昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第三章“石ころと流れ星”(短期集中再掲載)   18.奈緒子の部屋へ。

2012年11月15日 | 日記
奈緒子の部屋へ。 新宿駅に着くと、午後2時を少し回っていた。約束の時間を過ぎている。人ごみを縫うように改札へ急ぐ。人の群れの中から、すぐに奈緒子を見つけることができるのだろうか、と思った矢先、奈緒子と思しき声が聞こえてきた。弾けるように明るい声だった。 「こっちよ〜!」 好奇の視線を浴びるほど大きな声で手を振る奈緒子が見えた。その瞬間、僕の中でずっと縮こまっていた感情が大きく背 . . . 本文を読む