専門書を開くと「サクラは一年中咲いている」と書かれている。サクラの歴史の権威と呼ばれる小川和佑氏の著書「日本の桜・歴史の桜」から、筆者の理解(責任)でその記載の一部を要約引用すると、
1月は沖縄のカンヒサクラ、3月は伊豆の河津サクラ、4月はソメイヨシノが日本列島を北上し、ヤマザクラが咲き、5月には北海道のオオヤマザクラ、6月には高い山々に咲くミネザクラ、紅葉の10月には十月サクラが11月まで咲きつづけ、12月には冬サクラが咲く。
また、「さくら雑学事典」という詳しいネット情報があり、ネパールに咲く秋桜を訪ねて旅行した記事と写真を拝見したが、京都新聞(04-12-11)の情報によると、元東京農大教授・染郷正孝氏は、「サクラの原産地はネパール、もともと高地の秋に咲いていたサクラが、日本に北上する過程で、冬に冬眠し春に咲くようになった」と指摘している。
私も素人ながらサクラの雑学に興味があり、日本各地のサクラに関する情報を集めているが、秋咲きのサクラで注目されている愛知県豊田市小原町「四季サクラ」を紹介する。
このサクラは、小原地区の医師・藤本玄碩が文政年間(1,800年代初期頃)に名古屋方面から苗を求めて植えたのが親木となって広まったもので、「四季サクラ」と呼ばれている。エドヒガンとマメザクラの種間雑種で、春に少し咲き、秋には10月初めから咲き始め、11月中旬から12月上旬が見頃である。現在では8,000本あって、10万人規模の観光客が訪問するという。
この地区は標高300m以上の高地で、南に向かって傾斜している立地にあり、染郷教授は“先祖返り(ネパール地区?)のサクラ”と呼んでいる。黄葉のイチョウや紅葉のカエデと並んで咲く「四季サクラ」は観光的にもインパクトがある。
場所は…名古屋から名鉄豊田市駅下車、名鉄バス木瀬ゆきで終点木瀬下車、おばらバス上仁木行きに乗り換える(合計1時間)、車なら東名高速名古屋IC利用、猿投(さなげ)グリーンロード中山ICから国道419号を瑞浪方面へ30分“と紹介されている。
サクラの植樹は育てやすいソメイヨシノが中心となっているが、京都市近辺でも町おこしのテーマとして、秋に2ヶ月間咲きつづける「四季サクラ」の植樹を考えてはどうかと思うこの頃である。