明日元気になれ。―part2

毎日いろいろあるけれど、とりあえずご飯と酒がおいしけりゃ、
明日もなんとかなるんじゃないか?

露天風呂とお経ブルース

2010-11-15 17:31:26 | 
ちょっと前の話になるが、10月最終の日曜日に、夫の祖父(母方)の法事があった。
絶対に行かなければならないわけではなかったが、
結婚してから初めての法事だったし、こんな機会でもないとなかなか親戚の人にも会えないので、行くことにした。

前は2ヶ月に1回くらい旅行をしていたのに、
家のローンを抱えて贅沢できなくなってしまった私たち・・・
この機会に、久しぶりに温泉にでも入ろうと、土曜日から出発!

梅田からバスで3時間半くらいで、徳島の阿波池田に着く。
二人とも寝不足でバスの中で熟睡していたので、あっと言う間だった。

阿波池田の駅前でレンタカーを借り、奥祖谷へ。
ここには、男橋と女橋、二つのかずら橋がある。

懐かしいなぁ・・・
以前、某スポーツ新聞の観光欄を担当していたとき、プレスツアーで徳島にも来たことがある。
かずら橋、大歩危、小歩危、剣山、祖谷温泉・・・

祖谷のホテルの記事を書いた時、普通の記事じゃ面白くないからと
少しホテルの従業員の方の人柄がわかるようなエピソードを盛り込んだ。
それがとても気に入っていただけたようで、新聞社にお礼のハガキが届いた。
そのことを、私に新聞記事のイロハから教えてくれたOさんが教えてくれて、とても褒められた思い出がある。
剣山に登ったときも、ぴったり案内人の後ろについて取材しながら登ったので、
「あんたの根性はすごい!」とOさんが褒めてくれたっけ・・・。
そんなふうに、徳島のこの辺りというのは、私にとって良い思い出がいろいろある場所・・・。
新聞記事のノウハウがゼロで、怒られてばかりだったのに、ここで挽回できたのだった。

そんなことを思い出して、夫に話しながら、ドライブを続ける。

途中で、店に立ち寄って、祖谷そばを食べた。


祖谷そばは、普通のそばと違ってつなぎが弱いので、ぷつんぷつんと切れる感じ。
コシとは縁遠い。
でも、それが素朴でいいし、私は結構好きだ。

お腹も満たされ、2時間ほど走ってようやく奥祖谷へ到着!
よくみんなが行く「かずら橋」の周りは観光地化されているけれど、奥はほとんど人もいないので穴場。
静かで、空気も澄んでいる。
この辺りでは一番早く紅葉するところらしく、もう色付き始めていた。





↑かずら橋。渡るの怖いの・・・



↑夫が渡っています。
「ワイヤーが入ってるやん」と夫はちょっと不服そう・・・



野猿もあったので、二人で乗った。
これも結構怖い・・・
高所恐怖症の人は絶対無理だなぁ・・・

きれいな空気をいっぱい吸って、リフレッシュした後は、宿へ。
泊まったのは、「かずらや」という小さな旅館。
古いけれど清潔だし、ひなびた感じがまたよかった。

さっそく温泉へ・・・!

内風呂と露天風呂があり、お客さんも数人だったので、ゆっくり入れた

「気持ちよかったねー!」と二人で喜んでいたのだが、驚愕の事実が・・・!
お湯が「温泉」じゃなかったのだ!!

夫に知らせると、「え・・・」と青ざめていたので、
「じゃあ、気持ちの悪い温泉と、気持ちのいいお風呂とどっちがいい?」と聞くと、
「そりゃ、気持ちのいいお風呂」と夫。
「じゃあ、よかったね。気持ちよかったやろ?」
「う、うん・・・

宿を予約したのは私だったので、こうして無理やり納得させた。

でも、本当にお風呂は気持ちよかったし、料理もとてもおいしかった。



変に凝った料理ではなく、地の食材を使った田舎料理。
こんにゃくのお刺身や、阿波地鶏のたたき、野菜の煮炊き物など・・・



それから、アメゴの塩焼き!!
川魚が大好きなので、これがめっちゃ旨かった。

派手さはないが、全部丁寧に作られていて、
天ぷらなどは揚げたてを持ってきてくれたし、最後はまた祖谷そばも出た。
ちょうどいいボリューム。

日本酒も、地酒「芳水」を出してくれたし、満足
300mlの瓶だったので、少し残ったのは部屋に持って帰った。

夫はハードな仕事が続いていてかなりお疲れ気味だったので、早々と就寝。
退屈だったので、私は一人、「嵐にしやがれ!」を見ていた。
そうして、夜が更けた・・・

翌朝。

朝ごはんもとてもおいしく、ご飯を取り合って食べた。
私は普段、食欲を規制しているのだが、旅先では解放していいことにしているので、
本来の大食漢な私が目覚める。
旅先での朝ごはんは、だいたいお茶碗3、4杯。
この日も夫と3杯ずつ食べた
朝ごはんが旨いってのは、ほんとにいいね!

そして、スーツに着替えて法事へ。

結婚した後に一度、挨拶まわりで来たことがあるのだが、夫の両親の実家はものすごいところにある。
平家の落ち武者だったのだろうな・・・
こんな山奥に誰が好んで住むんだ?というような、山の上。
隠れて暮らしていたとしか思えない。

親戚のおっちゃんに迎えに来てもらい、獣道のような道を車で登っていくのだ。
リアルな絶叫マシーンのようなもので、生きた心地がしなかった。
鹿や猪、サルも出るらしい

着いた!



↑家からの景色。

昔はまだ何軒かあって、ひとつの集落を作っていたのだけど、
近年はもうみんな町に下りてしまって、今残っているのは、夫の母方の実家だけ。
仕方ないけれど、そういうのを聞くと、少し淋しい気もした。

家の中に入ると、夫の両親と兄夫婦が車で到着したところだった。
この4人は、朝3時半起きで車を飛ばしてやってきているのだ。
すごい・・・
私は絶対イヤだったので、前泊したのだが。

親戚は、40人くらいは来ていただろうか。
お坊さんの読経が始まるので、みんな座布団に座ったが、なぜか譲り合って前に行こうとしない。
こういうところに夫の一族の性格が出ているなぁと、興味深く見る。

お義姉さんがいたので挨拶をしたら、死にそうな顔をして「緊張する」と言う。
「え?なんでですか?」と聞いたら、
「こんな親戚の人に会うと思うだけで緊張する・・・」と泣きそうになっていた。

そういう人もいるんだなぁと、不思議な気持ちになる。
私なんて、ワクワクしているというのに

そのうち読経が始まり、目を閉じて聞いていた。

ちょっと前に、うちの祖母の法事もあって、その時にも思ったのだけど、お経って気持ちいい
お坊さんはだいたい声がいいし、独特のリズムがあって、まるで音楽みたい。
そして、最後のほうになると、誰も「せーの!」とか合図を出していないのに、お経の大合唱が始まる。
前におかんに聞いたら、みんな子供の頃から覚えさせられているのだそう。
今の都会に住んでいる人たちとは全く違う文化。
大合唱に参加できないのは、私たちの世代の人間だけだった。
年よりはみんな大合唱していた。

ブルースやなぁ・・・

後で夫と話したら、夫も同じように「お経気持ちいい」と言っていた。
こういう感性も私たちは合うのだ。

お焼香がまわってきたとき、私が前の人がやるのを食い入るように見ていたのが面白かったと、夫が言った。
だって、間違えたらイヤだもん・・・

その後、お墓参りをして、それから集会所のようなところへ移動し、お昼ご飯を食べた。
法事のご飯って、みんなほとんど食べずに包んで持って帰る。
それがマナーなのかもしれないけど、私たちは家も遠く、持って帰るのも大変なので、
とりあえず食べられるだけ食べた。
お酒も飲み放題だし、ご飯も思っていたよりおいしかったので、満足

それに、親戚の人を観察するのが面白かった。
夫の両親は、同じ集落の人間なので、かなり血が近い。
(父も母も同じ姓)
だからだろうか、見ていると、夫にそっくりなおっちゃんがいる!
夫の実の父親よりも、夫に似ているのだ。
かと思えば、お兄さんにそっくりな人がいたり、お母さんと似ている人がいたり、
血が複雑に交じり合っているのを感じた。

親戚の人ともお話できて、楽しかった。
夫の一族はみんないい人ばっかりなのだ。
(ちなみに、うちの一族はクセ者が多い・・・)

その後、おばあちゃんたちが入院している病院を2件まわってお見舞いをした。
二人ともほぼ寝たきりになっている・・・

「わかる?わかる?」と話しかけているお母さんの姿が辛かった。
医学の発達は、いいことばかりじゃない。
少しでも長く生きてほしいと願う周りの人と、
もう自分の意志で動くことのできない本人と・・・

医学の発達により、伸びていく寿命。
助かる命。
だけど、人間が本来もっている肉体は、もっと早く滅びるものなんじゃないのか?
そんなことを考える。

誰もが、周囲に迷惑をかける前に死にたいと望んでいるのに、
それができない。
じゃあ、生かしたいと思う周囲の気持ちは、エゴなのか?
でも、愛する人に生きていてほしいと思うのは、当然のこと。

必死におばあちゃんに話しかけるお母さんの姿は、悲しいけれど、ひたむきだった。
祈りの姿だった。

どうしても、私のおばあちゃんのことを思い出し、涙が出そうになる。
それをこらえるのに苦労した。

「おばあちゃん」
つぶやくだけで、いつも涙が出る。

年をとると、いろいろ悲しいこともある。

そんな複雑な想いを胸に、また夫と二人、バスで大阪まで帰った。
梅田で1杯だけビールをひっかけて。

法事を利用した1日だけのリフレッシュ旅行だったけど、楽しかったなぁ。
お見舞いもできたし、よかった。
結婚して、こういう親戚付き合いができたことが、また嬉しい。

次は本当の旅行に行きたいなー

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2 コメント

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Unknown (かおり)
2010-11-17 20:21:41
瞳さん

こんばんは。
瞳さんって香川じゃなかったですか?
でも、お父さまは大歩危の駅長さんだったのですね!
あの辺りは本当にいいところですね。私は大好きです。

おそば、独特でおいしかったです。
江戸っこの方からは邪道だって言われそうですけど(笑)

朝が一番食欲あるんです。
普段はガマンしてるので3杯も食べないですよ。旅行のときだけ、解放です!

瞳さんは旅先で胃の調子がすぐれないんですか・・・それは残念ですね。
乗り物酔いとか人に酔ったりとかするのでしょうか。
私は食欲爆発です(笑)



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かずら橋だ~! ()
2010-11-17 08:11:31
あぁ~!!かずら橋だ~!!
徳島にいらっしゃったんですね♪

今は亡き義父が大歩危の駅長さんだったので、昔は私もよくこのあたりに行きました。
かずら橋も懐かしい。

ぷちんぷちんと切れお蕎麦も懐かしいです、食べたいなぁ。
しかし・・かおりさん、すごい!朝ごはん3杯!!(笑)
私はいつもはとっても食べれる人なんですけど、旅に出かけるといろんなものに酔ってしまって、いつもなぜか胃の調子がすぐれないので、羨ましいです。

温泉を納得させるかおりさんの話術に吹き出してしまいましたよ~(笑)上手い!!

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