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渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

そこらにあるナイフ

2020年10月11日 | open

 


私の家には、ナイフ保管箱の
中以外にも
そこら中にナイフ
がある。
まるで、部屋中あちこちに拳
銃を置いて
いる傭兵キャット・
シャノン=キース・
ブラウン
のように。
 
これらはリビングテーブルと
パソコン周り
に転がっている
ナイフで、
手持ちフォール
ディング・ナイフのうち
ごく一部だ。


気に入っているナイフがある。
これは古い。世の中にまだラ
イナー
ロックが無い頃の製
品だ。鳥取市内で1998年
購入。非常に良い。


角度によって小刃が無いように
見えます
が、小刃付けてます。


そしてASPENと同じジェス・
ホーンタイプ
のICカットの
ナイフ。こちらはまたさら
古い。しかし、大切にし
ている。
同タイプを2丁持っている。
これは愛着が
ある。


こちらもベタ研ぎではなく
小刃を付けて
います。


このASPENとICカットの2丁の
ナイフの
良い所は、ブレード
がホローグラインド
ではない
点だ。
ややハマグリ気味のフラット
グラインド
になっている。
今、このようなフォールディ
ングナイフは
殆ど見ない。
何でもかんでも中肉えぐり

ホローにしてしまっている。
シースナイフでもそうだ。
ごく最近売れ出して来たブッ
シュクラフト
ナイフ以外は。
コンバットナイフでさえホロー
グラインド
にしていたりする
風潮があり、かなり視野
狭窄になっている。
 
1980年代中期からつい先年
まで、ナイフ
=ホローグラ
インドがスタンダードであ
る、みたいな風潮が日本だ
けでなく世界
中にあった。
これはもう完璧に「流行」と
いうもので
あり、実用的見地
からも、その流行
追いの全
員が右ならえの追従とい
うよう
な風潮も、私は大
嫌いだった。
ここほんの数年で、日本では、
ナイフが
アウトドアやキャン
プで広く認知されて
使われ
始め
るようになり、ナイフ
による
ハードな使用方法も
やられるようになっ
た。
元々、トレッキングやファミ
リーキャンプ
派ではない本格
派はナイフなどは昔から
使い
倒し
ていた。ナイフで缶切
りもやる
し、薪も割るし、
丸太の打撃切断(チョッ
プ)
さえ
やっていた。当たり前
のように。
沢登りでも滝を巻くヤブコキ
には長いマシ
エットを使って
いたりもした。山刀とい
う刃
物だ。
 
ここ最近のキャンプブームの
唯一良い点
は、ナイフをハー
ドに使う事を知る人た
ちが増
えたので、頑丈で木を削りや
すい
ナイフの優位性を少しば
かり知り始めた
ことだ。
ホローグラインドはデスク
ナイフ、もし
くは、製作者の
削り技法自慢のための物
であ
り、刃物としては絶対に全方
位的に
良くない。
やり始めたのはラブレスであ
り、ラブレス
がやることは全
て正しいのだとする後進者

ちが全員真似をした。
また、ラブレスタイプだから
と、ホロー
グラインドの中肉
えぐりのナイフは売れに
売れ
た。
そのあり方に異を唱える製作
者や販売店も
あるにはあった
が、業界からは無視され
た。
フラットやハマグリでは売れ
ないから
だった。
 
今は、日本においては完全に
逆転した。
特にシースナイフではハマグ
リでなくば、
という風潮にな
って
きている。
また、独自路線を頑なに守っ
ていた北欧
ナイフの人気が高
まってきて、セイバー
グライ
ンドに新たに「スカンジグラ
イン
ド」という分類呼称が登
場して使われ始め
ている。
 
北欧ナイフはフラットフェイ
スだが、全体
の形状は日本刀
に酷似している。
また、頑丈さと木片の削り易
さで人気うな
ぎ上りのコンベッ
クスグラインド=ハマグ
リ刃
は日本刀そのものの平地断面
形状だ。
実用性の高い北欧ナイフは、
そのスタンス
を世界の流行に
流されず頑なに守って来
た。
日本刀がかつてそうだったよ
うに。
 
そして、北欧ナイフは極めて
廉価である。
最近のブームで、目を着けた
日本の業者
がエコノミックア
ニマルの触手を伸ばし
始めて
いるが、ニッポンアキンドの
商業
主義に絡め取られて北欧
ナイフが筋違い
の高値に吊り
上げられないことを願う。
ラーメンが庶民の食べ物だっ
たのに、儲
かるからとどん
どん値上げされたように。
1杯1000円近いラーメンやお
好み焼き等は
本来あり得ない。
今、2ストバイクが足下を見
た業者によっ
て異常に金額が
吊り上げられている。
2スト250のKR-1などは、売り
出しが同
個体であるのに、1年
前に50万円だった
物が半年前
に70万にされ、昨日確認した
ら同じ売れ残りが100万円に
されていた。
全く同じ個体だ。
これは商業主義による相場操作
である。
カワサキが250の4気筒を発表
して、再び
クォータースポー
ツブームが再来する事を
見越
しての先物買いのような金額
相場の
意図的な吊り上げだ。
しかも暴利を以っ
て。
儲けることは商行為なので悪く
はない。
いくらで売ろうが、買おうが
勝手だ。
しかし、儲け第一主義は、業
界を結果と
して失速させる。
これはどの業界にあってもだ。
ナイフもその例に漏れず、バ
ブルに踊り、
そして谷底に落
ちた業者をよく見た。
横浜のある業者などは、バブル
期には
一等地にギャラリーも
構え、札びらを切っ
て夜の街
に連夜繰り出していた。
ナイフはナイフであるという
だけで売れ
た時代があった。
そして、残念ながら、専門誌
もカタログ
雑誌に成り果てた。
骨のある掘り下げ誌面
はだん
だん無くなり、一冊まるごと
新作
広告のような記事で飾ら
れるようになっ
た。
やがて、光ある歴史を担った
その
ナイフ専門誌は廃刊にな
った。
日本経済がどうのではない。
目先の利益
追求主義の業界に
追従したからだ。
 
ホローグラインドにはホロー
グラインド
の利点もある。
しかし、何でもかんでもホロ
ーにしさえ
すればよしとする
全世界(北欧のみ除く)
の30年
間の風潮は、私は「人類史に
おけ
るナイフ混迷期」であっ
たと俯瞰してい
る。
そして、タクティカルナイフ
ブームも、
「使えない仰々し
い見てくれナイフ」で
あるこ
とは間違いないので、あれも
人為的
に作為で作られた「虚
飾のブーム」である
と一刀両
断できる。
ごく最近での同種の危険性は、
人気ユー
チューバーの本意と
実力を解せず、何でも
かんで
もマイクロベベルを落とせば
良いと
か盲信している思考停
止が広がりつつあ
る事だ。
こうした一面的な固定観念で
の決めつけ
は、人類史的には
発展も進化も得られな
い。
ナイフは使用状況や想定によっ
て刃先や
断面を形成するのは
当たり前の事だ。
どれもが外科医が使うメスや
使い捨ての
カッターのような
物であるべきとする一面
的な
固定観念での決めつけは、刃
物の可能
性を封殺することで
あり、そうした
狭い観念を正
しいとする自己絶対唯一主
視座は、私は完全に全
否定する。
 
現今の軍幕張りによる野外宿
泊活動のブー
ムが、単なる
レジャーキャンプやファミ
リーバーベキューの豪華版
になったりせず
に、しっか
りと地に足を着けた自然親睦
活動、自然から大切な事を学
ぶ教育活動
となることを願う。
本来、キャンプというものは
教育活動の
一環として世界中
で親しまれて来た。
森で学び取った事は、ゴミと
一緒に持ち
のだ。
そして、日々の暮らしの中で、
人間社会
を見つめ直して行く。
野外活動で楽しむのは大いに
いい事だ。
しかし、キャンプやブッシュ
クラフトは、
単なる遊興行為
ではないのだという大切
な事
を知ろう。

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