10~50 ミリシーベルトなら屋内退避、50ミリシーベルト以上なら避難。
原子力安全委員会が定めた指針である。この指針に沿って、福島第一原発から30キロ以遠の地域について、政府は「屋内退避も避難も必要ない」としてきた。
だが放射性物質の流出が長期化するに従い、福島県浪江町のように累積10ミリシーベルトを超える場所が出てきた。当然のことだが、安全委員会がしなければならないのは、浪江町を屋内退避エリアにするよう政府に勧告することである。
ところが、突然、自ら決めた指針を変更して「20ミリシーベルトで屋内退避または避難」と言い始めた。これに従えば、しばらくの間、浪江町は今まで通り「屋内退避も避難も必要ない」地域ということになる。しかし、いよいよ屋内退避なのかと心労が絶えない日々を過ごしている住民にとっては、急に政府の方針が変わって、もうあと10ミリシーベルトくらいまでなら大丈夫ですよと言われても、むしろ不安が募るばかりだろう。
安全委員会は、重要な研究論文が最近発表されて、従来の考え方が誤りだと判明したから、指針を変更したわけではない。一方「浪江町はまだ安全」という結論自体は、移動制限区域を出来るだけ広げたくないという政府の思惑に合致する。制限区域の拡大は原発事故の悪化を国内外に印象づけることになるからである。
また、現在、屋内退避エリアになっている20~30キロ圏では、物資が届かず、住民の困窮も限界に近づきつつある。政府は何をやっているのか、という声は日増しに高まるっている。だが、「屋内退避で大丈夫」とする従来の方針を変えて、政府が50ミリシーベルトに届かない区域の住民を避難させれば、自らの最初の判断は誤りだったと認めることになる。
「20ミリシーベルトで屋内退避または避難」の勧告は、政府がメンツを潰さず、20~30キロ圏に避難指示を出すことが出来る便法である。同時に、移動制限区域を30キロ以下にとどめておけるのだから、政府にとっては「渡りに船」である。
IAEAが福島県飯館村の住民を避難させるよう勧告した際、安全委員会の一人が「IAEAは葉っぱの上を測定しただけ。日本の方がより正確な測定」とまくし立てていたニュースは記憶に新しい。
その主張が正しいかどうかはともかく、「避難地域を広げるべき」という国際圧力から、日本政府を守ったことは間違いない。どうやら内閣府原子力安全委員会の「安全」は、「政府の安全」であって、「国民の安全」ではないらしい。
政府の都合に合わせて、如何様にも基準値を変更する委員会は、国民にとって百害あって一利なしだ。こんな御用聞き委員会はさっさと潰して、本当に国民を守ってくれる組織を一刻も早く作るべきである。
原子力安全委員会が定めた指針である。この指針に沿って、福島第一原発から30キロ以遠の地域について、政府は「屋内退避も避難も必要ない」としてきた。
だが放射性物質の流出が長期化するに従い、福島県浪江町のように累積10ミリシーベルトを超える場所が出てきた。当然のことだが、安全委員会がしなければならないのは、浪江町を屋内退避エリアにするよう政府に勧告することである。
ところが、突然、自ら決めた指針を変更して「20ミリシーベルトで屋内退避または避難」と言い始めた。これに従えば、しばらくの間、浪江町は今まで通り「屋内退避も避難も必要ない」地域ということになる。しかし、いよいよ屋内退避なのかと心労が絶えない日々を過ごしている住民にとっては、急に政府の方針が変わって、もうあと10ミリシーベルトくらいまでなら大丈夫ですよと言われても、むしろ不安が募るばかりだろう。
安全委員会は、重要な研究論文が最近発表されて、従来の考え方が誤りだと判明したから、指針を変更したわけではない。一方「浪江町はまだ安全」という結論自体は、移動制限区域を出来るだけ広げたくないという政府の思惑に合致する。制限区域の拡大は原発事故の悪化を国内外に印象づけることになるからである。
また、現在、屋内退避エリアになっている20~30キロ圏では、物資が届かず、住民の困窮も限界に近づきつつある。政府は何をやっているのか、という声は日増しに高まるっている。だが、「屋内退避で大丈夫」とする従来の方針を変えて、政府が50ミリシーベルトに届かない区域の住民を避難させれば、自らの最初の判断は誤りだったと認めることになる。
「20ミリシーベルトで屋内退避または避難」の勧告は、政府がメンツを潰さず、20~30キロ圏に避難指示を出すことが出来る便法である。同時に、移動制限区域を30キロ以下にとどめておけるのだから、政府にとっては「渡りに船」である。
IAEAが福島県飯館村の住民を避難させるよう勧告した際、安全委員会の一人が「IAEAは葉っぱの上を測定しただけ。日本の方がより正確な測定」とまくし立てていたニュースは記憶に新しい。
その主張が正しいかどうかはともかく、「避難地域を広げるべき」という国際圧力から、日本政府を守ったことは間違いない。どうやら内閣府原子力安全委員会の「安全」は、「政府の安全」であって、「国民の安全」ではないらしい。
政府の都合に合わせて、如何様にも基準値を変更する委員会は、国民にとって百害あって一利なしだ。こんな御用聞き委員会はさっさと潰して、本当に国民を守ってくれる組織を一刻も早く作るべきである。