拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

セッション23/シンジのパート「3.11」

2012-02-28 | ニッポンジン!


拝啓、カズさん。シンジです。

3月11日に起こった東日本大震災ですが、お身内は大丈夫でしたか?


ウチの横浜の両親はとりあえず無事でしたが、首都圏でも帰宅難民が沢山出たそうですね。カズさんは無事に家に帰れたのでしょうか。

ドイツでは今、福島第一原子力発電所事故の話題で持ちきりです。

しかも異常なまでに過剰な報道がされており、日本の国土全体が放射能に汚染され、原発事故と原爆投下が同じことのように扱われ、「もう日本はオシマイだ!」といった意見が多数をしめています。


それを裏付けるかのように、周りのドイツ人達は、僕や妻の麻友に、「日本の家族は無事なの?もしそうなら今すぐドイツに呼び寄せなさい」とまくし立てます。

「僕の横浜の両親も、麻友の福岡の両親もとりあえず無事みたいです」と言っても、「日本政府は情報を隠している、残念だけど日本はもう放射能に汚染されているから、早く家族を日本から脱出させないと危険だ」と真顔で言われます。


先日出張でドイツの新幹線ICEに乗っていた時にも、隣の座席の見ず知らずのドイツ人から突然「フクシマ?」と聞かれ、次いで「日本は今回の事故でもう駄目だけど、君はドイツに住んでいてラッキーだったな」と言われる程、今や"日本=福島の原発事故"、"日本=放射能汚染"という風潮です。


妻の友人に、フランクフルト在住のルフトハンザ航空のCAさんがいるのですが、今回の福島の原発事故でドイツから日本へ直行便が無くなり、全て韓国経由で日本にフライト・クルーを滞在させない、ソウルのホテルにスタッフを滞在させるプランに切り替えたとか。

それでもその同僚のドイツ人CA達が、日本便(しかも大阪便や名古屋便)にアレンジされると、私は死にたくないと言って、シックリーブ申請をする人が後を絶たないのだそうです。

そんなドイツの人達は、日本の国土の広さも、日本のどこに福島があるのかさえ知らないというのに。


他にも首都ベルリンを含め、ドイツのあちこちで、原発反対を唱えるデモが起こり、これを受けドイツの首相が会見で、全ての原発を2022年までに停止させることを発表しました。

ドイツの世論はこの発表を「当然だ」と受け止め、ひとまずデモは落ち着いたそうですが、日本でいうところの「隣の県」位しか距離の離れていない、日本以上の原発大国であるフランスから、原子力で作られた電気は、今後も輸入し続けるのだそうです。

何だかすごくおかしな話です。


おまけに日本からドイツへの食料品が輸入制限され、いつも納豆を買っていたドイツの日本食材屋さんから、当面日本の納豆は入ってこないと言われました。

被災者の人達を思えば納豆ぐらいどうってことありませんが、今のドイツの人達の対応を見ていると、少なからず憤りを覚えます。


そんな人達の前で「ニッポンは決して沈まない!!!」と大声で叫びたくなります。


確かに復興までの道則は大変だと思いますが、16年前の阪神大震災だって、そしてアメリカに2発の原爆を落とされた第二次世界大戦だって、日本人は乗り越えてきたのですから、きっと今度だって乗り越えられると僕は信じています。


でもインターネットでの日本のTVを通して聞こえてくるのは、未だかつて無い国難が起こっているにも関わらず、震災の被災者をそっちのけで、相変わらず政治家が、国民不在の政局争いを繰り返しているという話ばかりです。

おまけにそんな日本のメディアの報道を見ていると、まるでワイドショー番組を見ているかのような錯覚を覚えます。

そしてその報道をみながら「僕達の祖国はどうなってしまうのだろう?」と、不安にならないかと言えば、正直嘘になってしまいます。


そういえば、今朝アパートの部屋のドアを開けると、入り口に小さな鉢植えのチューリップが置かれていました。

そしてその花には、「今回地震・津波で被災した日本の皆さんが、この苦難に負けず、希望を持って前に進んでくれることをお祈りして、この花を贈ります」と書かれたメッセージカードが添えられており、カードを裏返すと、隣に住むドイツ人のお婆さんからでした。


チューリップの花言葉は「希望と前進」


このつぼみが咲く頃には、原発の問題が収まり、被災にあった方々の生活が少しは落ち着いているといいなと願いをこめて、この花に毎日水をあげようと思っています。

ドイツでの過剰な報道の中で、お隣から戴いたこの小さなチューリップは、一筋の希望の光のように感じました。


僕達日本人が、日本の未来を信じられなくなったら、本当にオシマイだと思います。


例え世界中から「日本はオシマイだ」と言われたとしても、僕は絶対に「日本は沈まない」と信じています。




P.S.
お隣のお婆さんから貰ったチューリップの花の写真をアップします。

この小さな善意が、さらに大きな輪となって広がって、被災者の方々に届けばいいなと思っています。


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