー作りには適さない。
例えばバイオリンや生ギター
を漆で塗り固めたらどうなって
しまうかは想像がつくだろう。
TADキューにウレタン厚塗り
は御法度なのだ。
キューリペアでは見た目の
表面的な綺麗さのみ追って、
TADキューの何たるかの知見
を巡らさないために、TADを
TADでは無くしてしまってい
るリペア業者ばかりだが。
TADが古くなって真っ黄色に
黄化してリペアするならば、
TADと同じ塗料で同じ塗り方
で復元しないと本当本物の
リペアにはならない。
また、見せかけの綺麗さを
以て「リフィニッシュ」とは
到底呼べない。
まず100%間違いなく、そうし
て綺麗に仕上げられたTADは
従前のTADの撞球性能を大幅
に下回る現実を有している
からだ。
見た目が綺麗になったからと、
それはリペアではなく、劣化
させた事になるのである。
塗装がいくら綺麗でも、塗装
により走らなくなったレーシン
グマシンをありがたがっては
本末転倒だ。見せかけが綺麗
でも、キューをぼっこした
(埼玉弁でぶっ壊した)のと
同じだからだ。
ただし、カメルーンのブビンガ
などの銘木は乾燥により反り
やすいので、ウレタンでの木の
封印が必須となる。クリアに
より外気と遮断する。
木材によってクリアコート塗装
の種類を選ぶ事も大切だ。
最近合衆国等ではCA塗装が
流行しているが、バットは
これによりかなり硬くなる。
硬かろうが柔らかろうが、
キューのバットにとって一番
大切なのは「腰がある事」
である。硬度の強弱よりも
大切な要件がある。それが
腰。
もう一つは「振動収縮性」だ。
いつまでもブオンブオンと
揺れているバットは良くない。
シュンと一瞬で振動が中央
に集まって尻に抜けるような
バットが道具としては優秀で
あると断言できる。
それの微細な差異をテスター
は体感して、きちんと的確に
適切に解析できて説明できな
いとならないのだが。
この振動収縮性については、
シアノ塗りはキューによっては
好結果をもたらす事もある。
また逆もあるので、早計に
シアノやレジンやウレタン(やや
弾力あるが割れ剥がれを起こすの
でやはり固める系に類別される)
が良い物とは断定できない。
ラッカー(アクリル、シリコン、
シュラックニス等)のほうが
キューによってはずっと適し
ている場合も多い。
クリア塗装がキューに及ぼす
影響というのは、キューの
クリアを剥がして丸裸にして
撞いてみれば即感知できる。
まるで別物のキューになって
いるから。
そこからどういう方向に持って
行くかの計画によりクリア塗料
は選択されるべきである。
ウレタンが一般的なのは、ウレ
タンは木を封印するが、適度
に弾力も残し、カチカチに固め
ないからだ。なので普及版の
アコースティックギター等に
もウレタンが使用されたりす
る。
ただし、木材を完全封印せずに
呼吸をさせながら、かつ木の
動きや特性を最大に生かすの
がラッカーニスだ。
最高の物はシュラックだろう。
だが、化学組成のラッカーで
も相当(というかかなり)使え
る物もある。キューのクリア
塗料として。
そしてキューは実によく働く。
これは木材の質性にもよるのだ
が。
キューのリペアのクリア塗装は、
なんでもかんでもウレタンで
見かけを綺麗に塗ればよい、と
いうものではない。
特にカスタムキューは、原本の
製作者の意図を無視する塗料
選択は、作者の職人魂を踏み
にじるものだと私は思う。
極端な例がTADのようにバットが
よく動いて働くキューのリペア
リフィニッシュとしてガラスコー
ティングをするような例。
これなどは最悪だ。
キューのリペアは日本刀の研ぎに
似ていて、その作品の持ち味を
引き出してやり、ネガティブな
部分を伏せてやるのが日本刀の
研ぎというものだが、キュー
リペアもそのような面が強い。
心至らせないと業としてはでき
ない仕事だろう。
プロの人たちに問われ求められ
るのは、そういう高度な領域で
の仕事の達成を依頼者に提供
する事で、厳しい世界の仕事
であると思える。
エポキシ、レジン、CA塗布処理
は、キューにおいては、「硬く
する」クリア塗りであり、コー
ティングを超えて「シールド」
の領域に分類上入るのではと
思われる。
迷彩ネコ。
プチ保護中。
どうにか触らせるようになったが、
ただ、完全保護に至らずも、雨除
TAD風のスロットリングがある。
右の作は、入手して研ぎ上げて
中で近藤勇が上洛前に江戸の
愛宕下日陰町の刀屋で入手し
た虎徹とされた清麿のような
作だ。
よく似ている。