拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

セッション22/シンジのパート「資本主義と社会主義」

2012-02-25 | ニッポンジン!


拝啓、カズさん。シンジです。

大変です。フランクフルトの同僚IT技術者のダイスラーが、手術も必要な長期のシックリーブ(病欠)に突然入ってしまいました。

最短でも復帰は半年後だとか。


他にもIT技術者はレーマンとゲッツェがいるのですが、2人共別のお客さん先に常駐がきまったばかりで、とうとうフランクフルトの現場のIT技術者は僕1人になっちゃいました。

先日ベテラン駐在員営業の赤井さんが日本に本帰国し、後任の芦田さんはまだドイツに来たばかり、そして現地採用営業の洋子さんも産休に入り、その後任のハイニッシュさんは新卒の社会人1年生と、フランクフルトの営業部は大変だなと思っていたところでしたが、今度は自分達技術部が火の車です。

特にゲッツェが常駐することになった日系企業のお客さんは、ドイツ人のIT技術者が2名情報システム部にいたのですが、2人共シックリーブになって、もう3ヶ月以上も会社に出てきていないそうです。

上司の堤さんに交代の技術者を採用してもらうよう頼んでいるのですが、通常ちゃんとした技術者を見つけるのに、半年程度は時間がかかるそうなので、当面は僕1人で頑張るしかないみたいです。


こんなこともあって、堤さんと久しぶりに2人で、フランクフルト市内の居酒屋で一杯飲んだのですが、必然的にドイツの社会福祉制度の話題になりました。

ゲッツェの常駐先のお客さんでもそうですが、ドイツでは通常の有給とは別に、何ヶ月も給料が保障されるシックリーブ(病欠休暇)があり、また試用期間を過ぎると解雇も簡単ではないので、シックリーブで会社に出てこないワーカー達が後を絶たないそうです。


他にも失業保険がかなり充実しているらしく、半年ちょっと真面目に働いて、試用期間後にシックリーブを続けて、解雇時に違約金をもらい、失業保険が受けられなくなるとまた働いて、試用期間が終わったらシックリーブに入って~を繰り返す人が増えて困っているそうです。

これによって税金が年収の半分まであがり、消費税が19%になるというのは、真面目に働いている人間ほどバカを見る世の中になってしまい、ちゃんとやっている奴らのやる気をそぐことになってしまう。だからアメリカみたいに駄目な奴はすぐクビにして、頑張った奴等が報われる社会の方が絶対良いはずなんだと、アメリカで生まれ育った堤さんは、このドイツの社会保障制度を強く非難していました。

約20年前まで国の半分が共産圏で、かつ多くのトルコ人移民を受け入れたものの、働かずに福祉だけ受ける旧移民が増えているドイツでは、今この過剰に膨らんだ福祉関連費用は頭の痛い大きな問題の1つになっているようです。

それもあってドイツでは、そんなトルコ系移民に対してネガティブな感情が増大しており、ネオナチのような極右思想の集団が、トルコ人やイスラム系外国人を襲う事件が多発しているそうです。

ネオナチの多くは、あまり生活的にも裕福でなく、しっかりとした教育を受けていない人達も多いので、「自分達の生活がよくならないのは、トルコ人みたいな外国人のせいだ」と決め付けて、殺人を含めた過激な行動に出ているとも聞きました。

だたネオナチは極端にしても、ドイツ社会全体でイスラム系外国人に対してネガティブな感情が広まっているのは事実で、先日フランクフルトで労働ビザを更新した際にも、僕達日本人が1人30分もかからないのに対して、イスラム系の人達は2時間以上時間経っても、ビザ発給手続きの部屋から出てこないという状況も目にしました。


バブル崩壊後、アメリカ化を進めてきた日本は今2極化が進んで、中流階級が事実上なくなりかけており、わずかな勝ち組と、多数の負け組みに分かれ、世の中が殺伐としてきている印象があります。

アメリカ型の実力至上主義の資本主義社会が良いのか、ドイツのような福祉主義の社会主義社会が良いのか僕にはよくわかりません。

でも何となくどちらも"帯に長しタスキに短し"という感じで、そのまま今の日本がマネをしても駄目なような気がしています。


これまでの日本の歴史をみる限り、日本の最大の武器は、"オリジナルの良いとこ取りをして、それをアレンジしてさらに良いものに進化させること"だと思います。

まだ21世紀は始まったばかりですが、ひょっとすると僕達日本人が、この"アレンジ力"をいかして、資本主義と社会主義の良いとこ取りをした、"新しい社会の仕組み"を作り出す必要があると感じています。

先程のキリスト教社会とイスラム教社会の対立の話もそうですが、宗教的なしがらみが少なく、どちらの社会からも好印象をもたれている日本は、その"新しい社会の仕組み"を作り、世界へと広めていく上でも、重要な役割を果たせる可能性があると僕は思います。


今日本は「政治が駄目だ駄目だ」と言われていますが、この"新しい仕組み"を作り出すことができれば、ひょっとすると日本の政治を根本から変えることができるかもしれないと思うのは、僕の幻想でしょうか。


最近チュニジアやエジプトで起こっている"アラブの春"の民主革命は、今僕とカズさんがやりとりをしているFacebookを使って、フツーの人たちが達成したと言われています。

そのきっかけは小麦の高騰で、パンが買えなくなった人達が、「俺達の手でこの駄目な社会を作り直そう」と、Facebookで呼びかけたことから始まったそうです。

僕達にも何かできることは無いでしょうか。カズさんはどう思いますか?





P.S.
今日は僕の加入しているドイツの健康保険証の写真です。

ドイツはホームドクター制度がありますが、「ちょっと気分が悪い」、「まだよくならない」と言えば、ドクターの中には簡単にシックリーブの診断書を書いてくれる人もいるそうで、イカサマのシックリーブでズル休みする輩が後を絶たないそうです。

そういう輩達には、カズさんのRock魂を注入してやって下さい!(怒)


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