『NOVA7』 大森望 責任編集 (河出文庫)
『NOVA』ももう7冊目。コンスタントに良質の日本SF短編が書下ろしで集まってくるのは本当にすごいことだと思う。こういうのは雑誌よりも書き下ろしアンソロジーの方が作りやすいんですかね。
今回は常連やSFプロパーに加え、新顔3人が登場。現代的な感性でいずれも面白い。かえって古株さんよりも彼らの書くSFの方が新鮮で面白いかもと思ってしまう。
特に、『サムライ・ポテト』が好き。この結末は想像できなかったうえに、切なすぎる。
○『スペース地獄篇』 宮内悠介
アイディア的にはいいのだけれど、なんとなく文章が合わない。各方面で絶賛中のところ、たいへん申し訳ありませんが……。
○『コズミックロマンスカルテット with E』 小川一水
馬鹿すぎる。しかし、ただの馬鹿話なだけではなく、結婚とはなんぞやという哲学的命題に思いを馳せるにはちょうどいい短編かもしれない。
○『灼熱のヴィーナス』 谷甲州
技術者の燃える心意気ってやつよ! でも、なんで尻切れトンボなんですかね。
○『土星人襲来』 増田俊也
これも馬鹿すぎる。しかし、この人、北大出身だったのか。そっちにびっくりだ。
○『社内肝試し大会に関するメモ』 北野勇作
何が起こっているのかわからないのだけれど、なんだか怖い。SF的解釈はハッキリしているのだけれど、肝試しにしちゃうところが怖い。
◎『植物標本集』 藤田雅矢
馬鹿話が続いた後で、こういう静かな作品にぶち当たると、そのギャップだけで高評価(笑)
内容的には、やっぱり馬鹿話なんだけれど、静かな語り口が趣深さを強調している感じ。
○『開閉式』 西崎憲
世にも奇妙な物語系ファンタジー。こんなのばっかりでも飽きるけど、SFアンソロジーの中の一編としてはいい感じ。
◎『ヒツギとイオリ』 壁井ユカコ
著者は『キーリ』の人。痛みを感じないイオリと、痛みを他人に伝播させるヒツギの物語にだんだん引き込まれていく。当初、化け物ぽかった二人が分かりあっていく様子がすごくいい。
○『リンナチューン』 扇智史
なんだか主人公は気が狂ってるように思えるので、SF的なテーマよりも気持ち悪さが先に来る。それから、著者の意図ではないのかもしれないけど、どうしても♪リンダリンダが聞こえてきて、なんとも。
◎『サムライ・ポテト』 片瀬二郎
これは泣いた。マジ泣き。切なすぎる。
たとえば、偶然のファンタジーで意識を持ってしまったのではなく、科学的/工学的に意識を持ったロボットができたとしても、こういう理不尽な物語が生まれてしまうんだろうなという気がする。そう思ってしまうと、さらにセツナイ。
『NOVA』ももう7冊目。コンスタントに良質の日本SF短編が書下ろしで集まってくるのは本当にすごいことだと思う。こういうのは雑誌よりも書き下ろしアンソロジーの方が作りやすいんですかね。
今回は常連やSFプロパーに加え、新顔3人が登場。現代的な感性でいずれも面白い。かえって古株さんよりも彼らの書くSFの方が新鮮で面白いかもと思ってしまう。
特に、『サムライ・ポテト』が好き。この結末は想像できなかったうえに、切なすぎる。
○『スペース地獄篇』 宮内悠介
アイディア的にはいいのだけれど、なんとなく文章が合わない。各方面で絶賛中のところ、たいへん申し訳ありませんが……。
○『コズミックロマンスカルテット with E』 小川一水
馬鹿すぎる。しかし、ただの馬鹿話なだけではなく、結婚とはなんぞやという哲学的命題に思いを馳せるにはちょうどいい短編かもしれない。
○『灼熱のヴィーナス』 谷甲州
技術者の燃える心意気ってやつよ! でも、なんで尻切れトンボなんですかね。
○『土星人襲来』 増田俊也
これも馬鹿すぎる。しかし、この人、北大出身だったのか。そっちにびっくりだ。
○『社内肝試し大会に関するメモ』 北野勇作
何が起こっているのかわからないのだけれど、なんだか怖い。SF的解釈はハッキリしているのだけれど、肝試しにしちゃうところが怖い。
◎『植物標本集』 藤田雅矢
馬鹿話が続いた後で、こういう静かな作品にぶち当たると、そのギャップだけで高評価(笑)
内容的には、やっぱり馬鹿話なんだけれど、静かな語り口が趣深さを強調している感じ。
○『開閉式』 西崎憲
世にも奇妙な物語系ファンタジー。こんなのばっかりでも飽きるけど、SFアンソロジーの中の一編としてはいい感じ。
◎『ヒツギとイオリ』 壁井ユカコ
著者は『キーリ』の人。痛みを感じないイオリと、痛みを他人に伝播させるヒツギの物語にだんだん引き込まれていく。当初、化け物ぽかった二人が分かりあっていく様子がすごくいい。
○『リンナチューン』 扇智史
なんだか主人公は気が狂ってるように思えるので、SF的なテーマよりも気持ち悪さが先に来る。それから、著者の意図ではないのかもしれないけど、どうしても♪リンダリンダが聞こえてきて、なんとも。
◎『サムライ・ポテト』 片瀬二郎
これは泣いた。マジ泣き。切なすぎる。
たとえば、偶然のファンタジーで意識を持ってしまったのではなく、科学的/工学的に意識を持ったロボットができたとしても、こういう理不尽な物語が生まれてしまうんだろうなという気がする。そう思ってしまうと、さらにセツナイ。