東本願寺・御影堂修復工事を見学

2008-10-07 18:50:13 | 歴史と散策

  真宗大谷派(東本願寺)では、2011年にお迎えする宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌の特別記念事業として、真宗本廟両堂(御影堂と阿弥陀堂)等御修復に着手し、現在は御影堂の修復が2008年末の工事完了に向けて進められている。
  10月04日、「かっぱ研究会」主催のイベントに参加し、御影堂修復工事を見学する機会を得た。案内していただいた東本願寺宗務所の延澤栄賢さんから、予定時間をオーバーする熱心な説明をしていただき、その壮大な作業に驚くとともに深い感銘を受けた。

  現在の御影堂は、明治28年(1895)に再建されたもので、正面76m、側面58m、高さ38m、瓦175,000枚、畳927枚、柱90本の世界最大級の木造建築物であり、2004年3月着工され、本年末完工予定の世紀の大修復作業である。
  東本願寺は、過去に4回の火災に遭い、とくに安政の大火(1858)と蛤御門の変(1864)により全焼に近い被害を受けたので、明治13年(1880)~明治28年(1895)の工期で再建されたのが現在の姿である。その工事期間は、琵琶湖疏水の工事期間の明治18年(1885)~明治23年(1890)と重なるが、東本願寺の再建費用は琵琶湖疏水よりも大きく越えたといわれている。今回の修復工事費用も101億円と記載(配布資料)されている。
 
 ここで、見学記を短い文章で紹介するのは難しいので一枚の写真の紹介にとどめ、細部は東本願寺の下記ホームページ内の「御蔭堂後修復日記」に2007年7月~2008年10月(現在)の経過が写真入りで説明されているので是非見ていただきたい。
http://www.higashihonganji.jp/nikki/nikki.html
 
                           
 東本願寺の修復作業は最新の近代技術を駆使して進められており、大地震にも耐えられるよう設計されているが、過去に大きい災害がなく世界遺産の認定された西本願寺では、伝統技術の採用をメインに進められていると聞く。
 御蔭堂修復が終わったら阿弥陀堂の修復に移るが、御陰堂の外側を囲った工事用建屋はそのまま左にスライドし、少し小型の阿弥陀堂を囲うことになる。御蔭堂の各所には新鋭の避雷線が張り巡っており、琵琶湖疏水から引いた本願寺水道も水圧の低下で、不足分を地下水で補っているという。東本願寺の防災対策はすばらしいが、木造主体の京都文化財の災害対策への参考となることを期待する。