晴れ渡った四月第二の日曜日、春の18キップの最後の使い道として、かつて二度跨いだ最上の山刀伐峠の赤倉温泉に垢を落としにいく。思えば、この春の18キップの旅は、30数年ぶりに、かつて住んでいた南紀のローカル線から始まり、賢治さんゆかりの小岩井農場や鉛温泉を再訪するというノスタルジーの旅であった。
この先も、18キップの使い道は、まだ見ぬユートピアなる場所に足を向けるよりも、青春回収の旅になるのかもしれない。
赤倉温泉の帰路、雪解けの田園の西方に最上のアルプスとも名付けたくなる神室山~小又山~火打山の白い尾根が輝いていた。30数年前八戸の山岳会の仲間と歩いた尾根だ。右手の神室があんなに立派な山だったとは知らず、ただ仲間の背を追って黙々と歩いていたな。
なつかしのふるさとの山も、回収に向かわなければ。