KADOMIUMTANK ソフビブログ

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デスオモチャ2012③裸のランチ

2012年03月28日 | モンド・トラッシュ

 

前日に書いたDVDレコの故障で急な機種交換になった件、とりあえず今後入手できる
見こみのない映像データだけはなんとか仕事の合間に動画にエンコードしたり
VHSにダビングできたんですが手元に置いておく映像の総数とか今後は考えながら
やっていかないと、結局ブルーレイになっても同じワダチを踏みかねないな、とこれからに
ついて検討している段階。

てなわけでじゃおもちゃは増えていいんかいというツッコミが入りそうな話なんだけど、
またまた自分価値での妙な探求品を紹介するデスオモチャ。
これはデスオモチャじゃなくて癒し系だけど、最近入手した昭和のカッパ首振り人形。
ん?別におもちゃでもソフビでもないぢゃん、と思うだろうけど、特撮に詳しいヒトはこの緑の
カッパボビンヘッドの人形を見て、あれか!と思うことだろう。
じつはこれぞ隠れた「ウルトラセブン」アイテム。

ウルトラセブン「水中からの挑戦」に登場するカッパの人形と同一のアイテム。劇中のラストで
ウルトラ警備隊の没テーマソングをバックに、河童同好会のヒトたちが、カッパが宇宙人だった
事実を知ってもなお本物の河童は実在すると夢を忘れず力説している心温まるシーン。
同好会の車のダッシュボードで彼らの発言にうなづくように揺れていた人形。
タコ的にこの人形、市販の有りもので実在すると思っていたから、かれこれ30年以上も
(探すなよ・苦笑)根拠もなく探求していた。でもやっぱりあのウルトラセブンの
カッパはあったんだ!

マーミットさんの赤ちゃんテペトといっしょ。ソフビもこうなるとどこかの地方の土産物で
売られている郷土玩具みたいですね。劇中のと首のところの飾りものなど、細かいところが
違うのですが型は同じものですね。どこか観光地の土産物かと思ったんですが入手して
よく調べたものの、場所などの表記はなかったです。

 背中のコウラはヒョウタンのようにカットされた布が貼られています。
河童モノのこけしなども逆柱いみりさんの作品「ネコカッパ」などでそれっぽいキャラが
出てくるからタコも影響を受けたか、古道具屋とか少し遠くに出張に行ったときに
気に行った仕様のものはちょろちょろ気ままに集めているんですが、
気が付いたらソフビブログならぬ民芸品ブログになっていたりしないか。まあそれはないですが
しかしこけしや河童アイテムはなごみマスね。自分は昭和のパチ怪獣ソフビにも
民芸品と同じような心緩ませる感度の根っこをかぎとっております。

そしてなごみから一転してハードな麻薬書簡ノセカイへ。「カットシティに飛んで行け!」
自分が持ってるおもちゃでまちがいなく10指に入るオールタイムベストアイテム。
10と言ってもどれが一番と言うのではないけど、ヤツは持つたびに脳内がインターゾーンに到達し
もはや言語にならないセカイの出来事が頭に浮かんでたちまちハアハアしてくる
デスオモチャの冠を付するに相応しい邪悪な妄想ツール。
メディコムトイさんが映画「裸のランチ」のDVD販売時に製作・販売した禁断のソフビ
1/1フィギュア、バグライター。彼はその大きさもあってもはやTOYというよりも
家具に分類されるところでつきあいももうかなり長いです。

殺虫剤の麻薬的効果に耽溺して日々幻覚を見ながら奇怪な小説を綴る主人公の
小説家・ビルにバグライターが命令を下す。

「インターゾーンでは全てが許されている。ビル、お前はインターゾーンに
潜入し秘密組織の黒幕を捜査するホモスパイに就職するのだ!」

夫婦ともども強力な麻薬効果を持つ殺虫剤でラリった勢いで、嫁さんにウイリアム・テルごっこと
称し頭にグラスを載せさせて銃で撃ったら、うっかりねらいどころが外れて嫁さんの頭に貫通させ
死なせてしまったビルは、アウアウして米国の警察権の働かないモロッコにある(とビルが
思い込んでいる)暗黒地帯、インターゾーンに逃走。
嫁さんを死なせたのも謎の組織の陰謀であると示唆し、組織を捜査すべく
ビルにタイプライターを通じて指令を送る直属の上司(が居るとクスリをキメて最高に
イッちゃってる時のビルが思いこんでいる)がこのブキミキュートなバグライター君。
ていうか嫁さんをうっかり銃で撃って死なせたエピソード自体、原作者自身がやっちゃった
実話なんですが。

リアビュー。羽根の奥に隠れた巨大な肛門。。。ここに殺虫剤の粉をまぶしてやると
興奮して歓喜の声を上げのたうつバグライター。巨大な肛門もいかにもそれらしい
造形・塗装で忠実に再現。
これで羽根の奥のパーツ部分だけ軟質塩ビ製だったら完全に頭がくるってて
最高すぎちゃうんですがそこまでは無理デシタ。でも触覚や足もクキクキ動くので、
劇中のビルのアパートの床をシャカシャカ動くあのゴキブリ然とした動きを再現できます。

青年時代から心酔していたバロウズワールドの住人になれるということでビル役を熱演
するピーター・ウェラー。多彩な薬物をキメて禁断のインターゾーンにエンターしてホモスパイ
活動中のこの胡乱な表情を見ろ!

映画ではこの肛門が収縮しながら高圧的な命令口調の男の声でしゃべりかけてきます。
(といってもバグライター自体、ビルがヤクがまわった脳内で生みだした妄想なんですが。
他人が見るとビルは物言わぬタイプライター相手に話したり怒ったり勝手にテンションを
上げているわけです)ビルは社会生活不適応者として責められたり
すると持ち前の何ものからも制約を受けない感受性にクスリの効果も手伝って
すぐ陰謀史観に逃げ込みます・映画の中でも、害虫駆除屋から殺虫剤をかすめたかどで
警察で取り締まりを受けている時、肛門を持った虫の「監視官」に
みはられてヤツが俺に命令しているなどと言い張って、スリッパを持って居ない虫を
追いまわして暴れたりします・

 バグライターは口でなく肛門が動いている時に声がしているので肛門で発音しているようです。
「裸のランチ」の劇中で肛門が口になってしゃべる男の逸話が出てくるので
(小説にも形は違うけど出てきた)そのイメージもバグライターのデザイン時に取り込んでいるの
ではないかと想像されます。「裸のランチ」の原作者・ウイリアム・バロウズが実際に男色家だった
ので、その属性を想起させるよう、クローネンバーグ監督が気を利かせていかにも肛門性愛的な
イメージを、ビルがインターゾーンで与えられたホモスパイ任務の上司であるバグライターのビジュアルに取り込んだのでしょう。
デビッド・クローネンバーグ監督は基本インテリですが、この映画ではあこがれの作家の映画化が
ついに可能になったのでふだんより一層、妄想エンジンがフル稼働していつになく
性器や肛門をイメージした異常なビジュアルを連発して、特殊メイクを担当したロブ・ボーディン
スタジオと共犯により決して見てはいけない、体感してはいけない、背徳ノセカイへと観客を
引きずり込みます。

映画の中に出てくる架空の街で一度は行って見たい場所、
自分は「ブレードランナー」のロサンゼルスと
「鉄男」に出てくる「ニューワールド」、「バットマンリターンズ」でのゴッサムシティ、
そして「裸のランチ」のインターゾーンですね。
と言ってもこの映画の中では大きな地下駐車場の床に砂を引いて旅行者や遊牧民のコスプレを
した人たちがうろうろしてるようなセット撮影で表現されているんですが、その簡素な箱庭感が
また「脳内の街」感を醸し出していてなんともたまらないDeath。

 生前のバロウズ。すでに老人になって麻薬投与も生命に支障をきたしかねず、
大人しくなり、病院のアポモルヒネ治療で麻薬中毒から回復しつつ
普通の温厚なジイさんになっていた頃。まだ元気だったので映画「裸のランチ」のセットにも
やってきてバグライター相手にこうやってタイピングなんかもしておりました。
映画は原作小説が一行ごとに登場人物が違うようなありさまなので
(要はクスリでラリって描いたので全体のストーリーなどないに等しい。
おまけに原稿を印刷所に持っていく際にページの順番が変わってしまったのを
なんだかいい感じがするとかいってそのまま印刷した)

クローネンバーグ監督の判断で、主人公ビル=バロウズがなぜ小説「裸のランチ」を描くに至っ
たかを描いた自伝(半分以上クローネンバーグがあこがれのバロウズをめぐる二次創作
というか妄想で描いた)映画になっております。
忠実に小説を映画化すると思って当時劇場に見に行ったヒトも居るようですが
当時の優れた映像技術でもあの小説の忠実な映画化は無理があります。
CGやバーチャルリアリティの発達していったら、
21世紀中には「真・裸のランチ」なんてのも映画化されるかもしれませんね。でも
この小説はアナログな世界観、空間掌握の中にあって映像化したほうがより
似つかわしい気がします。

バグライターのデザイン画。甲虫の顔にタイプライターのキーボードを持ってきたセンスが
素晴らしいです。初めて「裸のランチ」公開前にスチールを見た時のバグライター、
バロウズの小説仲間たちが所有するバグライターである
マルチネリやマグワンプのデザインや造形物を見た時の脳内物質が大量にしみ出た
高揚感は忘れられません。

写真を撮ったり文章をタイピングしているタコも途中からもはや映画のスチール写真なんだか
自分の部屋撮りなんだかわからなくなってきました。すでに小説も映画も現実も境目は消失して
しまうのDeath。
そう!つまりはこのバグライターをひざに載せてパソコンのキーボードをタイピングし始めると、
そこはすでにあらゆる固定概念の束縛から解き放たれるインターゾーンの暗黒都市に
送りこまれ、誰もがホモスパイになって現地からタイピングしてインターゾーンで起きた奇怪な
出来事をレポートする使命を帯びるのです。

映画の1/1アイテムは数あれど、異端の文学と言われるバロウズの小説世界を取り込んだ
映画の実物大アイテムがこの世にマスプロダクツとして存在するという事実が奇妙であり、
90年代以降のフィギュアムーブメントの混沌の中でバグライターのようなキャラクターまで
メディコムトイさんによって製品化されていたということが今でも面映ゆい事実であります。
そして映画が永遠であると同時に映画の興奮もこのバグライターを時折手にした時に
再び蘇ってきて、人々は映画と同様の甘美なインターゾーンへといざなわれるのDeath。

 【Cadaveric Incubator Of Endo Parasites/Carcass (The Peel Sessions)

http://www.youtube.com/watch?v=Kv6IM5K0vY0&feature=related


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5 コメント

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Unknown (メガたぬき)
2012-03-28 22:18:27
どうも、こんばんは。
このカッパの置物はすごいですね。
何年か前にヤフオクで、
ウルトラセブンの最終回に
出てくるフクロウの壁時計が
出品されているのを見たことが
ありますが、最初見たとき
セブンで検索にひっかかったので、
「あれ」と思ったのですが、
しばらくするとあの場面かと
驚きました。
河童の置き物が見つかったのは
めでたいことですね。
返信する
Unknown (タコペッティ)
2012-03-29 00:29:47
>メガたぬきさん
こんばんわ!
すごいのかどうかわからないですけど、セブン本編
につながったような気がするアイテムだと思い
ます。ウルトラは結構市販の商品を小道具に使って
いますよね。ご指摘のセブンのフクロウ時計とか
最終回の名シーンで効果的に使用されている
小道具なのなので欲しいヒトも多いでしょう。
子どもの頃はそういう市販品が劇中で
使用されていると、自分たちの住んでる現実
と地続きな劇中世界で存在しているものが
あって、消費もされているのかと不思議な感覚に
襲われましたね。
このカッパもたまたまリサイクルショップのような
場所で見つけてじっと凝視していたんですが
本編の映像と同一か確認するすべもなく
お店のヒトも確認するまでしまっときましょうかと
おっしゃてくれたのですが、特に高いものでは
ないし違っててもカワイイからと思い
その場で買ってきました。
当該の話を見たら同じものだったので
カタチの認識上で幼いころから見ている
刷り込み効果ってあるなと
思いました。
返信する
カッパの首振り人形 (川崎のCM)
2017-08-29 23:58:37
写真のカッパの首振り人形はどこで見つけらましたか? 私の子供時代の物で私も持ってましたが 長い月日の流れで無くなってしまって 私の大好きな物でした 今も ずうっと探していたのです 今も入手可能ですか?
返信する
(3)と同じもの (川崎のCM)
2017-08-30 00:26:06
記事を読んだら 管理人さんが見つけたわけじゃなさそうですね 「探すなよ!」というのがありましたが それじゃ 管理人さんも何処で売っていたか分からないのですね もし このブログをお読みの方 達に何処で売っているかをご存じの方がいらっしゃったら このブログで教えてくださいませ ちなみに私の持っていたものはピンク色でしたね。
返信する
タコペトティさんへ (川崎のCM)
2017-08-30 00:36:38
うわっ 読んだら5年も前のものだ リサイクルショップに行けば 今もありそうですかね 9月2日に あのリサイクルショップに行ってみよう あそこなら あるかもしれない どうもすみませんでした。
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