沖縄本島から約340km離れた北大東島を訪れた際、何かの説明書きで、大東諸島は、数百万年(だったか)の間に、南太平洋のインドネシアあたりから少しずつ移動してきて現在の位置にあるということを教えられた。今でも年に7センチくらい北東に進んでいるとのことで、いつかは日本海溝をはさんで本土に接近するのだろう。あのハワイ諸島も少しずつ日本列島に近づいているらしい。太平洋プレートにのっかっているせいだろう。だが、太平洋プレートは、日本海溝でユーラシアやフィリピンプレートの下に沈み込んでいるとのことであり、〇〇万年後、大東島もハワイも西から崩れ、海中に沈み込んでいくのだろう。(と想像する。)
今朝の朝日新聞のトンガ噴火に関連した「プレート運動と火山・日本と成り立ち似る」という記事を読むと、トンガ諸島は、日本や米大陸、インドネシアなどと同じ環太平洋火山帯の一部だそうだ。トンガも日本も、米国西海岸も、ペルーもチリも、太平洋を馬蹄型に囲んで手を繋いでいる、いわば隣人同士だ。
その環太平洋火山帯の歴史をみると、ニュージーランド・タウボ湖(2万6500年前)の噴火はVEI8(火山爆発指数1~8・8が最高1単位ごとに10倍の噴出量)、インドネシアのトバ湖(7万年前)VIE8などの超巨大噴火が記録されているが、この噴火で、生物の多様性が急減し、絶滅の危機をもたらしたという。(平均気温が10℃以上下がったとの報告もある。)
近年では、欧米で「夏のない年」とされたインドネシアのタンボラ山(1815年)VIE7や日本でも記録的冷夏の原因となり、あのタイ米輸入騒動となったフィリピンのピナトゥボ山(1991年)VIE6の例もあり、いずれも巨大噴火が起きると寒冷化という結果をもたらしている。
オイラは、賢治さんの「グスコーブドリの伝記」を読んでいたので、噴火すると火山ガスに含まれる二酸化炭素が増えて、地上の熱を貯めこむ「温室効果」により地球が温暖化する、(物語では、ブドリの犠牲により冷夏の危機が救われる)ものと思い続けてきたが、巨大噴火により、火山ガスに含まれる硫化水素や二酸化硫黄が太陽光に反応して小さな粒の硫酸エアロゾルとなって太陽光を跳ね返す「雨傘効果」をもたらすそうで、それが寒冷化の原因になるのだという。
こういったピナトゥボ山などの例などから噴火は「寒冷化」をもたらすということが世間の常識となっているが、賢治さんの名誉のために言っておくと、火山学者さんの説明では、この「温室効果」と「雨傘効果」は、火山ガスの構成割合によって、どっちに転ぶか断定できないとも言っており、賢治さんが童話で間違ったことをいい加減に書いたわけではないと思う。昭和のはじめ、冷夏による凶作が続いていた農村事情と当時の科学的知見を踏まえたうえで、賢治さんは、「温室効果」でハッピーとなる結末を用意して、ファンタジーを紡いだのだろう。
朝日の記事は、日本でも9万年前の阿蘇カルデラ、3万年前の鹿児島湾・姶良(あいら)カルデラの噴火がVIE7、つい最近の7千年前には、九州の縄文文化を壊滅させたという同じくVIE7レベルの鬼界カルデラ巨大噴火が知られていて、「トンガの災害を他山の石として欲しい。」と結んでいる。
が、3万年や7千年って、48億年という地球の歴史から見れば、つい昨日のこと、日本列島と環太平洋の火山同士の距離だって、1日に千キロも旅する渡りの鳥たちにとっては、ほんのお隣ともいえる地理的空間。けっして「他山」とは思いたくない。
思えば、昨年から、阿蘇山の噴火、トカラ列島の頻発地震、大量の軽石漂着をもたらした小笠原諸島の海底火山など日本列島付近も不気味な予兆をみせており、もしや・・・と考えすぎてしまうが、残念ながら火山をブドリの世界のようにいまだ人類はコントロールできないのである。だが、地震と違って、火山は「地殻変動」や「頻発地震」など、なんらかの「予兆」はあるそうだから、「君子危うきに近寄らず」、「逃げるが勝ち」精神を維持しながら生きていくしかないのだろう。もしかしたら、トンガ海域のイワシやカニの大群やわずかの陸地に営巣していたアジサシ家族も、噴火の「予兆」を察して生き延びているのかもしれない。

こんなちっぽけな体で、シベリア方面からから何千キロも旅してきた「ツグミ」くんが広瀬川河畔で空を見つめていた。彼らが、シベリアに帰るころに、インドネシアやオーストラリア方面からアジサシなんかの夏鳥たちが渡ってくる。彼らにとって、地球って、小さな星なのだろう。
月間走行(歩行)距離
12日 0km 計72・36km 風雪のため戸外に出ず
13日 13.19km 計85.55km 明日から頑張る
14日 11.74km 計97.29km 青葉山散策
15日 0km 家を出ず
16日 0km 家を出ず
17日 9.33km 計106.62km 広瀬橋、ダイソー







