KADOMIUMTANK ソフビブログ

ヘミングウェイの詩にこんなのがある。
「人生は素晴らしい 戦う価値がある」
後の方は賛成だ byモーガン・フリーマン

Zollmen スペースガイ56

2012年01月14日 | インディーズソフビ

 スペースガイ56(イソロク)のヘッダー。スーパーロボット、スーパーカー、駄玩具や超能力など
小学生の消費宇宙にとっぷりと浸かって覚醒した主人公が描かれる・「きみの ぼんのうが
イソロクをうごかす!」そう、56のパイロットはヤツを手にした煩悩まみれのキミだ!

スーフェスも終わったのですが、その後いくつかイベントもあり、手のあいた時になりますが
随時紹介していきます。
寒いので、居る場所は温かくしてますがマンパワーが落ちるにゃー。
皆さま風邪をひかないでください。自分はかろうじては回避してますが
どうも長引くタイプのようです。特に夜更かしは最大の敵ですぞ。

というわけで今回はZOLLMENさん関係。上のソフビは11月に紹介したモンベモンですが、
モンベモンの名付け親のヒトがイメージイラストに描いていたスーパーメカ、スーパーガリー
というのがオリジナル設定で存在しています。それが今回のモンベモンの販売で
おまけについてたりしないかな~とか思っていたんですが、
いつもイベント会場でお会いするヒトがタコブログを見ていて、昨年末のパチサミのときに
「調べたら、こ、こんなのがあったんですよ!」と贈り物にいただいた。

スーパーガリーの元ネタとなる実在でオホーツク海を航行しているガリンコ号ⅡのチョロQ!

チョロQはこんな機体もいつのまにか製品化していたんですね。映画の車両や特殊車両モノの
時はタコもチェックしていたけど、びっくり。大概、このガリンコ号の底部は氷の中に沈んでいる
写真しかないんですが、こんな感じになってます。やはりドリルというかスピンドルみたいな
回転する刃で流氷を欠いて進んでいるんだな。構造がおぼろけにわかる。

このまま特撮映画に出てきそうですね。こんな船で移動して居たら流氷に乗っかった
カップルのモンベモンに出くわして、とかストーリーも膨らむ。いただいた方がはじめこれを
出してきた時は、ああモンベモンに非売品のオマケとか、やっぱりあったのか!?と
一瞬思いました(笑)。
ほんとに貴重なものをご提供いただきありがとうございます!モンベモンといっしょに
飾っております。

続いて昨年リリースしたZOLLMENさんの受注製品、スペースガイ56(イソロク)。
メディコムさんの記念誌で発表・購入できた限定品でもあります。

現物を見て(といっても昨年夏のワンフェスメディコムブースでも
すでに現物を見ていたんですが)驚くこのデカさ。
同じZOLLMENロボットキャラクターのマッドバロンとこうやって並べても約1・5倍。
このマッドバロンはまんだらけさんで一昨年販売したZOLLMEN×まんだらけ限定
カラー「ぼくが~やらなきゃ~だれがやる~」ヒーローのカラーver.です。

マッドバロンもですが、今回の56はさらにスケールも伴ったことで、
昭和のおもちゃの無暗にデカいヌボーッとしたポリ感もサイズでよく表現できています。
EXOHEADさんの造形の特徴である、胴太で手足の先が細いコミカルなテイストが
よく活かされている造形物ではないでしょうか。
イソロクという名前も、昭和の頃にまだ戦中世代の作り手もいたであろう
アニメやおもちゃ産業に従事する関係者が自分世代の戦いへの高揚感を
スーパーロボットにも価値観としてつい植え付け、子どもたちに自分らの時代感を強要してしまう
「ズレた感覚」をそのまま体現しているようです。
「魔神バンダー」の最終回ではSFなのに、特攻シーンで「きっさまとおれと~は~♪」と
「同期の桜」が流れていたそうですが例えるならそんなズレですね。

そうであれば原型師のEXOHEAD氏やZOLLMENさん特有のブラックユーモアなのでしょう。
昔のロボットアニメは作り手の「自分ら世代のおとし前」のつもりなんだか、
最終回で特攻とか、ほんと多かったですね。この56もそういったコンテンツを消費してきた
世代から出てきた作り手が再生産した「自分らなりのおとし前」をつけたプロダクツ
なのかもしれません。



マッドバロンよりも、グーパンチでちょっとたのもしいけど、やはり何かこころもとない。
ZOLLMENアイテムのスーパーロボットはちょっと見、たよりなさそうなところがまたミリキ。
でもマッドバロンは、フェイスガードがとれるギミックがついてるけど、形相から想像するに
たぶん制御不可能になって凶暴化するんだろうな。

 細かく見ていくと、足のブーツのところにナイフを装備していたり、乗用のタラップがあったりと
設定をフルディティールとして盛り込んでいる感じ。ナイフは何かと戦うための、少年期永遠の
武器。ベルトも80年代のメタルバンドのヒトが着けているみたいなギザギザモールドが
入ってます。スーパーロボットがまとう少年期の煩悩を表出しようと造形作業がどこか偏執的
ですらあり、見ていて笑ってしまいます。
カラーですが、これはア●トロ◎ンガー風のカラーですね。それか昭和のアニメ会社、ナ◎クの
作るアニメってこういう青基調に三原色をぶち込んだ機体カラーのロボットが多かったような。
当時一世を風靡したダイナミック系ロボと比較するとやや地味めな、今古道具店などでゴロン
と転がっている得体の知れないロボのおもちゃ、といった面持ちを再現したような、作り手の
気分も伝わってくる感じDeath,



バックビュー。何か戦闘機と言うか独立した飛行ユニットと合体するプロセスがある感じですね。
顔の部分はフェイスガードで封じられているんですが、後頭部でしっかり留められている
(一体成型ですが)このマスクが外れるといったいどうなるんでしょう。
昭和のアニメは主人公メカでも、主人公でも口を隠したマスクをしているキャラが多かったです
ね。そういう細かい懐かしのロボットアニメのアイコンをあちこちに配置して作られたのが
この56なのでしょう。思いだすと、アメフトが人気の時代は顔がヘルメットになって口元が
隠れているスーパーロボットもありました。



今回もギミックありました。
上半身を上にスライドさせると二重になっており、内蔵メカの部分が
ガバッと露出し、その中の空洞部分に、ヘッダーにも描かれている
少年が!座禅を組んでおり、56に思念波を送って操縦中!

胡坐をかいてるポーズから見て、インド系のタオイズムなどもからんでいる操縦法のようです。
同時に内臓パーツが見えるのはEXOHEAD氏のデビュー以来根底に持つ贋サイボーグ
という造形志向が今回も製品の中に垣間見えるといってよさそうですね。


 

 足にもローラースケート。ブーツに勝利のVマーク!とにかく全身にぬかりなくジャリカルチャーの
アイコンがちりばめられている56。
しかも主流だったダイナミック系でなく、当時子どもから見ても外様感のあったアニメ会社の
ロボットのイメージアイコン、70年代のロボットコンテンツビジネスのヤレにあたる部分のみを
あえて抽出・結集したテイストが、「普通のモノはつくらない」作り手の
強固な極北標榜の意思表示にもなっているように見えます。

昭和の頃、ガンダムやマクロスの台頭に代表されるリアルロボの潮流に一度は
淘汰されてしまったヒーローロボットアニメなんですが、
リアルロボ主流の80年代に入っても、そういう作り手が意固地に70年代と同じような方法論で
作り続けている時期もありました。
子どもたちもそのズレた感覚に当惑しながらサンライズアニメなどと並行して
視聴していた頃があったんですが、56は、EXOHEAD氏の几帳面な造形の中に
その頃の意固地な70年代的空気を引きずったアニメにもあった
ビジュアルアイコンをふんだんに放り込んだ印象もあり、ソフビでこんな所を標榜するかい、
というおかしさからプロダクツとしての独自性を放っているということではないでしょうか。

昭和70年代後期くらいにさまざまな大人たちの作り上げた無数のジャリカルチャーに
搾取された子どもたちの煩悩がこの56のヌボーッとしたボディにスーパー装備として随所に
狂い咲きしている格好Death。
スペースガイ56のボディをスライドするとそこに居るこの少年は、
ココロの中に小学生くらいの子どもの煩悩を今も抱えつつ、
夜に昼にソフビだ怪獣だと騒いでイベント会場やネット上をひみつきちにして
祭りを再生産・継続している我々自身の姿なのかもしれません。