碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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ドラマ「雲の階段」 見どころは長谷川博己の“葛藤”

2013年05月15日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今回は、日本テレビのドラマ「雲の階段」を取り上げました。


長谷川博己が上る
野心と欲望の危険な階段!

離島にある医師不足の診療所。医師免許を持たない事務員(長谷川博己)が、献身的な看護師(稲森いずみ)のサポートで医療行為を行っていた。

しかし急を要する令嬢(木村文乃)に手術を施したことから彼の運命が変わってくる。「雲の階段」(日本テレビ・水曜夜10時)は恋愛・医療・サスペンスの要素を併せ持つ欲張りなドラマだ。

見どころは主演・長谷川の“葛藤”である。無免許ではあるが、人の命を救っているという自負。その技量を極めたいという強い欲求。また稲森と木村、立場もタイプも違う女性2人をめぐる三角関係も複雑だ。自分の中で湧き上がってきた、人生に対する野心と欲望をどこまで解き放つのか。

そんな“内なるせめぎ合い”を、長谷川はオーバーアクションで見せるのではなく、ふとした表情や佇まいで丁寧に表現していく。その一方で、手術場面での「目ヂカラ」は半端ではない。

先週までの平均視聴率は9%。同じく平均で12%台をキープする「家族ゲーム」と裏表であることを思えば大健闘だろう。

それに物語の主な舞台が島から東京へと移り、ここからが勝負所となる。離島での手術はあくまでも患者の命を救うためだったが、東京の総合病院でのそれは自身の栄達のためでもあるからだ。

上るほどに致命的で危険な階段だが、そこからしか見えない風景もある。

(日刊ゲンダイ 2013.05.14)

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