その名の通り、火祭りロード20キロは、とても熱いレースです。暦の上ではすでに秋とは言え、例年炎天下のレースとなり、コースはスタート直後から延々2キロを超える上り坂、ほとんど平地らしきところがないアップダウン・コースを駆け巡り、最後はまたゴール直前に3キロにも及ぶ急な上り坂が待っています。その過酷な条件から、人々は畏敬の念を込めてこのレースを「血祭りロード」と呼びます。
そして、その厳しさゆえに、今回第27回を迎えるこの大会は、多くのランナーを魅了して来ました。私(THさん)も例外では有りません。昨年久方ぶりに走って1時間47分29秒、今年は1時間40分で走り見事に「今世紀自己新記録」を達成しようと意気込んでいます。
この大会は、ネットタイム計測が有りません。したがって記録を狙うランナーは自然に前のほうに並びます。スタート前30分、すでにMSさん、MFさん、TSさん、THさんの4名は、スタートラインのすぐ後ろに陣取りましたが、余裕のありそうなNMさん、KHさんは、どこに並んでいるのか、影も形も見えません。競技場に到着した頃はまだ涼しかった天候も、この頃になると直射日光がじりじりと肌を焼きます。
そして午前10時、20キロの部のスタートです。競技場のトラックを半周もしないうちに、スピードを誇るMFさんが、スーッと前に出て一気に差を広げます。私も必死で食い下がりますが、嫌な感じで差が広がります。競技場を出るとすぐに急な登り坂で、さすがにMFさんのスピードも鈍りますが、TSさん、MSさんの様子を確認する余裕も無く、ただひたすらMFさんの背中を見て進むのみです。この上り坂は延々2キロ、途中で大きな声で私たちを応援しながら走る谷川真理さんに追い越されましたが、その余りに華麗なランニングフォームには、ただ息を飲むばかりです。
やっと上り坂を終え、長い下りに差し掛かったあたりで、MFさんは一気にスパート、あっという間に見えなくなりました。「今後は、下り坂の練習が必要だなー」なんて考えて走っているうちに、今度は突然NMさんが後ろから現れ、一声掛け、またまたあっという間に追い抜いて行ってしまいました。2人とも、身体が実に軽そうです(羨ましい!)。おまけに、スタート前にTSさんが「最初ぴったり付いて行って、下り坂で一気に引き離す」と言っていたのを思い出し、なんとなく心配になる下り坂です。でも、なんとかTSさんに追いつかれずに約5キロの下り坂を終え、またまた急な上り坂ですが、ここも直射日光が容赦なくじりじりを肌を焼きます。細かいアップダウンを繰り返しながら、10キロ地点を通過、タイムは50分23秒、予定より少し遅いが「この暑さを考えれば、まあまあのタイム」と自らを慰めます。ここまで、まったくKHさんに会っていないけど、もうずっと前を行ってるんでしょうねえ。
そこからさらにアップダウンを繰り返し、火祭りでにぎわう「富士浅間神社」からはしばらくの間、道幅の狭い折れ曲がった市街地を走ります。そしてはるか遠くに、MFさんの派手なランニングキャップが見え隠れします。5月の山中湖ロードレースでは、17キロ地点で先行するMFさんに追いついたのに、一声掛けたばかりに、また引き離されてしまった苦い経験があります。今度は内緒で抜こうと心に決め、張り切って前進しますが、なかなかその差は縮まりません。そして、「魔の上り坂」が始まり、17キロ地点を通過、タイムは1時間25分55秒、予定より1分弱の遅れですが、ここからはすべて登りです。少し前を見ると、なんとMFさんが登り坂の左端をふらふら歩いているではありませんか?しめたとばかり、道路の右側により、気付かれない様に一気に抜きにかかります(かなり姑息ですねー)。そしてそこから3キロ、気力を振り絞って、息も絶え絶えのゴールを迎えます。タイムは1時間43分2秒、目標タイムより3分余り超過ですが、それでも去年のタイムを4分半ほど短縮、立派な今世紀自己新です(拍手!)。
そして3分ほどして、MFさんがゴール。抜かれたのは良く判っていたそうで、「平地なら抜き返すのに!」と負け惜しみ、相変わらず負けず嫌いのMFさんです。NMさん、KHさんとはその後もまったく会わず、後で聞いたら2人とも私よりずっと前のゴール、さすがです。TSさんとMSさんも見事に完走するも、暑さにやられたようで、惜しくも「サブ2達成」はならず、来年に期待しましょう。いずれにしても、みんな無事で楽しくゴールし、あとは冷たいビールで乾杯!が待っています。そしてこれで、私の「暑い夏」が終わったのです。
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