ちょっとお金が入ると、散財し続ける日々……
一昨日は中野と食事の日。
例によって、ちょっとだけ贅沢な日本料理を京都へ食べに行った。
今回は、ずっと行きたかった「じき 宮ざわ」さんへ。
カウンター10席ほどの小さなお店だが、若いご主人がしっかりした日本料理を出してくれるということで定評がある。
前回も候補に挙がっていたのだが、予約をとるのが難しいということもあり、見送りに。
今回は早めに予約をとってもらい(6月の月曜日という条件もよかったのだと思う)、なんとか席を確保!
とりあえず、結論から言おう。
とても素敵なお店だった
私はいつも飲食店に対して思うのだけど、「おいしい」というのは当たり前で、
その店の付加価値って何かということが店を選ぶ基準なんじゃないだろうか。
「日本酒がおいしく飲める」
「店の雰囲気がいい」
「店員さんのサービスが素晴らしい」
「コスパがいい(味と比較して安い!)」
「人を連れて行きやすい(飲み物の種類が多いとか)」
まとめて言えば、「コンセプトがはっきりしている」というお店は、少人数だったとしても必ずファンができると思う。
たとえば、こちらのお店は夜のコースは7350円~(サービス料別途10%)なので、決して「安い店」ではない。
お酒を少々飲んだら、およそ1万円はかかる。
でも、その「価値」がある(と感じられる)。
確かに「うまくて安い店」も大好きだ。
オヤジにまざって立ち飲みも大歓迎
串カツを頬張って、ビールを飲みたい日もある。
だけど、たまにこういうお店に行って、「細やかな心遣い」と「しっとり穏やかな空間」と「贅沢な時間」を味わうのも大切だなぁと感じる。
自分自身がピリッとする。
「あー、今、私はこの贅沢な空間と時間のために、多少のお金を使ってるんだなぁ、よお頑張ってるもんなぁ」と思える。
そういうのって、大事じゃないかな
さて、話が全く進んでいないが、お店は堺町四条を上がったところ。
味気ないビルなどの間に、そこだけひっそりとした佇まいのお店がある。
中に通されると、白木の美しいカウンターが。
そして、座ると、ゆったりとした厨房の向こうに窓があり、そこから青楓の木が見える。
規模は小さくても、4、5人の板前さんが働いている。
おしぼりを出され、飲み物を注文すると、それを準備している間に、手元に用意されていた盃に日本酒がほんの一口注がれる。
食前酒とのこと。
京都は伏見にある酒造の「月の桂」だ。
京都で食事をすると、よくここのお酒が置かれている。
「抱腹絶倒」という名前のお酒で、アルコール度数はわずか8%(普通の日本酒の半分ほど)。
日本酒というよりは、フルーティーな白ワインのよう。
まさに、食前酒にはふさわしい。
くいっと飲み干して、ビールを待っていると、店主が改まって目の前に来て、
「本日はようこそいらっしゃいました」と頭を下げ、挨拶してくれる。
なんとまあ
それだけで、一流にもてなされているような気持ちになるから不思議だ。
ビールも錫の小さな器に注いでくれる(もちろん生ビールなどない)。
そのコースターの上にさりげなく1枚、青楓が置かれていたりして、そんな細やかな気遣いにもほっこりする。
お料理は、例によって、まだデジカメも古い携帯も買い換えていないので、ボケボケであるが、少し紹介。
(もっとアップで撮りたいけど、よけいボケるのでちょっと引き目にしているが・・・)
トマトとアスパラとさざえを酢味噌で。
アスパラがシャキッとしていておいしかった。
椀物は、鱸とジュンサイ。
上にかかっているのはオクラ。
鱸の味がよかった。ネバネバ系なのでちょっと食べにくいのが難点。
お造りは、明石の鯛。
土曜日に「かじ」で食べたのよりおいしかったなぁ・・・
甘みがあって。塩とわさび醤油と好きなほうでいただける。両方楽しんだ。
そして、これがこの店名物の「焼胡麻豆腐」!!
これはすごい。
公式サイトによれば、
「上質の葛、みがき胡麻、昆布を用いて丹念に練り上げた胡麻豆腐を焼いている」とのこと。
「調味料は、あくを取りのぞいた塩と蜂蜜のみで出来ており、無添加にこだわっています」と。
滑らかで上品な胡麻豆腐の上に、胡麻ソースがかかって、さらに「えっ!」というくらいたくさんのすり胡麻がかかっている。
「胡麻の三重奏や~!」と叫びたくなった。
食感も、ねっとり、とろーり、さわさわ・・・
いろんな感覚が楽しめる。
これはいいなぁと思った。
稚鮎の天ぷら。
一度、炭火で焼いた後に揚げているので、非常に香ばしく、旨みがぎゅっと閉じ込められている。
川魚の苦味が好きな者にとったら、たまらんね。
また、稚鮎の形も見とれるほど美しかった。
そして、お口直しにもずくが出た後、
丸茄子と新生姜とインゲンの炊き合わせ。
冷たい炊き合わせの小鉢で、夏らしくてよかった。
賀茂茄子の田楽もいいけれど、この上品さも捨てがたい。
日本酒も2種類(上喜元、獺祭)を1合ずつ、中野と二人で分けて飲んだ。
このとき、また嬉しかったのが、酒器を選ばせてくれたこと!
たまにそういうお店もあるが、ここは「器のことわかってるなぁ」と思うセレクトだった。
というのも、6種類くらいのいろんな酒器がお盆に乗せられて目の前に置かれ、「好きなものを」と言ってくれるのだが、
その並んでいた酒器が全部タイプの違う者だったからだ。
ガラスでも、切子と透明のものがあり、磁器があり、土物があり、錫があり、漆があった。
どれも味のある、いい器だった。
私は青い切子を。中野は透明ガラスの高台のものを選んだ。
お酒を変えると、器も交換してくれる。
二人とも最初に選んだ酒器が小さすぎてすぐなくなるのが面倒だったので、2回目は大き目のものを選んだ(笑)。
お酒もそろそろ終る頃、食事が出てくる。
ご飯は土鍋で炊き立て。
それを写真のように、ほんの2口程度。
「どうぞおかわりしてください。2膳目、3膳目で味が変わっていきますから」とのこと。
確かに最初はちょっとお米に芯がある感じだったのだが、だんだんふっくらと柔らかく、甘みも増していった。
これも土鍋ならでは!!
味噌汁はあさりが入っていて、出汁がとてもいい感じ。
それから、数種類のお漬物。
身近な人は知っていると思うが、私はお漬物があまり得意でない。
でも、こういうお店のお漬物は食べられる。(完食!)
何が違うかというと、「漬かっていない」からだ。
変にすっぱかったり、発酵していたりするのは苦手だけど、これは「お漬物」というよりほとんど「生野菜」。
それも、おいしい生野菜だ。
苦手なキュウリまで全部いただいた。
いつも思うけど、本当においしいものって、好みを超えて「おいしい」んだよな……
(味付けではなく、素材のレベルで)
お漬物も「おかわりいかがですか?」と何度も聞いてくれる。
酒があればなーと思ったけど、もうお酒もないし、おかわりはしなかった。
そして、水物はオレンジとさくらんぼ。
その後に(写真忘れた!)、その場であぶって、あんこを詰めた最中が出てきた。
それだけでも「おー!」という感じだったのだが、なんとその場でお抹茶をたてて出してくれたのだ!
いろんなお料理屋さんに行ったけど、お抹茶をたててくれたところは初めて!
その手をかけたサービスにまたうっとりとしてしまった
お腹がいっぱいになり、とてもいい気分。
温かいお茶をいただいて、少しゆっくりと食後の余韻も満喫。
小さなお店なのですぐにいっぱいになってしまったが、「大人」しか来ないのもいいなぁと思う。
隣には常連っぽい、お金持ちそうなおっちゃんがいて、1人で静かに食事を楽しまれていた。
「ああいうおっちゃんになりたいね」と中野に囁いた。
店を出ると、店主が店の前まで出てきてお見送り。
まだ若いのに、いいお店作ってがんばってるんだなぁと思う。
とても満足な食事だった
またお金に余裕ができたら行きたいし、ちょっといいものを食べたいという人にも紹介したい。
後で思い返すと、パンチを受けるような、そんな印象的なお料理はなかったのだが、
どれも誠実に作ろうとしている気持ちが伝わってきて、気持ちがよかった。
それはお料理の味だけでなく、やっぱりいろんなことの総合評価。
「おいしかった」というより、「いい時間だった」という表現がぴったりくる。(もちろんおいしいのだが)
友と過ごす「いい時間」。
40歳の大人の女性らしい、愉しみ方。
一昨日は中野と食事の日。
例によって、ちょっとだけ贅沢な日本料理を京都へ食べに行った。
今回は、ずっと行きたかった「じき 宮ざわ」さんへ。
カウンター10席ほどの小さなお店だが、若いご主人がしっかりした日本料理を出してくれるということで定評がある。
前回も候補に挙がっていたのだが、予約をとるのが難しいということもあり、見送りに。
今回は早めに予約をとってもらい(6月の月曜日という条件もよかったのだと思う)、なんとか席を確保!
とりあえず、結論から言おう。
とても素敵なお店だった
私はいつも飲食店に対して思うのだけど、「おいしい」というのは当たり前で、
その店の付加価値って何かということが店を選ぶ基準なんじゃないだろうか。
「日本酒がおいしく飲める」
「店の雰囲気がいい」
「店員さんのサービスが素晴らしい」
「コスパがいい(味と比較して安い!)」
「人を連れて行きやすい(飲み物の種類が多いとか)」
まとめて言えば、「コンセプトがはっきりしている」というお店は、少人数だったとしても必ずファンができると思う。
たとえば、こちらのお店は夜のコースは7350円~(サービス料別途10%)なので、決して「安い店」ではない。
お酒を少々飲んだら、およそ1万円はかかる。
でも、その「価値」がある(と感じられる)。
確かに「うまくて安い店」も大好きだ。
オヤジにまざって立ち飲みも大歓迎
串カツを頬張って、ビールを飲みたい日もある。
だけど、たまにこういうお店に行って、「細やかな心遣い」と「しっとり穏やかな空間」と「贅沢な時間」を味わうのも大切だなぁと感じる。
自分自身がピリッとする。
「あー、今、私はこの贅沢な空間と時間のために、多少のお金を使ってるんだなぁ、よお頑張ってるもんなぁ」と思える。
そういうのって、大事じゃないかな
さて、話が全く進んでいないが、お店は堺町四条を上がったところ。
味気ないビルなどの間に、そこだけひっそりとした佇まいのお店がある。
中に通されると、白木の美しいカウンターが。
そして、座ると、ゆったりとした厨房の向こうに窓があり、そこから青楓の木が見える。
規模は小さくても、4、5人の板前さんが働いている。
おしぼりを出され、飲み物を注文すると、それを準備している間に、手元に用意されていた盃に日本酒がほんの一口注がれる。
食前酒とのこと。
京都は伏見にある酒造の「月の桂」だ。
京都で食事をすると、よくここのお酒が置かれている。
「抱腹絶倒」という名前のお酒で、アルコール度数はわずか8%(普通の日本酒の半分ほど)。
日本酒というよりは、フルーティーな白ワインのよう。
まさに、食前酒にはふさわしい。
くいっと飲み干して、ビールを待っていると、店主が改まって目の前に来て、
「本日はようこそいらっしゃいました」と頭を下げ、挨拶してくれる。
なんとまあ
それだけで、一流にもてなされているような気持ちになるから不思議だ。
ビールも錫の小さな器に注いでくれる(もちろん生ビールなどない)。
そのコースターの上にさりげなく1枚、青楓が置かれていたりして、そんな細やかな気遣いにもほっこりする。
お料理は、例によって、まだデジカメも古い携帯も買い換えていないので、ボケボケであるが、少し紹介。
(もっとアップで撮りたいけど、よけいボケるのでちょっと引き目にしているが・・・)
トマトとアスパラとさざえを酢味噌で。
アスパラがシャキッとしていておいしかった。
椀物は、鱸とジュンサイ。
上にかかっているのはオクラ。
鱸の味がよかった。ネバネバ系なのでちょっと食べにくいのが難点。
お造りは、明石の鯛。
土曜日に「かじ」で食べたのよりおいしかったなぁ・・・
甘みがあって。塩とわさび醤油と好きなほうでいただける。両方楽しんだ。
そして、これがこの店名物の「焼胡麻豆腐」!!
これはすごい。
公式サイトによれば、
「上質の葛、みがき胡麻、昆布を用いて丹念に練り上げた胡麻豆腐を焼いている」とのこと。
「調味料は、あくを取りのぞいた塩と蜂蜜のみで出来ており、無添加にこだわっています」と。
滑らかで上品な胡麻豆腐の上に、胡麻ソースがかかって、さらに「えっ!」というくらいたくさんのすり胡麻がかかっている。
「胡麻の三重奏や~!」と叫びたくなった。
食感も、ねっとり、とろーり、さわさわ・・・
いろんな感覚が楽しめる。
これはいいなぁと思った。
稚鮎の天ぷら。
一度、炭火で焼いた後に揚げているので、非常に香ばしく、旨みがぎゅっと閉じ込められている。
川魚の苦味が好きな者にとったら、たまらんね。
また、稚鮎の形も見とれるほど美しかった。
そして、お口直しにもずくが出た後、
丸茄子と新生姜とインゲンの炊き合わせ。
冷たい炊き合わせの小鉢で、夏らしくてよかった。
賀茂茄子の田楽もいいけれど、この上品さも捨てがたい。
日本酒も2種類(上喜元、獺祭)を1合ずつ、中野と二人で分けて飲んだ。
このとき、また嬉しかったのが、酒器を選ばせてくれたこと!
たまにそういうお店もあるが、ここは「器のことわかってるなぁ」と思うセレクトだった。
というのも、6種類くらいのいろんな酒器がお盆に乗せられて目の前に置かれ、「好きなものを」と言ってくれるのだが、
その並んでいた酒器が全部タイプの違う者だったからだ。
ガラスでも、切子と透明のものがあり、磁器があり、土物があり、錫があり、漆があった。
どれも味のある、いい器だった。
私は青い切子を。中野は透明ガラスの高台のものを選んだ。
お酒を変えると、器も交換してくれる。
二人とも最初に選んだ酒器が小さすぎてすぐなくなるのが面倒だったので、2回目は大き目のものを選んだ(笑)。
お酒もそろそろ終る頃、食事が出てくる。
ご飯は土鍋で炊き立て。
それを写真のように、ほんの2口程度。
「どうぞおかわりしてください。2膳目、3膳目で味が変わっていきますから」とのこと。
確かに最初はちょっとお米に芯がある感じだったのだが、だんだんふっくらと柔らかく、甘みも増していった。
これも土鍋ならでは!!
味噌汁はあさりが入っていて、出汁がとてもいい感じ。
それから、数種類のお漬物。
身近な人は知っていると思うが、私はお漬物があまり得意でない。
でも、こういうお店のお漬物は食べられる。(完食!)
何が違うかというと、「漬かっていない」からだ。
変にすっぱかったり、発酵していたりするのは苦手だけど、これは「お漬物」というよりほとんど「生野菜」。
それも、おいしい生野菜だ。
苦手なキュウリまで全部いただいた。
いつも思うけど、本当においしいものって、好みを超えて「おいしい」んだよな……
(味付けではなく、素材のレベルで)
お漬物も「おかわりいかがですか?」と何度も聞いてくれる。
酒があればなーと思ったけど、もうお酒もないし、おかわりはしなかった。
そして、水物はオレンジとさくらんぼ。
その後に(写真忘れた!)、その場であぶって、あんこを詰めた最中が出てきた。
それだけでも「おー!」という感じだったのだが、なんとその場でお抹茶をたてて出してくれたのだ!
いろんなお料理屋さんに行ったけど、お抹茶をたててくれたところは初めて!
その手をかけたサービスにまたうっとりとしてしまった
お腹がいっぱいになり、とてもいい気分。
温かいお茶をいただいて、少しゆっくりと食後の余韻も満喫。
小さなお店なのですぐにいっぱいになってしまったが、「大人」しか来ないのもいいなぁと思う。
隣には常連っぽい、お金持ちそうなおっちゃんがいて、1人で静かに食事を楽しまれていた。
「ああいうおっちゃんになりたいね」と中野に囁いた。
店を出ると、店主が店の前まで出てきてお見送り。
まだ若いのに、いいお店作ってがんばってるんだなぁと思う。
とても満足な食事だった
またお金に余裕ができたら行きたいし、ちょっといいものを食べたいという人にも紹介したい。
後で思い返すと、パンチを受けるような、そんな印象的なお料理はなかったのだが、
どれも誠実に作ろうとしている気持ちが伝わってきて、気持ちがよかった。
それはお料理の味だけでなく、やっぱりいろんなことの総合評価。
「おいしかった」というより、「いい時間だった」という表現がぴったりくる。(もちろんおいしいのだが)
友と過ごす「いい時間」。
40歳の大人の女性らしい、愉しみ方。