岸惠子著『岸惠子自伝 卵を割らなければ、オムレツは食べられない』を
読む。装幀・装画はお嬢さんのデルフィーヌ。
この自伝にはさまざまな逸話が描かれている。
知っているのもあるが、知らないものも多かった。
たとえばスリランカのヴァカンス中に、現地で岸信介にパーティに
招かれるが断った話。
本名を芸名にするのは、親がつけてくれた名前を呼び捨てにされる
ことだと断った話。(結局は聞き入れられなかった)
作品を選ぶ権利を勝ち取るために、女性だけのプロダクション
(にんじんくらぶ)を創った話。
イスラムの地で写真を撮り、刑務所に連行されそうになった話。
時に過酷な環境の中でも、国際ジャーナリストとして活躍している。
その逞(たくま)しさと勇気に読んでいてスカッとする。
デルフィーヌも冒険好きで行動的だ。
母と6歳しか違わないのに、なぜ当時からこのような自立した
生き方が出来たのだろう。
横浜の裕福な家庭の一人娘として育った。
自由な家風が、自立心やのびやかな性格を育んだのだろう。
私は彼女の、大らかで人を疑わない、人が何と言おうとわが道を行く
芯の強いところが好きだ。それでいて愛くるしいコスモポリタン。
彼女を知ると、誰もがファンになってしまうのではないだろうか。
あるコメント欄に、襟の合わせが開きすぎだと書いた人がいた。
私は「貞淑な妻でございます」といった襟の合わせが、私は嫌いだ。
この本の中でもそのことを話題にしている。
「細雪」の監督・市川崑が次のように言っている。
「着物の着方が最高だよ、ぞろっぺでだらしがなくて」
「先生!それ誉(ほ)め言葉?」
淀川長治も
「僕は昔からあの人のことを”おひきずり”と言ってるんです。
つまり、昔の女郎さんみたいに着るでしょ、いいんだなあ。
自然で、そのくせ色気があって、女らしくて」(引用ここまで)
他の女優が真似をしたら、だらしのなさだけが際立ってしまうだろう。
あのスタイルのよさと気品があればこそ、くずして着ることができるのだ。
これまでに観た作品は、「早春」「かあちゃん」「おとうと」「約束」
「雨のアムステルダム」「悪魔の手毬唄」「たそがれ清兵衛」
「細雪」「怪談」「風花」「黒い十人の女」
「我が家は楽し」(岸惠子のデビュー作 YOU TUBEで観られます)
「マンゴーの樹の下で~ルソン島、戦火の約束」(NHKドラマ)
TBSドラマ 向田邦子終戦特別企画(すべて久世光彦監督、岸惠子が
主演しています。どれも素晴らしく、後世に残したい作品です)
第一弾「いつか見た青い空」
第二弾「言うなかれ、君よ、別れを」
第三弾「蛍の宿」
第四弾「昭和のいのち」
第五弾「あさき夢見し」
どうしても借りられないのは「雪国」と「亡命記」だ。
「早春」はデジタルリマスター版になっているのだから、
岸惠子の「雪国」もそのようにして、後世に残して欲しい。
それにしても、「早春」の岸惠子は美しいが平凡な顔をしている。
それがだんだんと歴史が刻まれ、今の顔になっていくのは興味深い。
2につづく
読む。装幀・装画はお嬢さんのデルフィーヌ。
この自伝にはさまざまな逸話が描かれている。
知っているのもあるが、知らないものも多かった。
たとえばスリランカのヴァカンス中に、現地で岸信介にパーティに
招かれるが断った話。
本名を芸名にするのは、親がつけてくれた名前を呼び捨てにされる
ことだと断った話。(結局は聞き入れられなかった)
作品を選ぶ権利を勝ち取るために、女性だけのプロダクション
(にんじんくらぶ)を創った話。
イスラムの地で写真を撮り、刑務所に連行されそうになった話。
時に過酷な環境の中でも、国際ジャーナリストとして活躍している。
その逞(たくま)しさと勇気に読んでいてスカッとする。
デルフィーヌも冒険好きで行動的だ。
母と6歳しか違わないのに、なぜ当時からこのような自立した
生き方が出来たのだろう。
横浜の裕福な家庭の一人娘として育った。
自由な家風が、自立心やのびやかな性格を育んだのだろう。
私は彼女の、大らかで人を疑わない、人が何と言おうとわが道を行く
芯の強いところが好きだ。それでいて愛くるしいコスモポリタン。
彼女を知ると、誰もがファンになってしまうのではないだろうか。
あるコメント欄に、襟の合わせが開きすぎだと書いた人がいた。
私は「貞淑な妻でございます」といった襟の合わせが、私は嫌いだ。
この本の中でもそのことを話題にしている。
「細雪」の監督・市川崑が次のように言っている。
「着物の着方が最高だよ、ぞろっぺでだらしがなくて」
「先生!それ誉(ほ)め言葉?」
淀川長治も
「僕は昔からあの人のことを”おひきずり”と言ってるんです。
つまり、昔の女郎さんみたいに着るでしょ、いいんだなあ。
自然で、そのくせ色気があって、女らしくて」(引用ここまで)
他の女優が真似をしたら、だらしのなさだけが際立ってしまうだろう。
あのスタイルのよさと気品があればこそ、くずして着ることができるのだ。
これまでに観た作品は、「早春」「かあちゃん」「おとうと」「約束」
「雨のアムステルダム」「悪魔の手毬唄」「たそがれ清兵衛」
「細雪」「怪談」「風花」「黒い十人の女」
「我が家は楽し」(岸惠子のデビュー作 YOU TUBEで観られます)
「マンゴーの樹の下で~ルソン島、戦火の約束」(NHKドラマ)
TBSドラマ 向田邦子終戦特別企画(すべて久世光彦監督、岸惠子が
主演しています。どれも素晴らしく、後世に残したい作品です)
第一弾「いつか見た青い空」
第二弾「言うなかれ、君よ、別れを」
第三弾「蛍の宿」
第四弾「昭和のいのち」
第五弾「あさき夢見し」
どうしても借りられないのは「雪国」と「亡命記」だ。
「早春」はデジタルリマスター版になっているのだから、
岸惠子の「雪国」もそのようにして、後世に残して欲しい。
それにしても、「早春」の岸惠子は美しいが平凡な顔をしている。
それがだんだんと歴史が刻まれ、今の顔になっていくのは興味深い。
2につづく