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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

「5年で原発半減」を目標にグリーン技術革命を起こせ

2011-04-05 06:01:54 | 政治
日本では、電力の原子力依存度は30%である。従って、家庭、工場、ビル、公共交通機関など、すべての電力使用者が15%の節電に成功すれば、原子力発電所を現在の半分に減らすことが出来る。

3月11日以前であれば、こういった計算は理論上のお遊びに過ぎなかったが、東日本大震災によって福島第一第二原発が完全停止した今、真剣に考えるべき現実となっている。

使用電力を急に減らせないため、首都圏では計画停電が行われ、電車の本数が減り、工場が稼動停止に追い込まれ、夜の街から明かりが消えてしまった。

また、次の夏までに何の手も打たなければ、うだる暑さの中、家庭、職場、電車内でクーラーすら止めなければならない事態が確実にやって来る。しかし、多くの人が外出を控え、物も買わず、遊びもせず、イベントも中止で、家でじっと暑さに耐えているだけでは、社会が麻痺状態に陥り、やがて破滅的な不況が襲ってくる。

この危機を避けるために、15%の節電は、もはや控えめと言っても良いほどの最低ラインになっている。

しかし、15%の節電を強いられるというのは、決して悪い面ばかりではない。いやむしろ、このピンチを上手く乗り切って「低エネルギー高品質社会」を実現すれば、不景気に喘ぐ日本を救う絶好のチャンスになる可能性がある。

勿論、「暗い」「寒い」「暑い」のを我慢したり、「楽しい」ことを自粛すれば、節電は可能である。しかし、それでは失業者が増えるだけで、何も生まれない。生活の質を向上させつつ、節電を成し遂げる。多くの人がそれを目指すことで、ピンチをチャンスに変える可能性が見えてくる。

といっても、難しいことをやる必要はない。要は「お金を使って節電しよう」ということだ。

まず第一に、すべての電力使用者が現在使っている電化製品を調査して、消費電力のより小さいものへの買い替えを進めることである。

例えば、古い型のクーラーを最新型に変えるだけで、相当な節電効果が現れる。また、白熱電球を蛍光灯へ、蛍光灯をLED照明に替えるなど、可能な限り1ワットでも少ないものを求めればかなりの節電になる。

さらに、新しいパソコンやテレビを購入する際に、多くの人が消費電力を考慮する習慣を身につけるだけでも意味がある。

第二に、ソーラーシステムなどを導入して、自家発電の量を増やしていくことである。大きなマンションやアパートでは、真夏の太陽光を使えばかなりの発電量になる筈だが、現在のところソーラーパネルを装備しているところは、あまり多くはない。

また、地域によっては、小規模な水力発電や地熱発電を地区単位で行うことも可能なはずだが、これもあまり見かけない。

こういった自家発電については、電力会社保護のために様々な規制が掛けられていて、それが普及のネックになっている面がある。しかし、逆に言えば、規制をなくして上手く促進すれば、東京電力が危なくなるほど、強力な電力供給源に成り得るということである。

一方、都心にあるような大きなビルや公共施設については、一定量の節電、あるいは使用電力の一定パーセントをグリーンエネルギーで自力調達するよう目標設定を促すべきだ。

何々ヒルズといった巨大ビルの電力事情は、これまであまり問題になることはなかったが、利用者が省エネルギーに積極的な施設を評価して、そこを優先的に利用する姿勢を見せれば、施設の側も変わっていくだろう。

「お金を使った節電」とは、エコ商品やグリーンエネルギーにどんどんお金を使って、生活の質を落とさずに、節電を達成する方法をみんなで模索することである。計画停電が続く首都圏で、具体的な節電対策の積み重ねの中から、個人や企業がより良いものを積極的に取捨選択することが重要だ。

そして、節電はプラスの経済効果を持っていること、「低エネルギー高品質社会」は実現可能だということを、首都圏が示せれば、やがて日本全国が同じ方向を目指すようになるだろう。

個人の消費や企業の設備投資が、省エネルギー対策やグリーンエネルギーの利用という方向に流れ始めれば、政府が行う公共事業以上の効果をもたらす。多くの企業が参入し、より優れた技術を開発したり、より効率の良いシステムを提案していくだろう。

その中でヒット商品が生まれれば、それは景気浮揚につながるし、今後、強力な日本の輸出商品となる可能性もある。少なくとも、「安全な原発」を輸出するより、はるかに世界の人々に受け入れられるはずである。

巨額の借金を抱える政府は、もう日本国民には何もしてくれない。消費者や企業が、自らのお金を出して、日本という国を引っ張っていくしかない。

そして選択できる道は二つだけである。

今後も東京電力の「無計画」停電に振り回されて、その挙句に、泣く泣く「安全な原発」に頼り続けていくのか、それとも、お金を使って積極的な節電対策を行い、その過程で画期的な技術革新を成し遂げ、グリーン技術で世界を牽引する国になるのか。

決めるのは日本人自身である。


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