特別史跡「旧閑谷学校」の聖廟前にある「楷の木」

2010-11-21 21:57:31 | 歴史と散策

 11月13日、岡山方面のバスツアーに参加し、コースの目玉の一つであった「閑谷(しずたに)学校」を見学した。交通渋滞の影響で見学時間が短く、帰宅してからネット検索で、そのすばらしさを再認識したが、聖廟前にある一対の「楷(かい)の木」の美しさには圧倒された。ここでは、「楷の木」に焦点を当てて紹介する。

1)閑谷学校について
 ウィキペディア資料を中心に数行にまとめて紹介すると、……岡山藩主の池田光政によって開設された「世界最古の庶民学校」で寛門10(1670)年に創建された。藩士のための教育施設「岡山学校」につづき、岡山藩立の学校として開かれ、32年かけて整備完成した。地方の指導者を育成するため、武士のみでなく、他藩の子弟、庶民の子弟にも門戸を開放した。施設のほとんどが国宝、重要文化財に指定されており、世界遺産への取組みが進められている。

2)聖廟前にある一対の「楷の木」
 聖廟の前に中国の孔子林の種を育てた一対の「楷の木」があり、紅葉と黄葉が面前を覆った。ガイドの説明によると、もっとも美しい時期の訪問であった。正面に立っている駒札には、…楷は東南アジアや中国に自生するウルシ科の植物。大正4(1915)年、林学博士白沢保美氏が中国 曲阜の孔子廟の楷の実を持ち帰り、育苗したのが日本における最初のものである。そのうちの2本が大正14(1925)年に閑谷学校に寄贈され移植された。秋の紅葉が非常に美しい…と紹介されている。
    
     10-11-13-3901 楷の木の葉拡大写真               10-11-13-3902 楷の木の全体写真

 向かって左側の木は紅葉で、右側の木は黄葉であるが、斜めから撮った紅葉の楷全景の写真を示すと、
              
               10-11-13-3024    手前が紅葉、奥が黄葉

「楷の木の歴史」については、大阪大学・基礎工学部の紹介記事がある。
www.cheng.es.osaka-u.ac.jp/alumni/kainoki.htm
 この報告に、閑谷学校の一対の「楷の木」は幹の太さが2m、高さ13mで、風土に合っているためかここの楷の木が最も大樹に育っていると紹介されている。また、「楷」は中国では模範の木とされており、日本においても書体の「楷書」の語源で“つよくまっすぐ”の意味で、儒学の精神を体現するシンボリックな存在としても有名な珍木である。 
 雌雄異株で実をつけるまでに20年を要し、雄株と雌株をあまり離して植えると交配できず、実がつかない。発芽率は低いが成長力は大きく、樹齢は700年にも達し、樹高は30mになると紹介されている。

 日本国内の孔子や儒学のゆかりのある学校や他の特殊施設の記念樹として各地に植樹されているが、日本では、珍しい木として珍重されている。