叙事詩 人間賛歌

想像もできない力を持つ生命の素晴らしさを綴っています !

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「目覚める人・日蓮の弟子たち」三十二

2010年08月03日 | 小説「目覚める人」

  法華経の行者 六  

 「はい、私は今はこの通り元気ですが、以前は病気がちで寝込む日が多く、つい
弥陀の救いを求めて念仏を唱えていました。
それが下総の伯母にすすめられて上人さまの説法をお聞きしたのをきつかけに、
念仏をやめ今は毎日題目を唱えております。」

 「ほう、それで念仏のかわりに題目を唱えられて、なにか違ったことがおありか
な。」

 「はい、題目を唱えるようになりましてから、それまで病気がちで心配性だった
のが、病気もしなくなりくよくよ取り越し苦労をすることがなくなりました。」

   「くよくよしなくなるとは。」

 「はい、くよくよ考えるより、自分がしなければならない事を毎日全力でするように
なりました。私がするべき事は、主人や子供が毎日元気でお勤めできるよう精一杯
心を配ることですが、そう心がけている内にいつの間にか病気がちだったのが治っ
ていました。主人は私が近頃随分明るくなったと言っております。」

かねがそう言った時だった。
館内の静寂を破って、何者かが廊下を走って来る音が聞こえた。耳を澄ますと本家
の方角から馬の駆ける足音が乱れて聞こえてきた。

  <何事か起きたか>

義昭がつと立ち上がった。その時廊下の仕切戸を開けて弥太郎が入ってきた。
 床に片手をついて礼をすると、

 「との、西の方で火事が起こりました。方角が大仏坂の方なので時孝さまが今、馬
で向かわれました。とのや義昭さまのお耳にいれるようにとのお申し付けでした。」

弥太郎は廊下に出ると西の方角を手で指した。

  「なに、火事とな。」

小源太が言う前に義昭は廊下に出て、西の空を見上げていた。小源太と三郎夫妻
も続いた。皓々とした冬の月明かりの中で、西の空に真っ赤に上がっている大きな
炎が見えた。杉の皮でもはじけているのか、時々赤い火の粉が炎の中に飛び散って
いるのが手に取るように分かる。

 「これはだいぶん大きいようだ。あの方角には寿光寺があるが、何か大きな建物
が燃えているみたいだな。」

 小源太は独り言のように言った。

つづく



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6 コメント

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入籍しました☆ (mei)
2010-08-03 17:42:58
小説の方、話が進んできましたね!
楽しみに拝見させていただいています。
こちらは連日暑い日が続きますが、
(11月頃まで夏です)
日本の首都圏も、暑い時期ですよね?
お体の方はいかがですか?

先日、彼の故郷へ行って入籍手続きを済ませました。あっという間に話が進んで、
まったく、我事ながら夢のようですが、、、
実は、私は婦人科系統に問題があって、子供は難しいのです。。。
そのことで、結婚は無理かなとも思っていたのですが、そんなこと気にしないという相手に出会えて、よかったのですが、、、
やっぱり、子供が欲しいですね。。。
もちろん、子供が無くても周恩来夫妻のような素晴らしい生き方をなさってる方も大勢いるので、それでもいいとは思うのですが、、、
祈るだけ祈ってみよう!と思うようになりました。。。
いよいよ人生これから新たなスタートですから、信心から離れないように、がんばります!
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コメントに謝! (katu)
2010-08-04 14:37:23
meiさん、コメントありがとう。

万事順調に進行している事を承りました。重ねて祝福申しあげます。
七月の日本は記録的な豪雨と、猛暑でみんなぐったりしています。

私は暑さにも負けず、叙事詩人間賛歌のブログ本の編集に精出しています。06年から07年に投稿した記事をカテゴリー別、日付順に整理して九月中には製本する予定です。いま半分くらいできました。

九月には、先生とアメリカの音楽家ハービー・ハンコックさんの対談「魂の人間賛歌」が聖教新聞にのりますので、私もかんばろうと思っています。

さて少し早走るるようですが、子供のことについて以前読んだユニークな記事を紹介します。
神奈川県に有名な産婦人科医院があります。年間千人近いアカチャンが生まれて、妊婦は順番待ちがたいへんだそうです。

そこの先生は自分の医院で生まれた子供が、無事成育するように見届けていることで知られています。

その先生がたくさんの子供と接するなかで子供からこんなことを聞きました。

ある子供は、「わたしは女優になりたいの、この両親なら私を女優にしてくれると思って、ここにうまれてきたの。」
別の子は、「この家はいつも楽しそうなな笑い声が聞こえるので、キット幸せになれると思ってここにしたの。」

全部ではないが一部のこどもは、自分の意思で親を選んだことをハッキリ言っている。という事実を発表して話題になったことがあります。

meiさんになにかの事情があったとしても、この両親のところに生まれて私の使命を果たしたい。という子が生まれてくる可能性はあります。

あきらめないで御本尊に願うことと、子供がきたくなるような魅力的な家庭を築いてください。

 頼りになるご主人によろしく、家庭,信仰、健康、どれも第一を祈ります。



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入籍おめでとう。 (katu)
2010-08-04 14:46:34
一番最初に書くことをうつかりしていました。順序が後になりましたが、入籍おめでとうございました。 katu
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素晴らしいお話ですね! (mei)
2010-08-09 19:28:02
素晴らしいお話にじーんときました。

>この両親のところに生まれて私の使命を果たしたい。という子が生まれてくる可能性はあります。
あきらめないで御本尊に願うことと、子供がきたくなるような魅力的な家庭を築いてください。

↑本当にそうですね。。。
ここ、二三日、些細なことで言い争ってるので、これではいけないなと思いました。
自分から折れると、相手も意外なほど変わったので、やっぱり「自分」なんだなと、つくづく思いました。
ちょっと、プライベートな空間で祈れない間取りなので、つい奇異に思われるのを恐れて、お題目が遠慮がちになっていたので、改めて信仰について話して、自分にとって祈りの大切さというものを理解してもらいました。
お題目根本というところが、私はいつも甘いんです。。。全ての原点はここなんですよね。

使命を果たしたい!と、私たちの家庭を選んで子供がやってきてくれるように、がんばります☆
本当に、ジーンと来るお話、ありがとうございました。

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そちらは大丈夫ですか (katu)
2010-08-11 11:46:30
御国も大雨と洪水でたいへんな様子をテレビでみました。

meiさんが移転されたところは十一月まで夏が続くと聞きましたが、災害には関係なく大丈夫でしょうね。南のほうの国ですか・・

池田先生は「相手を変えようとしてもダメで、自分が変わればよいのだ」と常に指導されています。
meiさんは御本尊を受持していますから(御国では最初の人ではないでしょうか)題目を唱えて堪忍世界といわれる娑婆世界(九界)を、仏界に変えていくことが出来ます。

 ご主人様はたぶん信仰していないでしょうから、仏界があることも、御本尊もわからないと思います。
御本尊をたもった人以外は九界の人ですから、その人が本来持っている仏界を引き出し、輝かしてあげるのが学会員の使命ではないでしょうか。

九界所具の仏界を輝かすとは、その人を仏のごとく敬い、大事にして喜ばしてあげることです。もし気に入らないことがあったら、自分を鍛えてくれる使命を持った人なんだ。と認識することです。

そうすればご主人様が諸天善神の働きをするようになるでしょう。
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連番の誕生日 (mei)
2010-08-19 09:24:24
8月17日お誕生日おめでとうございます☆
遅ればせながら、お祝い申し上げます。
自分は本日誕生日です。母をはさんで連番ですよね。

中国の南部在住ですか、まったく洪水の心配は無いです。
日本の方からは、よく心配のメールなどいただくのですが、本当に大きな国なので、ニュースでみると広大な地域のようですが、それでも極々一部の小さな地域に過ぎないのでご安心ください。
実はすでに定かではないですが、何百人もメンバーの方は仕事関係などで住んでらっしゃいます。私が始めてなんて事は、全然無いですよ。
彼の実家のほうへいけば、初めてかもしれませんが、ここは大都市なので。

最近では、とてもうまくやっています。
ご心配おかけしてすみません。。。
日本人同士でも、元々は他人だった人間が生活するのには大変ですが、
こちらは相手が外国人だし、まあ、その分、楽な面や面白いこともありますし、
自分自身の未熟さも痛感します。

長くなるのではぶきますが、やはり、諸天が動いてるなって思えるようなできごとが連続して、彼も今仕事の面でイライラしていることがあったのですが、冷静さを取り戻してきましたし、良い方向に回っています。

そうですね。
相手を仏のごとく敬うこと☆

では、お誕生日を迎えられて、ますますお元気で!!!
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