亀の川登

難聴に苦しむ男の日記帳。

赤いカーネーション

2014-06-18 | 法話

 

一人の女の子がいました。名前は法子ちゃん。法子ちゃんはお母さんの顔を知りません。法子ちゃんが生れるとすぐに病気で亡くなったからです。お母さんの代わりのおばあちゃんに大切の育てられた法子ちゃんは、この春、幼稚園に通うことになりました。

入園式の日、法子ちゃんと同じ新入園児たちの傍らには「お母さん」と呼ばれる人がいました。おばあちゃんに可愛がられて、なに不自由なく、さみしい思いも感じていなかった法子ちゃんでしたが、その時、はじめて自分には「お母さん」がいないことを実感したのでした。

「どうして法子には、お母さんがいないの?」 

と尋ねられたおばあちゃんは、入園式を終えて家に帰ると、法子ちゃんと一緒にお仏壇の前に行き、お灯明をあげ、お線香に火を付けると、二人で仏さまの前に座りました。 

 法子ちゃんのお母さんは、亡くなる前に、おばあちゃんに、たった一つだけお願いをして往かれました。 

 「法子が大きくなって、このことがわかるようになったら、伝えてください。私は仏さまにならせていただきます。そして、いつでも法子のことを見ています。いつも法子のそばにいます」 

 生まれたばかりの法子ちゃんに直接伝えることができなかったお母さんは、おばあちゃんに頼んでいかれたのでした。 

「よく聞いてね。あなたのお母さんから頼まれていた大切なお話があります。……あなたのお母さんは、いないのではありません。お母さんは、仏さまになって、いつも法子のことを見ていてくださるよ! 

と伝えました。 

 法子ちゃんは元気に幼稚園に通っていはじめます。4月が終わり5月になると、幼稚園の先生は、 

「もうじき、母の日ですね。母の日に、お母さんのお顔の絵を描いて、プレゼントしましょう」 

と、子どもたちに言いました。そして、母の日の前日の土曜日に、 

「お母さんのお顔の絵が描けましたね!一日早いですが、お家に帰ったら、早速お母さんにプレゼントしてくださいね! カーネーションのお花を用意しましたから、一緒にプレゼントしてくださいね!」 

 そういう先生は、みんなに赤いカーネーションを配りました。みんなが赤いカーネーションをもらうのに、法子ちゃんだけ、先生は白いカーネーションを渡します。法子ちゃんは「どうして?」と尋ねます。先生は、 

「法子ちゃんは、お母さんがいないでしょ!お母さんのない子は、白いカーネーションなんですよ」 

と答えます。法子ちゃんは、受け取りません。 

 「先生、私は、赤いカーネーションです。赤いカーネーションください!」 

と言います。何度もそのやり取りが続いて、先生は仕方なく法子ちゃんにも赤いカーネーションを渡しました。 

 元気に幼稚園から帰ってくると、法子ちゃんは、真っ先に仏さまの前に座りました。そして、小さな掌を合わせて、大きな声で、 

お母さん、ありがとう。いつも、法子のこと見ていてくれて、ありがとう。そばにいてくれて、ありがとう」 

とお礼を申してくださいました。その姿を見て、その言葉を聞いて、おばあちゃんは、嬉しくて涙がいっぱいこぼれてきました。ご仏前には、お顔の周りに黄色いクレヨンで、くるーっと後光が描かれた仏さまのお顔の絵と真っ赤なカーネーションがお供えされてありました。

この前、お寺から頂いた小冊子に書いてあったのを一寸拝借しました。

太字で書いたところは、私にはちょっとショッキングだった。

もしそんなことを先生に言われたら、私だったらたちまち幼稚園にはいかなくなるでしょう。

それから大きく書いた部分、羨ましいね。私にはそんなこととても言えません。

お母さんがいないと言われて傷つく子供もたくさんいると思うけど。

 

140618_060922最近は座卓の上に平気で上がるようになった。

でもだいぶおとなしくなって悪さをあまりしなくなりました。

 

コメント (1)
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