6日、作家の村上春樹さんが京大で、「魂を観(み)る、魂を書く」と題した公開インタビューを行い、新聞各紙にその言葉がいくつか掲載されました。
“肉声”は貴重なので、記録として残しておきます。
各紙の微妙な差異も面白い(笑)。
「(新作について)最初は短編小説にするつもりだったが、自分が書いた登場人物に導かれ、主人公の高校時代の友人について書きたくなり、長編小説になった」
「こういう風に人をきちんと書くのは初めてのことだった。これまで書かないでいたが、人間と人間のつながりに関心と共感を持った」
(朝日新聞)
「小説家の役割は、少しでも優れたテキストをパブリックに提供すること。読者はそれぞれを好きなように咀嚼(そしゃく)する権利がある」
「僕が深い共感を抱くことができた相手は、河合(隼雄)先生しかいない。僕が物語という言葉を使うとき、イメージすることを丸ごと正確に受け止めてくれたのは河合先生しかいなかった」
「僕にとって大事なことは、導かれることなんです。僕自身も登場人物も導かれることがある。読む人の中でも、そういうものがあればいいなと思います」
(読売新聞)
「(作中の多彩な)人物をここまできちんと書いたのは初めて。人間と人間のつながりに強い関心を持つようになった」
「物語とは人の魂の奥底になくてはならないもの。この言葉を正確に受け止めてくれたのは河合先生だけだった」
(毎日新聞)
「生身の人間に対する興味が出てきた」
(東京新聞)
「普通に電車に乗ったり、レコード屋に行ったりする普通の生活をしているので、声をかけられると困るんです。絶滅危惧種のイリオモテヤマネコみたいなものだと思って、見かけても遠くから見ていてくれるとうれしいです」
「早朝にレコードでクラシックを聞きながら小説を書いている。僕はリズム感を使って文章を書くんです」
「(新作は)長いタイトルですよね。短い小説のつもりで書き始めたが、登場人物に導かれるように話が膨らんでいった。こういうのは初めてだ。読者にも、それを感じてもらえたら良いなと思っています」
「小説を書くときは、それだけに打ち込んでいます。手抜きをしないことが僕の誇りです。もし、作品が合わなくても手抜きしてないんだって思っていただけるとうれしいです」
「レッドソックスと、(ヤクルトファンなので)青木(宣親)選手のいるブルワーズを応援しています」
「神宮球場のライトスタンドの常連客で、大好きなスワローズの試合を観戦しながらビールを飲むのが貴重な時間」
(日刊スポーツ)
「文章を書くのが仕事なので、なるべくそれ以外のことに首を突っ込みたくない。だから僕のことは絶滅危惧種の動物、イリオモテヤマネコみたいなものだと思ってくれるとありがたい。そばに寄って触ったりしないでください。おびえて、かみついたりするかもしれないので」
「(新作は)登場人物に自身も導かれるように書いた。導かれて何かを体験することで、自分がより大きくなる感覚がある。読む人にもそういう感覚があればと思う」
(サンケイスポーツ)