2011年10月中旬、秋が深まり池の回りのススキやチカラ シバは穂をつけ、木々も赤や黄、そして褐色に色づいています。
池には冬鳥でカモの仲間のキンクロハジロも渡ってきました。
今年7年ぶりに菊名池で子育てをしたバンも、枯れたヨシ(アシ)の茂みに隠れて、菊名池で冬を越しそうな様子を見せています。
キンクロハジロ
チョンマゲのような冠羽とオスに見られる白と黒のコントラストがかわいらしい冬鳥(冬の渡り鳥)のカモ。
羽を傷めた個体以外は春になると北国へと帰っていくので、群れは秋から春にしか見られません。菊名池には1980年代に初めて姿を現し、以後、毎年秋が深まると飛来するようになりました。
水中に潜って魚介類や水草を食べ、小さな声でクピッ、クピッ…と鳴きます。
バン
沖縄に国の天然記念物となっているヤンバルクイナという野鳥がいますが、バンは、このクイナの仲間です。ヨシ(アシ)やガマなどの茂みのある池でないと生息せず、昆虫や魚介類、 植物の種子などを食べます。
菊名池には1988年から生息し始め、以後16年の間、夏になると、毎年のように子育てを繰り返してきました。
2005年から2010年の間はガマ(ヒメガマ)の茂みが消失するなどしていたため、子育てをしなくなっていましたが、今年は7年ぶりに子育てをしました。
今の様子だと枯れたヨシの茂みに隠れて、菊名池で冬を越しそうです。
センダングサ
似た種類がいくつかあるのですが、これは在来種のセンダングサ。キク科の1年草です。冬になると細かなトゲのついた種子がなり、衣服にくっつきます。
昔の子どもたちはこれを面白がり、小学校の帰り道に種子を取って友だちと投げっこをして衣服に付け、ひっつき虫と言って遊んでいました。
こうして遊んでいた大人の方たちにとっては、思い出深い 植物だと思います。
ススキ
乾いた土地に生えるイネ科の多年草。
昔の人里(里山あるいは谷戸)には、雑木林とともに茅場と呼ばれるススキの草原がありました。年に1度、茅場から刈り取られたススキは、かやぶき屋根の材料にされていました。
また秋のススキ草原は月とともに鑑賞の対象となったり、 ススキを切り取ってお月見の飾りつけに使われたりと、日本人の暮らしに深く関わってきた植物です。
チカラシバ
イネ科の多年草で、ススキとともに秋の風物詩となって います。
しっかりした草で、引き抜こうとしてもなかなか引き抜けなかったり、柔らかそうに見えても茎を手で引きちぎったりしにくいことから、この名があります。
このように丈夫なのですが柔軟性もある草なので、昔はワラジの材料の一つとなっていたそうです。
ミズヒキ
雑木林の日陰に生えるタデ科の多年草。
冠婚葬祭などの際に和式の贈り物に付けられる、飾りひもの水引に似ていることから、この名があります。
写真の赤いツブツブが、一つ一つ小さな花になっています。
この花は上から見ると赤く見えますが、下から見ると白く見えます。こうしたことも、めでたい時に使われる紅白の水引に見立てられています。
イヌタデ
昔の子供たちは、イヌタデの花や実の赤いツブツブをままごと遊びで赤飯にしていたので、「赤まんま」と呼ばれて親しまれてきました。
「タデ食う虫も好き好き」ということわざのタデは辛みがあって薬味になるヤナギタデのことです。イヌタデは辛くなく薬味などにはならないことからイヌタデといいます。
人間には特に実用の価値がない生きものには、どういうわけか、よくイヌ(犬)~~という名がつけられています。
タデ科の1年草で道端に生えます。
エノコログサ
イネ科の1年草で、似た種類がいくつかあります。
穂が犬の尾に似ていることから、犬っころ草と呼ばれていたのがなまってエノコログサになったと言われています。
茎を引っ張るとスッと茎が抜けます。それをネコの目の前で揺らしてやるとネコがじゃれつくことから、昔はネコジャラシという別名でも親しまれていました。
カラスザンショウ
自然に発芽した小さな苗が菊名池公園内でもいくつか見られますが、育つと15mくらいの大きな木になります。
菊名池公園で幼木が見られるのは、大きく成長して実を成らす木が菊名や篠原の町にも生えていて、その実を食べた鳥が 種子を運んでくるからです。
写真中央に写っているのはアゲハチョウの幼虫です。
カラスザンショウは夏緑樹(落葉樹)で、秋が深まるにつれ葉を落としていきます。アゲハチョウの幼虫はそれまでの間に盛んに葉を食べて成長し、このカラスザンショウの茎でサナギになります。
ミカン科で、特に幼木にはするどいトゲがあるので気を付けましょう。