叙事詩 人間賛歌

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「目覚める人・日蓮の弟子たち」 四十七

2010年10月23日 | 小説「目覚める人」

 法華経の行者 二十一

 冬の日は低く、江ノ島の上にあったが香たちはまだ帰ってくる気配
がなかった。
  
 <今日はたくさん捕れたので、またじいやが明日の仕掛けをしてい
るのだろう>

と思いながら、りょうが外の方を見た時だった。こちらに向かってく
る馬の足音が聞こえた。

 <こちらに近づいて来るのはとのだろうか。でも馬の足音は一頭の
ようだから、とのではなく、彦四郎どのかもしれない>

りょうが外を窺っていると、馬の足音に驚いたのか庭の木に止まって
いたひよどりが二羽急に飛び立った。ギャ、ギャッ、というひよどり
の鳴き声が暫く聞こえている内に、馬の足音が家の前で止まった。

「りょういるか、りょう、」小源太の大きな声が聞こえた。

「あっ、とのだ、」

りょうは急いで立ち上がると、土間に降りて家の外に飛び出した。

「りょう、すまんが着物を出してくれ。この通りぬれねずみだ。」

「まあとの、お召し物が濡れて、海にでもお入りになったのですか。」

「この寒いのに海遊びもないだろう。訳は後で話すからとにかく着物
を出してくれ、風邪をひきそうだ。」

小源太は土間で海水で濡れた袴を脱いだ。そのまま居間に上がって囲
炉裏の側に腰を下ろすと、冷えた足を暖めた。

「この寒いのに海に入って、自殺しようとしていた女を助けたのだ。
おかげでずぶ濡れになってしまった。」

小源太はりょうが囲炉裏の火で暖めてくれた着物に着替えながら言っ
た。

「まあ自殺、それでその女の人は助かったのですか。」

りょうが目を見張って聞いた。

続く  



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ちょっとお久しぶりです! (mei)
2010-10-24 21:06:22
ちょっと、久しぶりの更新ですね。
お体の調子が思わしくないのかと、心配しておりました。

ブログをなさっているので、メールは当然使っていらっしゃるのかと思っておりました。
個人情報には配慮し、何か肝心な相談事でもあれば、手紙を書きます。
提灯、無事に届いたようでよかったです。

株式など経済には疎いのですが、ちょっとのぞいてみただけです。こういった方面にはまったく無知なので、、、

最近は、仕事のほうでいろいろと大変ですが、旦那さんとの争いごとは、すっかりなくなりました。katu様をはじめ、他宗の方と結婚されてるSGIの方々からも、アドバイス&祈っていただいてるおかげですね。
報恩感謝☆がんばって行きます!

そろそろ、そちらは寒い季節になるかと思いますので、お体ご自愛くださいませ。

暫くでした。 (katu)
2010-10-26 15:02:04
meiさん、こんにちは。

だんなさんと仲良く睦ばれている様子、とても嬉しく思います。
私は勝手で失礼ですが、あなたを同志でもあり自分の娘のように思っていますから、あなたが幸せなのがとても嬉しいのです。

私のほうはチョツト事情がありまして更新できなかったのですが、また書けるようになりました。
天の加護なきを疑わざれ、のご金言をまた身で読んできました。

これからはブログも一つにし、最近始めたツイッターを無理なくやっていきます。私の家族のことにつきましは別の機会に申し上げます。

ご本尊様から離れず、池田先生の指導どおりに進めば幸福になれないワケがありません。太鼓判を五つ押してもよいぐらいです。

尚、メールは苦手ですが手紙は好きですから折をみてお手紙を差し上げます。
こちらも昨日から寒くなりました。カゼなどひかぬよう互いに気をつけましょう。それではまた..