とうとう3月も終わりましたね。コロナに明けてコロナに暮れた一ヶ月間でした。初め頃はまだまだ暢気に冗談など言って笑い合っていましたが、ここまで深刻な状態に陥るとは月初めにはだれも想像しなかったでしょう。これほどに世界中を震撼させて、今なおその猛威は衰えを知りません。
こんなことは私の今までの人生では最初にして最後の体験でしょう。これまでだって確かに人類を脅かす感染症として、ペストやスペインかぜは知りませんが、エイズやSARSにMARS、エボラ熱、鳥インフルなど…いろいろ恐ろしい伝染性の病気についてはニュースで聞いて知ってはいても、他所のこととして傍観者の一人でしたし、身近にそれらの病気に罹った人がいて、恐怖を実感したこともありませんでした。せいぜいインフルエンザの流行で罹患した時。でもこれだってもうタミフルという特効薬ができていて、それを飲んだらすぐに治りましたものね。
私がウイルスの脅威を一番に感じたのは、C型肝炎ウイルスでした。目に見えない菌が肝臓に巣くって、長い時間をかけて肝細胞を徐々に破壊しているのだと教えられたとき本当に恐怖でした。
最初の発病は、まだ20代。子宮外妊娠での突然の破裂。これで一度は死にかけましたが、運良く緊急手術と輸血で助かりました。が、そのときの輸血量1400cc。牛乳瓶7本だよと言われて…。でもその時はそんなことよりただひたすら傷が癒えて学校へいつ復帰できるのかと、…それがもうすぐという時になって、急性肝炎だと。
輸血後の血清肝炎が怖いから気をつけなさいということは聞いていたし、知ってもいました。それで先生に確かめると、〝もう今は売血の時代じゃないんだから大丈夫だよ〟という返事。ところが医学書通りに間違いなく症状が出て、輸血一ヶ月後の発病でした。即入院で3ヶ月。
このときの病院では、まだC型が発見されていませんでしたので、私は〝非A非B〟。それで先生やみんなからよかったねと言われ、ああ、助かったと私も思ったのでしたが、それが大間違いだったということが分かるのは20年後でした。それからは当然慢性肝炎の診断を下されて、長い間の通院治療生活でした。
それでも普通の生活ができましたので、慢性肝炎は私の持病だとだんだん気にもしなくなりました。ところがですよ。もうすっかり肝炎のことなど忘れかけていた頃、学校の定期検診で肝臓の数値が上がっていると。それで精密検査をという通達がきました。
その後の検査でC型肝炎が判明。〝何ですか、C型って?〟と、先生に聞くと、先生は黙ってこれを読みなさい、詳しく書いてあるからと冊子をくれました。それを読むと…、
〝一度罹ると一旦沈静化してから次に発病するまで潜伏し、20年前後に再発。再発後は肝硬変から肝臓癌へと移行。その割合は非常に高い…〟と。もう目の前が真っ暗になりました。私にはもう先がないの?後何年ぐらい…10年は生きられるのかしら…など、などと考えると食事も喉を通りませんでした。主人にも言わず確か1週間ぐらいはふさぎ込んでいたような記憶がありますが、〝もうどうしようもないわ〟と腹をくくって、主人と相談し先生の言われるままに、まだ治験中のインターフェロン治療を受けたのでした。その後は…話してたらきりがありません。
とにかくウイルスはしぶといやつです。あの苦しいインターフェロンを半年も打って、やっと正常値になったと、家族中がそれは喜びましたよ。ところが、その喜びは半年しか持ちませんでした。その後は強力ネオミノファーゲンシーの点滴治療。勤務後2時間の点滴を受けては帰宅していました。これも辛かったです。だって血管が出にくくて唯一一本の血管でしのぎましたから…。だから、今でも点滴には尻込みしてしまいます。
そのうちまた、新しいものが出来たからもう一度インターフェロンしてみないかと、先生に言われ2度目のインターフェロン。今度は体験済みなので準備万端整えて…挑みました。
半年後の結果を聞きに行くとウイルスが消えていると。ああ、うれしや、うれしや!あの苦しみを乗り越えた甲斐があったと。なのに、なのに…神様は非情ですよ。正常だったのは今度は一年間。このときほどがっかりしたことはありませんでした。もう、運命に任せるしかないちゃ…と、やけにもなります。しかし、母が心配して民間療法を聞いてきては、まだ市場には出回っていなかったキョーレオピンやプロポリスなどを取り寄せ送ってくれるので、随分飲みました。相当お金もかかったんでしょうのに…。
それからどれほど経ってからでしょう。先生がもう一度…今度は良い飲み薬が出来て、それと併用すればかなりの人がよくなっていると…、また説得されました。もし今度もダメだったらもう立ち直れそうにないので、するのには勇気がいります。今までだって何パーセントかは治った人がいるというのに、私はいつも外れ…まるで私の引く籤と一緒です。だからもう半分以上は期待せずに受けましたよ。でも3度目の正直というやつ、やっとのことで…今のところ正常値で無事です。今はもう薬だけで治るようになったそうですが…。本当に医学の進歩は凄いです!それでも、ウイルスの発見から20年以上ですものね。
本当に目に見えないウイルスとは厄介なもの。肝炎のウイルスは短期間で猛威を奮うほどの強いものではないのですが、その分冒されているのが分かりにくい。それで長年の間気づかずに手遅れの人が出るということ。しかし、今回の新型コロナウイルスは伝染性が強く、また、短期間で肺を冒すという。それなのにそれに対抗する治療薬がないということ。罹ってしまうとあっという間に増殖するのでしょうね。一日も早くそのウイルスを撲滅する薬などが出来ることを祈るしかありません。新型コロナもいずれは解明されて治療薬やワクチンなどもできるでしょうが、それまでにどれほどの人が犠牲にならねばならないのかと思うとき、本当に他人事ではありません。でも、何も出来ない…
今日のニュースでは、早くも感染者が70万人を超えて、死者も3万6千人を超えたと。こんな時自分のことを長々と書いてしまいました。書き切れないことが山ほどありますが、私たちはいうならこのような目に見えないウイルスの中で生きているとも言えるでしょう。まだまだ未知のウイルスがどれほどあるのか見当もつきませんが、その度に人類は結集して、なんとかその対策を見つけてきました。
明治の初めにあれほど恐れられ、〝死の病〟と言われていた結核が今では恐怖ではなくなりましたもの。その代わりの〝死の病〟が癌ですが、それもだんだんと治癒率が高まって、以前のように癌=死ではなくなっています。ひたすら願いましょう、そして、信じましょう。世の中を、人類を…
読んでいただいた皆さん、お疲れ様でした。私の言いたいことは希望があるということ…、アリガトウございました。
お口直しに…いやお目直しに、八重山諸島の〝シーサー〟などいかがですか。沖縄での代表的なおみやげの一つ、「シーサー」は、建物の門や屋根、村落の高台などに据え付けられ、家や人、村に災いをもたらす悪霊を追い払う魔除けをするものと言われています。八重山では〝シーシー〟ともいわれ、自分の手で作ったり、色づけしたりすることができるんですよ。これで、コロナを撃退しましょう!基本的なのは一枚目の屋根の上。でもみなそれぞれにカワイイでしょ。
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