干潟は、生物の宝庫である。バクテリアの排水の中の有機物分解から始まって、食物連鎖を見ることができる。また、干潟は自然の浄水場でもある。
悪名高い、諫早湾のギロチン水門を覚えているだろうか。次々と下ろされていく水門に、干潟の悲鳴が伴っているようであった。長い時間をかけて育まれてきた干潟は、死の海となり、浄化されていた水も腐っていった。自然を守ることの重大さを知っている人々の運動が起こり、水門を開けよという裁判所の判決を勝ち取った。しかし、政権交代で誕生した政権党は、醜い人間の利害を優先した。未だに水門は開かず、ムツゴロウたちの復活は腐海には見ることができない。
私たちの身近にも、開発の名のもとに破壊されそうな干潟が残っている。かつては干潟に覆われていた東京湾も、開発の後、さばぜ―三番瀬とその近くの浅瀬と干潟を残すのみである。
この小さなエリアの食物連鎖、生物の多様性を描かれた生き物たちの生き生きとした姿を、名前と一緒に記憶に残すこと。そして、愚かな人間の試みを止めさせ、一度死んだら蘇るのに長い時間が必要であることを、干潟の大切さを通じて子どもたちに読み取って欲しい。開発を推進する人々は、人工の干潟を作ることで反対運動を鎮めようとしている。自然の営みのどれほどを再現できると思っているのだろうか。
三番瀬の自然を守ろうとした人々の、運動の盛り上がりと結末もしっかりと書かれている。その記述もしっかりと読んで欲しい、未来のおとなたちn