第39回日展(京都展)を見学

2008-02-01 21:25:13 | 美術と文芸

 去る1月10日京都市美術館で日展を見学した。私は長期にわたった東京単身赴任中から美術館めぐりを楽しみにしてきたが、JR上野駅から近い東京都美術館で、毎年「日展」を見学してきたことを思い出す。私は絵を描く趣味もなく知識の蓄積もなかったが、入場料が比較的安かったことと画家人生の縮図ともいえる絵画を素人なりに評価できる楽しみがあったのである。

 美術界というのは流派の対立が大きく、これを調停する目的から、文部省が各派を統合する形で公募展(官展)をはじめたのが明治40年(1907)といわれるが、その後いろいろと名称が変わり、戦後の昭和21年(1946)に「日本美術展覧会(日展)」として再出発している。

 私が一番好きな絵画展は、一人の画家の初期から晩年に至る作品を一括展示する絵画展で、その画風が個人の生活環境の変化・他の画家による画風の影響・世界環境の影響などで変化していく過程を想像することである。また有名な画家よりは特異な画風の作品で、没後または後年になって認められた作家の見学などはとくに好きである。

 私が毎年日展を見学するのは、その年の日本画・西洋画・彫刻・美術工芸・書の6分野の選ばれた作品を一度に見られることであり、とくに絵画の多くは大作であり、その作品に込められた作家の意思が伝わってくることである。また入賞した作品がなぜ選ばれたかを想像するのも楽しい。

 昨年(2007)は日展100年記念の年で、東京の会場が昨年から上野の東京都美術館から六本木の国立新美術館に移転し、「日展100人&日展100点」が開催された。今年京都で開催された日展(京都展)は、全国巡回の基本作品と京都・滋賀の地元作品を展示しており、展示数は制限されているようだが、現代の代表的な作品を心の中で批評しながら楽しく巡覧できる京都に住めることはありがたいと思っている。