拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

セッション4/カズさんのパート「風に吹かれるまま」

2012-01-10 | ニッポンジン!



シンジへ。
お疲れ~、カズです。


ビザの件、大変だったみたいだね。でも逮捕されずに住んでよかった×2

ビザのトラブルと言えば、自分は旅人だから所謂「観光ビザ」が中心なのだけれど、それでも世界の半分位を旅していると、予定外にビザの問題で振り回されることがよくあるよ。

特に発展途上国では、ビザ取得条件が頻繁に変わって、3ヶ月前は簡単にとれたのに、その情報を信じて現地入りしたら、入国できなかったなんて話もよく聞くし、その逆もしかりみたいな。


例えば俺がレバノンの首都ベイルートから、シリアの首都ダマスカスまで陸路入国した時のこと。

本来なら両国の首都間をつなぐバスがあるはずで、平日なのに運休と言われ、よくよく確認すると、その日はレバノンの祝日で休日運休だったんだよ。

もう1泊するのも嫌だったから、タクシーの運ちゃんと値段交渉をして、格安料金(物価が安いのものあるけど)でダマスカスまでタクシー移動したんだ。

かつて内戦をやっていた国だから、国境でビザがとれたり・とれなかったりと時期によって流動的だという情報を聞いていたので、実はかなり不安だったのだけれど、英語ができるそのレバノン人のタクシーの運ちゃんがイミグレまでついて来てくれ、その場で簡単にビザがとれたってことがあったよ。


逆にその後イランのシーラーズに飛行機で移動したのだけれど、本来は空港でビザがとれるはずが、飛行機到着が深夜でビザ窓口に担当者がおらず、イミグレではビザが無いから入国不可と言われたんだ。

強制送還か?という考えも頭をよぎったのだけれど、朝までそのまま待っていたら、ビザ窓口に係員が来て、無事現地でビザを取得して入国できたってこともあった。


他にも古のシルクロードの都市バグーを訪れた時のこと。

アゼルバイジャンのビザは空港でとれると聞いていたのだけど、もちろんそれなりの値段がするんだよ、普通は。

でも自分が行った時は何かのお祭りだったらしくて、タダでビザをとって入国できたんだ。

おまけに偶然入ったアゼルバイジャン料理のレストランが、ローカルミュージックの生演奏のお店で、自分がギターを抱えて歌いながら旅していることを話すと、一緒にセッションしようということになり、ジャムセッションをやってくれたんだ。(もちろんアゼルバイジャンの曲は知らないから、ビートルズやジョン・レノンみたいなメジャーな洋楽の曲を演ったのだけれど)

それが店長に気に入られて、その日レストランで飛び入り1ステージを彼らと一緒に洋楽の曲を演奏させてもらったことがあった。

ギャラは"まかない飯"だったけれど、パクチーが効いたケバブがめっちゃ美味かった。


この前日泊まったバクー市内のドミトリーでは、今もトルコから嘗てのシルクロードの国々へ、トレーラーに荷物を乗せて走っている運ちゃん達が泊まっていて、そいつらが深夜まで大音量でTV番組を見ているもんだから、あんまり眠れずに最悪だ!って思っていたのだけれど(中には気さくな運ちゃんもいて、彼等の仕事の話を聞かせてくれたけど)、こんなサプライズがあるから旅は最高だ!って思えるんだ。


一歩日本の外に出ると、なかなか予定通りにいかないもの。
経験から言わせてもらえば、どうせなるようにしかならないから、じゃあ楽しんだもの勝ちだろ?って思うんだ。それはトラブルを含めてね。


旅をしていると、運命の流れというか、"風"みたいなものを感じることが時々あって、風が吹いていないところでどんなに羽をばたつかせて頑張ってもまったく駄目なのに、風が吹いた時にさっと羽を広げるだけで、簡単に思いもよらない方向へビューッと飛んでいけたりするんだ。

もちろんどこへ飛んでいくかはわからないから、"行き先は風に聞いてくれ"みたいな感じなのだけれど、バクーのレストランの出来事みたいに、思いもよらない素晴らしい体験ができたりもするんだ。


俺達のような旅人と違って、シンジは仕事でドイツにいるのだから、"どこへ飛んでいくか分からない"っていうのじゃ困ると思うけれど、1つだけ言えることは風が吹いていない時はどうしようもないのだから、風が吹くまでじっと待つことだと思う。

慌てずに肩の力を抜いて、自分の持っている"運"ってやつを信じて、じっとね。


シンジが頑張っていることを、きっと神様がどこかで見ていると、俺は思うからさ。

"グッド・ラック!"



カズより




P.S.
今日のはバクーで一緒にセッションした、アゼルバイジャン人のおっさん達の写真だよ。

バクーにも武道家の日本人がいるらしく、オレが日本人ってわかると、店のマスターがその武道家にケータイで電話してくれて、「お前の友達だ、何か話せ!」っていうから、電話で話したんだ。

でも突然だから何話したらいいかわかんなくて、「こんにちは、ミウラ・カズシです。歌いながら旅しています。以上です。サヨウナラ」みたいな感じだったけれど。(笑)


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