美味しい「山科なす」の紹介

2008-10-01 12:19:33 | 植物と動物

 山科に移り住んで約8年を経過したが、今回初めて「山科なす」を試食する機会を得た。
  先月、竹鼻の山科別院(真宗大谷派長幅寺)で、山科駅前再開発事業十周年を記念して山科商店街主催の講演会があり、題名に興味があったので出席した。
  講演の議題は「山科なすを知る」と「中世の山科七卿と自治の伝統」で、何れも満足できる内容であり、帰りにお土産として「山科なす」5ヶをいただいた。
  期待と興味を持って好物のゴマ油味噌炒めにしていただいたが、想像以上の旨味があり驚いたので、講演の内容に若干の手持ちの情報を加えて、「山科なす」の現状を紹介する。

                   
 昭和18年(2006)11月9日の京都新聞に「京野菜復活への軌跡」と題した全面記事があるが、この中で「京野菜」は、…海が遠い京では、食生活は菜食が中心だった。さらに寺社を中心に精進料理や懐石料理が発達し、京では質の高い野菜の需要が高かった。…と説明し、京の伝統野菜として40種に近い京都独自の品種が育っていった。
 ところが、戦後は病気に強く収量の多い品種への転換が進み、80年代半ばには多くが絶滅寸前の状態になった。そこで必死の宣伝活動を進めた結果、80年代後半のグルメブームに乗り、東京進出の成功もあり、売り上げも大幅に上昇した。しかしながら、他府県が京野菜の量産を計るところが出てきて京都産を脅かす状況になった。

 「山科なす」は京都の山科区中心に栽培され、昭和初期までは京都で「なす」といえば「山科なす」を指すほどであったが、果皮が薄く傷つきやすく栽培が難しいことから市場が減少してきたが、京都府では府農業資源研究センター(精華朝)が府農業総合研究所(亀岡市)と協力して品質・収量面からの改良研究を進め、平成8年(1996)に「京山科なす」の復活に成功した。