毎週の連載を読み、単行本が出たら読み、文庫になったら、また入手して読む。
小林信彦さんのエッセイ集は、そういう得難い本だ。
『週刊文春』の連載1年分が、翌年単行本となり、それから数年すると文庫化される。
今回の『昭和が遠くなって~本音を申せば③』(文春文庫)は2006年の連載分。
世の中のあれこれ、政治の話、映画や芸能のこと、この小林さんのエッセイ・シリーズは、私にとって羅針盤か灯台のような存在だ。
文庫だと、単行本にはなかった「解説」が付き、これも毎回、誰が、どんなことを書いてくれるのか、楽しみにしている。
今回は永江朗さんで、これまた嬉しい。
永江さん曰く、「小林信彦の思考は常に重層的であり、時間の軸において複眼的である」。
納得です。
テレビが真実を報じないから、今のような<弱者殺し>の世相になるのです。はっきりいえることは、テレビのニュースは大本営発表になってしまったのです。そんなものを観るのは時間の無駄。
――小林信彦『昭和が遠くなって~本音を申せば③』