神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[映画] TIME/タイム

2012-02-18 19:01:33 | 映画
『TIME/タイム』 - goo映画


(C)2011 TWENTIETH CENTURY FOX


なかなか面白かった。

基本的に通貨を時間に置き換えた世界の『俺たちに明日はない』。しかし、通貨が時間という設定がうまく活かされた演出が多く、ありきたりな映画では終わっていない。

お金は大切だけれども、一文無しになった時にすぐに死んでしまうわけではない。しかし、この世界では、自分の時間が無くなってしまうと即アウト。なんとかして時間を稼がないと、自分の死=停止までの時間が目に見えている。この焦燥感がすごい。

毎朝目覚めるたびに残り時間を確認する。そして、わずかな時間を稼ぐために工場にいけば、時間切れになった死体が転がっている。しかし、だれもその死体を片付けようともしない。この世界に生きることを想像しただけで怖い。

なんでそうなったかというと、不老不死が実現してしまったために、すべての人間は25歳で老化が止まる。しかし、それだけでは人間が増えすぎてしまう(死なないから)ために、残り余命が設定され、通貨として遣り取りされるようになったという。

もちろん、時間が通貨である以上、どこかで時間の流通は管理される。そして、時間をふんだんに持つ富裕層と、時間を毎日稼がなければならない貧民層が生まれる。彼らは住むエリアも制限され、時間の物価指数は富裕層に管理される。人口を一定に保つためには誰かが死ななければならず、それはスラム街の人々でなければならないからだ。

ここまで説明すればわかると思うが、この映画が投げかけるメッセージは「時間は大切」とか、「時は金なり」といったことでも、「最近の人々は時間に追われている。もっとゆっくり生きよう」ってことでもない。これは明らかに、現代格差社会のひずみを皮肉り、もっと資産を分け合ってみんなで生きようというメッセージと、そのことがいかに困難であるか、そして、それでも無鉄砲に戦い続ける若者を描いた作品なのだ。

生きるのに倦むくらいの時間=使い切れないほどの金を手に入れる必要があるのか。人々と分かち合って生きることはできないのか。

主人公の二人が金を手に入れ、いくらスラムでばらまこうとも、それはスラム街の人々を幸せにはせず、金持ちたちは物価を釣り上げることによって対抗する。スラム街の中では持てる者と持たざる者が生まれ、持てる者は必然的に犯罪の被害者になってしまう。

時間の格差社会は資本の集中や階層の固定化といった現実の問題そのままで、貧者に分け与えるだけでは何も解決しないのも一緒。しかし、時間だからこそ成り立つセリフは、お金に戻してみても容易に納得のいくセリフなのかどうか、考えながら観るといちいち興味深い。

ひょんなことから大金を手に入れ、格差社会の転覆を狙う主人公の若者。その若者に惹かれ、犯罪に手を染める富豪の娘。娘の存在よりも現在の社会=既得権益を守ることに必死な大富豪。スラム出身でありながら、秩序を(正義ではない!)守るために命を掛けるタイムキーパー。それぞれの想いが物語を紡ぎ上げ、永遠に25歳の青春が駆け抜ける(笑)

たしかに、時間を通貨として使うための無理やりな設定が無いわけでもないが、そこは現代の御伽噺ととるのでも、仮想世界でCPU Timeを取り合っているとでも、如何様にも解釈可能。あんまり突っ込まないように。


ちなみに、主演はジャスティン・ティンバーレイク。こいつはどうでもいいのだが、相手役のアマンダ・サイフリッドが良い! ちょっと若作り風なメイクなのに、脱いだらすごいんですのエロカワ系。惚れたわ。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿