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絵を読む心、物語を描く心 『スーフと白い馬』

2012-07-21 23:55:29 | 絵本・児童文学
スーフと白い馬
いもとようこ
金の星社


 子どもたちに読んでもらいたい本について考え込む。自分たちが子供の時に名作だとされていた本を、子供たちはどう読むのか。例えば、日本の作品で、今の方が大人を中心に読まれている宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」。プラネタリウムでも、人気の作品となっている。では、山本有三の「路傍の石」や下村湖人の「次郎物語」などは、現代の子どもが読んで、どこまで内容、それと今とは違う日本の姿を読み取ることができるのか。外国の作品も同様だ。普遍的な内容とは何かとカンガエナガラもう古典と評価されている児童文学や、絵本を子どもたちが感動して読みきるかどうか考えている。

 知らない国の、知らない時代の民話や、昔話を読むことは、かえって自分のイメージで読めるから、絵本の場合は挿絵がイメージの手伝いをしてくれるから、子どもたちには読みやすいのかもしれない。

 モンゴルの民話なのだが、意外と古くから知られている少年と白い馬の馬頭琴の誕生をめげるお話。本書の魅力の一番のところは、作者の柔らかい絵である。子馬の時と成長した馬の白さが柔らかい光で輝いているようであった。少年のもとに逃げ帰った白い馬の血に染まった白と赤の悲しい姿が印象に残った。

 権力者も自由に出来なかった白い馬の心は、少年の優しい心につながっているからこそ、馬頭琴の誕生の話の物語としての真実性が担保される。また、理不尽な権力者への民衆の思いが、民話の中に生き続けている。

 登場する少年や白い馬の名前も、本によっては微妙に違う。絵本は、やはり、絵が大きな力を持っている。

スーホの白い馬―モンゴル民話 (日本傑作絵本シリーズ)
クリエーター情報なし
福音館書店




スーフと馬頭琴(ばとうきん) CDつき (モンゴル民話)
クリエーター情報なし
三省堂