明日元気になれ。―part2

毎日いろいろあるけれど、とりあえずご飯と酒がおいしけりゃ、
明日もなんとかなるんじゃないか?

結婚式のこと その1「ひらひら花びらが舞う中を」

2007-05-06 23:50:01 | 
1週間経って、やっと結婚式のことを書く心持ちになった。
とりあえず、流れだけを辿ってみよう。

朝、8時半入り。
ヘアメイクさんは、酒飲みでいい感じの女の人(お酒の話で盛り上がった)。
センスがよく、こんな私でも多少は素敵に見えるようにしてくれる。
自分が少しずつキレイになっていく様子を鏡で見ているのは、なかなか嬉しいものだ。

途中で、姪のひなのと姉が来た。
ひなは可愛いものやドレスに興味があるし、私の事が大好きなので、ずっとまとわりつく。
ひなの笑顔を見ていたら、なんだかホッとした。

気に入ったウェディングドレス。
(ただし、10分で選んだ。私は何でも決めるのが早い)
ビスチェタイプで、お姫様みたいにふわっとボリュームがある。
なんとか8キロ痩せたので(2年前に戻って、さらにマイナス1キロダウンに成功!)見苦しくはない。

凹凸の少ない、平安時代の人みたいな顔だけど、アイメイクを丹念に施してくれたので、多少は目力が強くなった
髪もくるくる巻いてもらって、アップにして、ティアラとヴェールをつけたら、それなりにいい感じじゃない?私(笑)

呼ばれて、リハーサルへ。
最初に会ったのは、あやだった。
式で証人代表を務めてもらう。
あやも、ふわふわのを着て、ドレスアップしてる。素敵

リハーサルは、本当に面白かった。
あれをみんなに見せてあげられなかったのが残念でならない。
彼は「天然」ぶりを発揮しまくった。

「じゃあ、ここで腕を組んで」と言われたら、彼は自分から私の腕を組むし、
壇上で「新郎さん、新婦さんをエスコートして」といわれたら、両手を出して抱きこむ感じで「あー、手を引くくらいでいいので」と注意されるし、
指輪交換のときは「指輪を取ってください」と言われたら、私と自分の2人分を両手で取ってどうしていいかわからなくなってるし(「新婦さんのだけでいいですから!」と注意されていた)、
とにかくやることすべてが面白かった。
おかげで、リラックス

本番、彼が先に入る。「ブーケ・セレモニー」というのをやることになっていて、彼が参列者から花を受け取り、ブーケを作る。
それを私に渡して、改めてプロポーズする・・・というセレモニーだ。

サム・クックの「Nothing can change this love」が流れる。
彼が出て行ったのがわかった。
ああ、やっぱりサム・クックはゴスペル出身だから、チャペルに合う声だなぁ、なんて、こんな場面でもそんなマニアックなことを考えている自分に苦笑。
横で父が緊張しているのが伝わってくる。
「ねぇ、どう?」と自分のドレス姿を見せるが、父はこちらを見ようともせず、「うん。きれいやな」と小さく呟いた。

父にエスコートされて、いよいよ私の入場。
音楽は竹内まりやの「本気でオンリーユー」のオルゴールバージョンにした。
チャペルのずっと奥に彼がいて、私を見ている。
光がたくさん差し込む明るいチャペル。
なんだか、夢の中を歩いているみたい。
眩しいくらいの陽射しの中を、なんだかふわふわしながら歩いていった。

ふと周りを見ると、友達の笑顔。
みんながこちらを見ている。
カメラを構えて、嬉しそうに、語りかけたいような表情で。

彼女たちの顔を見たら、なんだかふうっと力が抜けた。
安心した。
ずっとずっと私を見守ってくれていた笑顔がいっぱい。

そして、彼のところまで辿り着いた。
なんだか自然に笑けてくる。
結婚するとか、今が挙式だとか、そんなことよりも、ただ、彼の顔が見られたことが嬉しくて。

ちゃんと言えるかなぁと心配していた結婚宣言も大きな声でちゃんと言ってくれて、その後の、彼のお友達で代表証人をやってくれた浅野くんのスピーチも素晴らしいもので。

彼がいつもいつも「浅野は、浅野は・・・」と、自慢げに浅野くんのことを満面の笑みで語っていることを思い出していた。
二人には、二人にしかわからない「言葉」がいつも存在しているようだ。

そして、私の代表証人は、あや。
あやが近くにいてくれると、それだけで安心する。
この人は冷静さを欠いたりするような人じゃないのに、それでも、いつもどんなときも、絶対的に私の味方でいてくれた。
この「絶対的」ということが、私にとってどれほど力になってきたか、あや自身も誰もきっとわからない。
でも、ずっとこの「絶対的な味方」が1人いてくれたことで、どれほど救われてきたことだろう・・・

あやが代表の言葉を読み上げて、皆が拍手してくれて、私と彼は正式に夫婦となった。

それは、なんだか人生で一番あたたかい空間だった。
言葉に敏感な私だけど、このときは、「言葉」でもビジュアルでもなく、ただ、この空気のあたたかさを一生覚えておきたいと、そう思った。

まだ夢の中みたい。

だけど、確かにこれは現実だという気もしている。

スティービー・ワンダーの「Stay Gold」が流れる。
彼と二人、フラワーシャワーの中を歩く。

また、友達の顔が見える。
あ、おじいちゃんもいた。
おばちゃんが、「おじいさん、おめでとう言ってあげて」とおじいちゃんを促して、おじいちゃんが、私に花びらを投げる。
ひらひらひらひら。

「かおりちゃんの花嫁姿を見ないうちは死ねないわ」と言っていた、おばあちゃんは横にいない。
だけど、決めていた。
バージンロードを歩く時、必ずおばあちゃんのことを思い出そうと。
時間も空間も超えて、届くかもしれないから。

いろんな想いを抱えて、花びらの中を歩く。
たくさんの「おめでとう」の声。
こんな幸せがあるんだ。

こんな幸せが。

「なーんか、楽しいね」
そう言って、お酒を飲んでしゃべって、絶対に時計を見ないようにしていた2年前の私が蘇る。
彼と初めて会った日のこと。
私は一度も時計を見なかった。
見ないようにしていた。
彼が時計を見て「もうこんな時間か、帰る?」と聞いたら、帰ろうと思っていた。
だけど、自分は絶対に時間を見ないと決めていた。
それくらい貴重な時間で。

なーんか、楽しいね・・・
目を細めて、グラスを傾けて、笑っていた自分が蘇る。

時計を見なくてよかった。
朝までしゃべり続けてよかった。

やっぱり「ブルースは絆」。
ブルース・ブラザーズのファーストアルバムのタイトル。
これは間違ってなかった。
また、そんなマニアックなことを考えている花嫁は、たぶん、世界で一番幸せだったはずだ。

そして、私の横には、これまた世界一幸せそうな顔をした彼がいた。

ひらひら。
私の髪の毛についていた花びらが舞った。



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