福島第一原発事故の大きな特徴は、原子炉建屋内に大量の水素が溜まって爆発したことである。しかし、原子炉や配管系に損傷が無ければ、燃料棒がむき出しになって水素が発生しても、これほど多量に外部に漏れだす可能性は低いはずだ。
例えば、1979年のスリーマイル島原発事故でも水素が発生したが、ほとんどが原子炉格納容器内にとどまり、建屋が吹き飛ぶことはなかった。
原子炉を停止中の4号機で、プールに一時保管していた核燃料が原因と見られる水素爆発が起こるのは3月15日。地震発生の4日後だが、この時点で1号機と3号機はすでに建屋の爆発を起こしている。少なくともこの二つの爆発については、使用済み核燃料の貯蔵プール以外、つまり原子炉から水素が漏れ出た可能性が高い。
とくに、1号機に関しては、地震が発生した3月11日夜から12日未明にかけて、圧力容器内の水位が急速に減少する一方、圧力が激減しているデータがある。これは原子炉本体の地震による損傷をダイレクトに示唆している。
また、1号機から3号機の事故経緯が、それぞれ大きく異なっていることも注目すべき点である。津波によって冷却ポンプを動かす電源が喪失しただけであれば、同じような構造を持った機械系なのだから、その後、似たような事故経過を辿るはずである。これほどの相違が出るのは、地震による損傷具合が各機まちまちだったからとするのは、自然な考え方である。
2時46分の巨大地震とその後ほとんど絶え間なく続いた余震によって、原子炉やパイプ・バルブ系が損傷し、大量の水素が漏れ出てしまった。これは、今後の事故原因調査でまず一番に検証するべき説である。
というのも、もしこの説が正しければ、現在稼働中のすべての原発について、耐震設計を見直す必要があるからだ。
東京電力の清水正孝社長は参議院の予算委員会で証言し、「想定外の津波」による事故であることを強調した。しかし、3月11日に福島第一原発で何が起こったのか、地震による被害、津波による被害はそれぞれ何だったのか、現段階では「分からない」という他ない。
「津波被害を受けなかった福島第二原発や女川原発は何事もなかったではないか」という意見もあるが、同じ大きさの地震でも、建っている場所によって揺れの質が違ってくるのは不思議なことではない。第二や女川が大丈夫だったから第一も壊れなかったはずというのは、粗雑な議論と言わざるを得ない。
「原発は地震ではびくともせず、その後の想定外の巨大津波で今回の事故が起こった」というのは、東電にとって最も有り難い仮説であるが、それを支持する根拠は日に日に弱まっている。
少なくとも、本格的な事故原因の調査が始まる前に、事故を起こした会社のトップが「想定外の津波」を強調するのは、責任逃れにしか聞こえない。
そもそも「想定していた津波」が妥当だったかどうかも含めて、検証が始まるのはこれからである。
例えば、1979年のスリーマイル島原発事故でも水素が発生したが、ほとんどが原子炉格納容器内にとどまり、建屋が吹き飛ぶことはなかった。
原子炉を停止中の4号機で、プールに一時保管していた核燃料が原因と見られる水素爆発が起こるのは3月15日。地震発生の4日後だが、この時点で1号機と3号機はすでに建屋の爆発を起こしている。少なくともこの二つの爆発については、使用済み核燃料の貯蔵プール以外、つまり原子炉から水素が漏れ出た可能性が高い。
とくに、1号機に関しては、地震が発生した3月11日夜から12日未明にかけて、圧力容器内の水位が急速に減少する一方、圧力が激減しているデータがある。これは原子炉本体の地震による損傷をダイレクトに示唆している。
また、1号機から3号機の事故経緯が、それぞれ大きく異なっていることも注目すべき点である。津波によって冷却ポンプを動かす電源が喪失しただけであれば、同じような構造を持った機械系なのだから、その後、似たような事故経過を辿るはずである。これほどの相違が出るのは、地震による損傷具合が各機まちまちだったからとするのは、自然な考え方である。
2時46分の巨大地震とその後ほとんど絶え間なく続いた余震によって、原子炉やパイプ・バルブ系が損傷し、大量の水素が漏れ出てしまった。これは、今後の事故原因調査でまず一番に検証するべき説である。
というのも、もしこの説が正しければ、現在稼働中のすべての原発について、耐震設計を見直す必要があるからだ。
東京電力の清水正孝社長は参議院の予算委員会で証言し、「想定外の津波」による事故であることを強調した。しかし、3月11日に福島第一原発で何が起こったのか、地震による被害、津波による被害はそれぞれ何だったのか、現段階では「分からない」という他ない。
「津波被害を受けなかった福島第二原発や女川原発は何事もなかったではないか」という意見もあるが、同じ大きさの地震でも、建っている場所によって揺れの質が違ってくるのは不思議なことではない。第二や女川が大丈夫だったから第一も壊れなかったはずというのは、粗雑な議論と言わざるを得ない。
「原発は地震ではびくともせず、その後の想定外の巨大津波で今回の事故が起こった」というのは、東電にとって最も有り難い仮説であるが、それを支持する根拠は日に日に弱まっている。
少なくとも、本格的な事故原因の調査が始まる前に、事故を起こした会社のトップが「想定外の津波」を強調するのは、責任逃れにしか聞こえない。
そもそも「想定していた津波」が妥当だったかどうかも含めて、検証が始まるのはこれからである。