シンジへ。
お疲れ~、カズです。
トラブル対応、本当にご苦労様。
くまさんは、森に帰っちゃったのか。
しかも会社からの応援も無いとなると、現地のお客さん達にとっては、シンジだけが頼みの綱だな。
シンジの今の状況を聞いて、こんなエピソードを思い出したよ。
オレの生まれて初めての海外旅行は、ギター1本抱えての世界一周の旅だったのだけれど、アジアや中南米等では、英語の歌や、オリジナル等の日本語の歌で盛り上がっていたものの、アメリカのニューヨークではまったく相手にされなかったんだ。
特に、オレがリスペクトしている、ジョン・レノンの碑がある、マンハッタンのセントラルパーク内のストロベリー・フィールズで、ジョンやビートルズの曲を歌っていた時に、地元のお婆さんから言われた、「ここは私の大切な場所だから、歌うのを辞めてくれ」という言葉は、すごく大きなショックだった。
オレの歌は、英語ネイティブの国では通用しないのか?ってかなり落ち込んだよ。
でも音楽で大切なのは、この胸の深い所にある魂だと思って、何度も繰り返しオリジナルの曲を聴きなおして、練習を繰り返したんだ。
それから何年かして、アイルランドのダブリンに行った時のこと。
ここは同じく、オレがリスペクトする、U2のボノの故郷。
ダブリンは、一般の人たちが週末に楽器を酒場に持ち寄っては、即席のセッションステージができあがるほど、音楽好きな町だから、路上でU2のうたを歌っていると、皆すごく歓迎してくれて、あっという間にオレのギターケースの中は、コインで一杯になった。
調子があがってきて、そのうちに路上でもエコーがある、響きのよい場所で歌いたいと思い、天井のある細い路地裏でU2のうたを歌っていたんだ。
すると自分の歌声を聞いた、若いジモピーの兄ちゃん2人組がやってきて、自分の顔を見てびっくり。
すぐに彼達が大笑いをして、「U2のボノが歌っているかと来てみたら、中国人のボノだったよ。お前最高だ!」と言って、財布の小銭入れをひっくり返して、中のコイン全部、日本円で千円以上の小銭を、オレのギターケースの中に、ドシャドシャっと入れたんだ。
その日は小雨が降る中での路上ライブだったけれど、2時間位歌って2000円強の稼ぎ。
オレはお金目当てに路上で歌っているわけじゃないけれど、昔のNYでの苦い思い出があったから、これは嬉しいサプライズだった。
音楽好きの人々が集まった町ということもあるけれど、英語ネイティブの国、しかもU2のお膝元の国で、U2の曲を中心に歌って歓迎されたというのは、すごく嬉しかったし、自信になったんだ。
その後アイリッシュパブに入り、路上で稼いだ金で、地元のギネスビールを飲んだんだ。
黒ビールはそれ程好きじゃなかったけれど、そのダブリンで飲んだギネスビールは格別だったよ。
誰もオレの事を知らない、世界の路上の片隅で、1人ギターをかき鳴らして歌う時に、頼れるものは自分だけだったりするけれど、その1杯のビールは、大きな自信と誇りになって、今もこのオレを支えてくれているんだよ。
シンジ。誇りを持って戦うんだ。
お前のやっていることが、"誰かに必要とされている"なら、いつか必ず"結果"がついてくると、俺は信じているよ。
P.S.
今日は、そのギネスビールを飲んだ、ダブリンのテンプル・バーにある、アイリッシュパブの写真をアップするよ。
シンジにも、美味い酒が飲める日が必ず来ると、俺は信じている。
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