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かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

雨に濡れ続けながら下った開山の日の富士山

2021-07-02 08:18:49 | 日記

前日、麓の富士吉田市・北口本宮浅間神社(標高870m)を朝6時にスタートし、11時間後の午後5時に八合目の山小屋(標高3000m)に到着した。登山天気予報の「曇り時々雨」に反して、雨に降られることもなく、六合目からは、青空も現れてきて、2019年の登りを阻止した風もほとんどなく、八合目に到着した時は、山小屋は大雲海を眼下にしていたので、「ああ梅雨前線のお天気というのはあの雲海の下の世界のお話であって、3000m以上の雲上世界は予報と無関係、明日の朝もあの雲海の彼方から開山の日の御来光が仰げるだろう。」

営業を始めたばかりの山小屋の客は、たったの3人で、うち二人は明日の取材に来ていた静岡の新聞社の青年記者だったが、二人の青年に向かっていかにも富士山の「通」であるかのごとく、このように語った。

開山の日の午前零時、予定通り山小屋を出発するときには、6時間前に目にしたときと同じようにな雲海が広がっていて、「山頂に到着する3時30分過ぎには、気象薄明の仄かな明かりが雲海に確認され、4時17分ころご来光に向かって歓喜の万歳をするのだろう。」と明るい気分で、起きていてくれた山小屋の主人に挨拶した。

ところが、登りだして40分、あの雲海がにわかに黙々と湧き出し、天上からつめたい雨が落ちてきた。唖然として30分山小屋の軒先で雨宿りをしていたが、やまず。山頂は、まもなくガスに覆われて、あっという間に登頂意欲がそがれてきた。スマホの雨雲予想を見ておどろいた。大雨を降らせる紫や赤の雨雲がどんどん富士五湖方面に近づいてきた。

もう、「退却避難 即刻撤退!」を決意して雨具、スパッツと完全防護して、下山道を下った。この砂世界の下山道を選択したことを後悔した。ガスって足元しか見えないのでジグザクのどこで折れているのか不明になり、はては上下左右の方向感覚までも失われるような感覚に囚われて、立ち止まることしばし。時々現れる標識や、工作物に安心しながらトボトボと歩き、何とか危険地帯をする抜けた。その後も雨また雨の下り、9時間後の午前10時の開山祭が盛大に行われている北口浅間神社に到着したころには、雨具の下も靴の中もぐっしょり濡れて、靴擦れ、股擦れ、尻擦れ、低体温、散々パラやられていた。

「こんな形で、第〇の故郷、富士吉田とお別れせざるを得ないのか」と自問する。

「来年もどうだ」と、もう一人の自分がささやく。

吉田のうどんとお湯で回復し、富士山駅を後にした。

    

         6月30日、午後6時30分、山小屋の前に広がる大雲海

    

   同じ時刻、さらに高みを目指し登っていく登山者の頭上に青空。山頂が見えていて、だれもが明日の御来光を信じていた。


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