かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

吾妻小舎のオヤジさん

2021-09-29 11:16:32 | 日記

     

浄土平のテント受付を行っていた吾妻小舎(あずまごや)のオヤジさんは親切で面白い。小屋の泊り客はいないみたいで、年恰好の同じオイラに明日山登って帰ってきたら話にこいと誘ってくれた。

オイラも、今宵の酒を仕入れる必要があったから、二日目下山して訪ねる予定でテントで着替えしていたら、100メートルは離れている山小屋方向から突然「〇〇さ~ん」と大声をあげてテント場のオイラの名前を呼んだ。「おお~っ!」と返答したら、向こうからテント場を訪ねてきて、着替え中のオイラにあれこれよもやま話をしてくれた。

(話はいいからビールを飲みたいので)「オヤジさんビールとワンカップあるか」と尋ねたら、「あるけど、1万円札じゃおつりがないから売れねえ」とプイと引き上げていった。あいにく、オイラは小銭を要していなかったのだ。

あきらめて、ラーメン食べて寝ようかなと思っていたら、また小屋方向から大声を振り上げて「○○さーん、酒いいよ~」と呼びかけてきた。

小屋まで行くと、ほかのテント客の受付を済ませ釣銭を用意できたらしい。(少しだけだと悪いので)缶ビール1缶、ワンカップ3缶しめて2000円分を支払って喜んでいたら、ナス漬けをつまみにとくれた。

缶ビールとワンカップ二つを飲んでいい気持ちで横になっていると、オヤジがまたやってきて缶ビール1缶をプレゼントしてくれた。テン場で、またよもやま話に花を咲かせていたたら、まじめな顔でことしいっぱいで吾妻小屋の管理をやめるのだという。「一度この小屋にも泊まってみたかったが、来年来たら誰か管理しているのか」と尋ねたら、「○○さん、あなたがやってくれ」などと冗談めいた答えをした。このオヤジさんのいうこと、ほんとかウソかは分からんが、憎めない性格でもあるし、「高湯まで迎えに行くから来週泊まりに来い」とまで言ってくれたので、「安達太良の縦走したいな」と思い付き、「翌日野地温泉まで送ってくれるのなら泊まりに来てもいい」といったら了解してくれた。

天気がおおきく崩れないようだったら、もう一度紅葉真っ盛りの東吾妻一帯と安達太良縦走にでかけてみようか。飯豊小屋の管理人もしていたというオヤジさんと東北の山の話で吾妻の夜を過ごすのもいいのだろう。

    

 オヤジにいただいたナス漬けで缶ビールとワンカップをいただく。その後、オヤジが持ってきてくれた缶ビールもまた飲み干す。


深田日本百名山登頂の思い出    19 飯豊山(いいでさん・2128米)

幾多の峰々で構成される飯豊連峰に、たしかに飯豊山という山名は存在する。飯豊本山とも呼ばれている主峰であるが、この山の標高は2105mである。深田百名山に表記されている2128米とは、飯豊本山より西に聳える大日岳の標高である。姿かたちも風格もオイラは大日岳の方が立派に思えるのだが、深田さんは、信仰登山の対象は飯豊本山であるという歴史を重視してこの飯豊本山を百名山とした。だったら、著書の標高表記も2105米とするべきであったが、不思議である。

深田さんは飯豊山の項の冒頭で「飯豊山というよりは飯豊連峰と呼んだ方が適当なのかもしれない。」と書かれているので、朝日岳という山が存在しない朝日連峰や蔵王山という山が存在しない蔵王連峰とちがって2128米と表記することに違和感があったので、このように書いたのだろう。

飯豊本山、たしかにどっしりとした風格があり、本山とするに異論はないが、オイラの心の中では「飯豊いいで・いいとよ)と何だか分からない神さまの山よりも、大日如来を祀った大日岳のほうが「オシ」だ。主要稜線から離れ、すっくとそびえる孤高の山を愛す。

その飯豊山だが、深田さんの日本百名山中、わが人生において初めて登った山。昭和47年の夏、当時在籍していた高校のワンゲル部の夏合宿で「連れられて行った」山だ。このワンゲル部は、朝日連峰と飯豊連峰の縦走を毎年交互におこなっていたが、オイラは、高1の秋から高2まで、この部に在籍していたので、朝日連峰合宿を体験していない。しかし、たった1度の体験でも、世の中には森林限界を超えるいわゆる雲上の世界というものが存在し、夏でも残雪を豊富にたたえ、高層湿原にお花畑が広大にひろがる浄土的風景を目の当たりにしたたことが、つまらない存在であってもオイラの人生を決定づけたことは間違いなく、飯豊は、大げさだがオイラにとって生みの親的存在なのだ。

だが、朝日連峰でも言ったように、飯豊の主稜線を踏んだのは夏合宿をいれて4回程度しかなく、5回目とした一昨年は、稜線を踏む前に左ふくらぎ肉離れのため敗退している。

浄土で生みの親に再び面対するためには、テントザックで倍のコースタイムを歩いている現状の体力では心もとない。あらためて体力増強と減量に努めなければならない。夏のある日、再び孤高の大日岳の山頂に立って日本海に沈む夕日を眺めていたい。

   

        船形山からの飯豊連峰(2019.5)

   

            安達太良山からの飯豊連峰(2019.6)

         

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