KADOMIUMTANK ソフビブログ

ヘミングウェイの詩にこんなのがある。
「人生は素晴らしい 戦う価値がある」
後の方は賛成だ byモーガン・フリーマン

スーパーフェスティバル52

2010年04月25日 | イベントルポ



ごびさたでごんす。GW前の口火を切ってのスーフェスルポと
いきたいところなんですが、タコはちょっと明日バタバタしており
まずは現場の空気など写真で。とにかく情報量の多いイベントで
全部とはいきませんが新作を中心にまずはご覧あれ。
シカルナさんの羊怪獣ゴーメルや真頭玩具のれん街の
盛況となった各メーカーでも山桜さんの半魚キャラなど新作ソフビが続々。
ステレゴンの新カラーはIKB風味な公害怪獣ツートンカラー。
のれん街リーディングカンパニーのREAL×HEAD
さんからは衝撃のスーパー怪電車ソフビ「真夜怪速」がデビュー。
などとソフビフリークにはあたかも怪獣遊園地に
迷いこんだような見所たっぷりな科学技術館での一日となりました。




山桜さんの仁王骨に続く半魚人系新キャラクター。
名前はまだ未定の様子。
片方の目がドールアイで、外皮が引き裂かれ
眼球部分が露出しているかのような印象。
そしてどことなく某悪魔人間ヒーロー風、カナ?



NERD ONEさんのステレゴン。今回は公害怪獣で
見かけたようなカラー。リリース以来、ファンから
騒音など公害怪獣風のアレンジが面白いという声があがり
そうした反響に応えて昭和の名ソフビの2匹から
カラーモチーフをインスパイアされたいかにもパチ怪獣的な
アプローチとなった。顔もどことなくヘドロ系の
オリジナル怪獣ソフビ風なのでハマっている。
リアビューのインダストリアルトラッシュな風貌が
このカラーだとより意味を持つところだろう。


アートストームさんの媒図かずおver.「怪彗星ツイフォン」3怪獣。



ゲボラが2色販売されたターゲットアースさんの
マーミットブース露店販売。



山桜さんのREAL×HEADコラボキャラクター、
昨年末のパチサミに登場した大蛇鬼+ミュータントヘッドの
ミュータントオロチに続く仁王骨+ヘッドの「仁王マン」。



招き猫の岡本太郎風解釈?「万両猫」。







ヤモマークブースには新作怪人ザリキングの原型もお目見え。
カブトムシとザリガニが合成され強い甲殻類がすきな
男の子のいつわらざる妄想を具現化したような
強力怪人が誕生。顔はザリガニなのに背中には
硬いカブトムシの甲、そして頭部には手刀のような尖った兜。
でも本家ヒーロー番組でも意外といない組み合わせでは?
そして先日の通販でも好評となったダイオウグソクムシ男も
公約どおりバックル・ベルトとクサヤガン無し、リアル生物テイストを
追求した新ver.を販売。現物は赤系の色使いがいかにも肉っぽく
なまめかしさ、生物感も絶妙でしたよ。
近々このバックル無しver.も通販があるそうなので
ヤモマークブログをまめにチェックしたいところ。



真頭のれん街で販売されたドリームロケットさんカスタムの
ミュータントカオス。



こちらは最近、同じ高円寺の町内でお引越ししたばかりの
一番星さんブースでサプライズ販売されたミュータントイービル。
グリーンバブルボディに施されたペインティングが淡くて
今までに無いシックなイメージのイービルとなりました。



ドリームロケットさんの赤影怪忍獣ががら。
さきに発売されたざばみと並べていよいよ対決場面再現とあいなりました。
貝の部分の硬と節足動物の持つ節目のある軟の部分の表現の対比が
素晴らしい。いちおうガガラはヤドカリ怪獣なんですが
まあ「貝獣」ていうのかな。
サザエとか軟体動物的なイメージもあり
ソフビ素材向き。非常に立体化が難しい怪獣なのですが
自分的には子供時代に赤影を見たときのががらのイメージどおりだったので
感心しました。後は色が載った状態のサンプルが早く見たいですネ。
5月後半発売を目指して詰めの作業が進んでいる模様でした。



マーミットさんのブース。ボリューム満点の夢に出てきそうなグール。
H・Pラヴクラフトの恐怖小説「ピックマンのモデル」のキャラ・グールを
赤松社長がデザイン・原型製作。赤松氏が80年代のビジュアルSF雑誌・宇宙船での
作例発表以来25年ぶりでグールがソフビ化デビューした流れ。
この人間を食う恐るべき怪物の絵を見た人間は発狂するが
もっとも恐怖すべきことには小説の最後で
その絵の主が、実際に都市の暗黒の地下に居る怪物を
描いていたことが判明する…。



幻超獣マザリュースがついにリリース。
マザロン人を買った人はようやく並べて飾れる
日がきましたね。キグルミ改造前の
サボテンダーといっしょに飾ってスーツバリエー
ションを楽しんでもよさげカナ。このほか
長らく絶版だったM1号の2期カラーも。
もちろんミニいなずま号付きっす。




奇怪な面々、まもなく締め切りの4月受注製品群。
オレンジのいかにもレトロカラーなミイラ
人間1期は持っているのだが、今回のリアルカラー
もいい感じ。非常に迷うトコロ。
事件解決じゃない完結に向けてジョーカー疾走中の
ロボット刑事Kシリーズはガトリングマンが
登場。スチール写真も少ない後期バドーロボだけに
立体化がうれしい。最強にして最後の敵、
ハグルマンの出来も気になる。



ザニカ2期はピンク。そしてブルマァク版も
傑作なムルチをあえて今セミレトロテイストで
リリース。ウルトラ史上最大のトラウマ異色作
「怪獣使いと少年」の悲劇の宇宙人、
メイツ星人を憐憫のごとく悲しい咆哮で彩る
新マン中盤の名獣、これはいい出来ですね。
メイツ星人も以前リリースされているので
ようやく同サイズで飾れることになりました。



こちらは今回のスーフェス限定品。
今はなきWHFソフビ祭りでなつかしの
帰ってきたガチャモン、ラメ仕様の昭和の
プラモ宇宙人3匹、
プレ値になっていたアンドロイドゼロワンも
リクエストに応えて今回会場で再リリース。









会場でもトリオで女闘美アクションを
ところかまわず展開して大暴れ。
すっかりトイイベントの常連となった
スーパーパチモノモンドアクションヒロイン、
仮面ライライと中野貴雄監督演じる地獄女史、
PICOPICOさんの諧獣ベッコスが
揃い踏み。ついにベッコススタンダード
ソフビと仮面ライライのドールがリリース間近の
ようです。






ぶたのはなさんはチビラくんシリーズと
新作モングラーを携えて出店。メーカーさんにも
人気があるんです。1期が好評のうちに完売した
ゴルバは新カラーが早くもサンプル展示されてました。
そして新シリーズが予定されている気配。
ボード左の写真は原始人の女性のようです。
前に恐竜シリーズでも小さな原始人ソフビを
出していたんですがそのリメイク的アイテムを
ぶたのはなレギュラーサイズで展開というところカナ?

そして同時発売を予定しているらしい、シルエット
のこのキャラはマルシー円谷表記ということで
名前を書かなくてもわかると思う。。。
すごいなあ、ついにアンバランスゾーンに
落ち込んだあの人間キャラも出るのか。
ぶたのはなさんの人間系キャラクター
新機軸、お茶目で大胆なアレンジぶりが
楽しみですネ。



REAL×HEADさんの今回、問題作(といって
いいだろう)スーパー怪電車ソフビ「真夜怪速アディオス」。
特撮ヒーロー作品に出てくるプロップみたいな
オーバーアレンジ。ボディがスケルトン風
デコレーションで覆われ、ボディ上部には
フォーチュンビリーらしき
一つ目キャットがねそべった姿で
取り付けられて宇宙を飛行するのだそうだ。

森かつら的幻視セカイで観る者、手に取った者を
ハイスピードの脳内観光にいざなう、異形のマシーン
キャラソフビ。機体は中央にカンチャクらしき
連結機能めいた可動部分もあり新展開を予見させる。



ブースのサンプルで勝手に仮想対決させるタコ

いかにもリアルヘッドらしい
久々にアイテム展開の破天荒感を横溢させた
サプライズリリースとなった。



ビリケン商会さんのブース。
ブルガンは今回ピンクのボディで派手目の密漁ロボとなった。






いつもスーフェスや都内の限定品販売の
時に自作のカスタムソフビを持ってきて
披露してくれる某氏が今回はランブルさんの
サーティーンをカスタムして見せてくれただ!

アイアンマンみたいなカラーイメージで
塗ったのだそう。全身をデカールで固めて
リアルロボ風アレンジ。当日は晴れていたので
会場横の駐車場で撮ったけどゴールドが
反射して適度なスケールプラモっぽさが
おなじみサーティーンの持つ
別のミリキを引き出したというところだろうか。
ぜひぜひまた完成したら作例を見せてくださいデス。





サンガッツ本舗さんのブース。
今回はすっかり鬼太郎の永遠のライバルに
なった感のあるぬらりひょんのきわめて
昭和的なオリジナルスタイルのソフビを
レギュラー&蓄光双方デビューリリース。
サンガッツさん名物?というのか鬼太郎
苦戦ソフビおまけ、今回はコンクリ漬けに
されて助けを求める姿を再現。
それにしても「鬼太郎憑き」って
要は相手に憑依するんだろう?
とても正義の味方とは思えない武器というか
戦法だよなあ。。。
しかし朝ドラの「ゲゲゲの女房」あれは気合
入ってるなあ。朝見てたら仕事に間に合わなく
なっちゃうけど自分もいつも見てます。




スーフェスというと中古トイ・インディーズ
プロダクツ問わず妙なモノが見つかることでも定評がある場所。
まあ最近はそうそう出物はないのだけど。。。
上はピーウィー・ハーマンの映画に
出てくるソファ。こんなの部屋に置いたら思わず全部この路線の家具にしたく
なりそう。結局売れたのだろうか?

そういえば別のブースで怪奇系フィギュアというのか
都市伝説で有名な「ダルマ女」の
スタチューを売ってた。未塗装白ムクのようだった。
「先行販売」ってことは塗装版もあるのだろうか。
残念ながら写真撮影禁止だったのだけど見世物小屋みたいな
粗末なブルーシートを敷いてマジック殴り書きのポップと
昭和的想像力をくすぐるバッドテイストな雰囲気満点でした。






ソフビカスタム作家&オリジナルぬいぐるみ
作家さんのユニット「茶色いブラウン」さんの
ブース。真頭のれん街内に出店。
ソフビの方ではフォーチュンキャットの眠り猫版、
座りビリーやまめカオスなどの茶ブラ限定カラーを販売し
えらい勢いで売れた模様。
ぬいぐるみの真頭ベアではキ●イダー風ツートン
カラーとして半分コ別の布で縫ったver.もつくった
のだけど欲しいという人がおり
たちまち売れてしまったのだとか。



こちらも真頭のれん街にて。先日真頭玩具でも
コラボというか対決販売イベントを開催した
SKULL TOYSさんのブース。
ドックンボーグ1・2・3号がそろい踏み。
にせライダー風カラーでこれだけずらりと並ぶと
ミニのプロポーションでも妙に威圧感ありますね。






新進のアウトドアクリエイト系
怪獣ではない、ゴッドソフビトイメーカー
kikkakeさんのブース。
イベントごとに新造形のアイテムを展開している
見上げた志のメーカーさん。
森や水のある場所の森羅万象の声に耳を傾け生み出された
かのようなアースネイティブなイメージのキャラクターが次々と
登場。大地の神と称するニューキャラの
アーリー段階のスカルプチャー(白い目がダイヤモンドアイなヤツです)
も展示。水辺、森と来て今度はどんな姿の神様になるんでしょうか。

今回、タコはGEKKOを購入。塗装し甲斐が
ありそうですよ、この子は。
さらに1作目のgekkoのミニを近日販売したいとして
パネルで製品イメージをアピールしてました。
ミニでは目が輝くパーツが入り
スタンダードサイズとの違いを
強めているようです。

つ【GIRLS DEAD MONSTER/CROW SONG&ALCHEMY】
たった3話で歌に燃え尽き生き急ぐように早々と
冥府の学園の死んでたまるか戦線から消滅離脱してもた岩沢(ガルデモg&vo)を
惜しむ声は絶えない。
動画は1話の食券奪取戦の天使陽動大食堂ライブver.。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10505684
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10374133
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10469963


超獣人間コオクス

2010年04月04日 | 特撮・SF


(ぐわー、完成したとマーミットプラスには
記述があるのでそろそろカナ?と
思ってたけどこの週末はアイテムがまだ到着しちょらん。
登場本編映像部分のレビューはもう出来てるから載せちゃえ。
土木建築資材とかでコークスと聞いても
こっちを思いおこすくらい、タコはコオクス好きでねえ。)




またまたマーミットさんから到着した超獣…じゃない超獣人間コオクス。
って超獣人間ってなんだよ?その辺も語りたかったりする。
超獣もここ2年ほどえらい勢いでソフビ化の空席が埋まりつつあります。

「ウルトラマンA」に登場。なかなか味のあるデザイン・造形のキャラクターです。
目はモノアイというか車のノーズランプのような無機質な印象を与えますが
この目と指から幻惑光線を照射し敵の戦闘能力を奪います。
上半身は岩盤というか隕石のようなゴツゴツとしたディティールが入っていて
エアブラシによる発色が合う怪獣ソフビ向きなヤツ。
セミレトロなソフビ造形フォーマットにも似つかわしいソフビとなっています。





上は劇中冒頭でコオクスが乗ってきたらしき宇宙船。
宇宙船に乗ってきたからにはこの超獣人間
という存在は知的生命体なんですね。
コオクスと同じく幻惑光線を出す。
この光線のせいで北斗は追撃のタックアローで
ニアミスを発生させた、ぶったるんどる!と
山中隊員に例によって叱責を受け、飛行訓練から
やり直すように言い渡されることに。



北斗「さあ、あしたからがんばるぞ!」
なんだか「刑事くん」みたいな
むやみにさわやかな場面で吹く。しかしコオクスの
北斗に集中した陰険な攻撃は続きます。

それにしても年がら年中何か目撃したと騒いで
それを叱責して、AのTACの面々は学習して
すこしは北斗の言うことを信じてもいいんでは
ないのでしょうか。番組が2クールすぎて、
ヤプールが次々と信じられない怪事件を起こし、
隊員の一人が月の住人で、故郷に帰るほどの
事件があっても、TACメンバーは
セカイに起きうる多様性にはまったく目を向けません。

しかしこの話、話を列記していると脈絡ない、
っちゃないな。
「罠にはまる北斗、一人・ウルトラ兄弟の弟として
北斗を信じて行動する少年ダン」という
話としての狙いはわかるんですけど。
夕子役の星光子さんが番組を降りてから
急激な路線変更で番組自体も一人地球に残された
北斗と同じように多難な時期を
乗り越えようと悪戦苦闘している感じがします。







TACはこの回、「がんばれTAC」とデコレート
されたケーキを食べて、飲み、また例によって
吉村隊員の十八番のギターの演奏により
全員でTACの歌を歌って士気を高めています。

大人になって見るとおっかない山中隊員は隊をまとめるために
嫌な役を買って出ているようにも見え、決して部下を自分より危険な場所に
出したりするような先輩でもないし、自分の責任下で後輩を育てようと
締めるところは締めているので悪い印象はないんですが、隊自体は
なんだかアットホームなようで見えない部分で暑苦しくもあり、
連帯重視で人間関係にときどき疲れそうな組織ですね。MATも初期は
やたら上層部に解散を言い渡されたり、岸田隊員が長官のおいだったりと、
そういう組織内の親戚関係がともすれば子供心にも引っかかる感じだったんですが
伊吹隊長が就任してからは基地で飲酒をしたり
トランプをしたり、もちろん背景には厳然とした規律がしかれながらも
どこか大人のセカイとして息抜きや砕けたところもある戦闘のプロ集団としての
結束感を感じさせたりもしたんですが、TACはミリキある組織かというと
もうひとつだなあ。ほかのウルトラチームもMACはギスギスしてるわ
隊員の生存率がスターシップトルーパース並みに低いわで。
やはりまったりしたZATかな、入隊するんなら。

TAC は第2話でも「TACの一週間」なる
フォークソングを歌って結束を固めていました。
「しゅらしゅらしゅらしゅらしゅらら~♪」
吉村と今野コンビがなぜかコサック衣装でコスプレ。(写真下)





ウルトラ6番目の弟、ダンにちかづいてきた
星野アキラ少年は実はコオクスの人間体で、北斗の操縦訓練を
地上から例の光線を送って邪魔します。
気づいたダンがTACに通報。電話に出たのは山中隊員。
「アキラくんが超獣人間なんだってよ。北斗、おまえの
友達もだいぶまいってるな」

このアキラくんを演じてる子役・高橋仁はバキシムの
回の子ですね。子供独特の無邪気な魔性を演じさせると
うまい子役さんでした。大鉄人17でもだいぶ大きく
なって三郎の親友役でよく出ていました。
しかし超獣の人間体が2度とも同じ子役が演じてるというのは
いつも同じ変身フォーマットということなんだろうか。メビウスにも
Aで九里虫太郎を演じた清水紘二がヤプールの人間体として出てきたが。
そう考えると同じ子役というのはおもしろいキャスティングではある。







お話後半でようやく少年の姿から正体を現し
TACのレーダー基地を襲撃するコオクス。初期話では
幾度となく基地を襲撃され、侵略知的生命体として
のヤプールの狡猾さ・的確な作戦攻撃力がセブン以来の
侵略SFストーリーとしてミリキをアピールしていた「A」。
この話、久々の基地への直接攻撃とあって佐川和夫特撮監督による
破壊シーンのカタルシスも充実しておりワクワクです。
ミニチュアセットもコオクスの身の丈くらいある未来的デザインの高層建築物が
体当たりされて崩落するなどかなり緻密です。東宝自衛隊お特意のポンポン砲
みたいなのも迎撃している。バキシムあたりでやり残した対基地の総力戦を
描ききった格好。





「超獣人間」というのは単に操られて
ヤプールのミッションを機械的に執行する超獣を超えた、
自己作戦力のあるヤプールの残党的結託生物と
考えるのが適切なのかもしれません。もしくは
ヤプールがプログラムして自分たちが崩壊した後も
自立して活動できる、超獣とは別枠で開発された
ヤプールの意思を継ぐ生体マシーンとか。

番組の中盤頃からヒッポリト星人やアクエリウス、
スチール星人など単独で侵略してきた宇宙人も
多かったのでなんともいえないですが。
こういうコオクスやマザロン人、ギロン人、
アンチラ星人みたいに謎めいたキャラクターが周辺に配置され
組織の根深さを漂わせたりと
ファンの想像力をくすぐるのがヤプールの不気味な魅力ですね。





コオクスの顔は怪獣とも星人ともつかない
斬新なデザインになっています。
複眼状で電飾が光っている目、口はクチバシ風
なんだけど横に二本ツノが伸びており表情がないという特異な
形状。ちょっと改造されて顔面にマスクを装着している
っぽい印象も与え、井口デザインラインで成田デザインに
近い別山脈を標榜しているかのような志も感じます。







これまでの超獣が既存の怪獣をよりデコラティブにしたことで
差別化してきたのですが、番組も中盤以降に
折り返したことにより、新しいテイストの敵を
模索してみようといった意欲もあったことでしょう。

やはり初期のメインライター・
市川森一氏に敷かれたAのプロットは
人間の心理の中に忍び寄る名状しがたい存在
としてのヤプールの「根源的悪」の存在。
そのヤプールが居なくなってからも地球上に
飛散した超獣細胞は人類の負のエネルギーや
地球の自然界と化学反応を起こし新たな超獣を
生み出した。そして後期Aの作劇上にも
すでに不在のはずのヤプールの存在はいまだ
重く十字架のようにのしかかっていた
ことでしょう。


この話は田口成光氏によるもので、巨大ヤプールが倒されてから、
久々に防衛隊であるTACと知略で攻め込む敵の攻防戦ストーリーということで、
バキシムの回やブロッケンの回に近い「気づくと人の姿を借りて
名状しがたく攻め寄ってくる侵略者」としての手触りがあります。
コオクスはそんな番組の原点回帰の立役者にふさわしく、
ヤプールと超獣双方の主従関係を一体の怪獣の中に
内包させた結果生まれたのかも。登場したてでまだ馴染みの浅いダン少年と
邪悪な超獣人間・アキラと少年同士の対決を織り込んだ格好。
この話あたりを見ると市川Aのプロットは
まだ他者によって語りつかれる可能性を持っていたと思える。









怪獣以上の存在と銘打ってる「超獣」という
存在に対して作り手のキャラクタークリエイトが
ややもてあましつつ、また自家中毒的な部分も
ありながらこういうコオクスのような変化球的なキャラクターが
出現した契機になっていたのかもしれません。

やはり「超獣」という存在は怪獣を超えた
そのデコラティブな外観を含めて
物語、キャラクター全ての過剰さを
つかさどる存在といえますね。

地球の動物と宇宙怪獣の融合という初期設定から
後半は枠を広げて器物や伝説上の生物、
民芸品や未確認動物のUMAなども
依霊としカオスさが増した後半の超獣。
現在のインディーズソフビマーケットという
新たな生産者を経て、マニアがこうして
ソフビとして彼らと再見できる環境になると、
改めてそのデザインや登場にまつわる
作り手の意向等、想像して楽しむのも
また面白いように思います。



ステゴラー×シャモンガー

2010年04月01日 | 当時物ソフビ


前回に続いて昭和の奇獣シリーズ15.今回紹介したいのは
エイプリルフールに届いた復刻モノ。
復刻堂さんが昨年受注を行っていた「世紀の大怪獣」昭和
オリジナル怪獣ソフビの復刻、4本足の宇宙恐竜2体。



赤いほうがステゴラー、緑のほうがシャモンガーと
呼ばれています。旧ブログのほうでも紹介した本「デスオモチャの逆襲」で
そう命名されてマニアの間で通り名として定着した模様。
当時このソフビを販売していたのは昭和の怪獣ブームの混沌の中で
パチ怪獣・恐竜ソフビを精力的にプロデュースしていた、三浦トーイ。
名作・宇宙怪獣しわやダイヤの生みの親でもあります。

一言でいえば、プリミティブな昭和の造形パワーが
プラス方向に作用して、顔つきもアシッド系のイイ顔をしており
手にすると強力なタイムスリップ感が横溢して脳内のエントロピーが
増大してひとたび時を超えることができます。
同時にボリューム感も評価ポイント。
4足怪獣ということもあるんですが、デカくて手ごたえもある。
30cmくらいか。彼ら用に飾り棚にスペースが必要ですよ。

そして造形。
この時代のソフビ特有の粘土力が発揮されており
しわやダイヤ以上に始原の怪獣ソフビの持つ荒々しい生命力のようなものを
再認識できるアイテムです。昭和の頃は4つ足怪獣を
2足状態で発売したケースも見られましたが
そこには地に足を全てつけているのは地味と思う傾向が
作り手にもあったようです。確かに怪獣ソフビというと2本足ものが
主流というか人気のメインに思いがちなところもありますが、
この2体はそんな固定観念を覆す存在感を全身から漂わせています。



ステゴラー。ユルい笑い顔は、おばあちゃんがマゴに買ってやろうと
「この大きいのがいいかねえ、赤くて目だつしきっとテレビに出てる怪獣
なんじゃろうね~」とかいって手にとられて
レジに運ばれている時に「もうすぐレジ通過だ、ニヒヒ」と
パチ怪獣ソフビとしてのミッション完了間近でせせら笑っているみたい。
その光景を傍で見ていたらひときわこの笑顔は味が出ていたことでしょう。
でも、パチといっても造形自体にある程度独創性があるので、
彼はそう悪びれた態度をとる必要もない気がしますね。

おもしろいと思うのは目の上の眉のようなディティールを背中まで見ていくと
そのままステゴザウルス独特の背びれの一部へと連なっている独特なアレンジです。
リアルな恐竜には程遠いのですが、ステゴサウルスの絵か造形物を見ながら
古代美術みたいなプリミティブな発想を根幹に置き
アレンジしていったら出来たというかなかなかあなどれない造形ではあります。
初めて見たときはアフリカのTIKIみたいな彫刻だな、と思いました。

逆柱いみりさんの漫画で、家族が日曜日に動物園に行ったら
常日頃かわいいと思っている動物も
現物は中世の博物誌に出てくる奇怪な幻獣のような姿を
しているのを知り愕然とするといった内容の短編がありましたが、
案外、現実に居たステゴサウルスも、このステゴラーなる
パチ怪獣ソフビが一番似ていたという意外な事実があるかもしれません。
もっとも人類には永遠に知りえないだけで。
このステゴラーを作った名も知れない原型師氏だけが
自らもそう知らずに、その事実に肉迫していたのかも。





恐竜なんだけど人みたいなゆるんだ笑み。それがステゴラーの
一度見たら忘れられないミリキです。
恐竜ソフビとして見ても珍品ですね。

リアルなステゴサウルスなら剣竜らしく複数のツノが尻尾についているところですけど、
ステゴラーは左右に伸びた2本のみ。
全身のシワディティールといい、この担当原型師氏の変な構成力の妙で
全体がバランスされている。そうだ、足が逆関節なのもこの当時の
足の解釈としては斬新だ。

ステゴサウルスという全体の記号のみそう見えるものの、まったく異質な
ザクザクした彫刻のみでカタマリから全身を切り出したかのような
キャラクター。今風にいえば
「デザイナーズ系恐竜ソフビ」とでもいえる存在かも。
そして全身に入っている、ミシュランのイメージキャラクター、
ビバンダムくんみたいなシワのディティールはパチ怪獣の造形の
常套手段みたいなもの。困ると段々処理でとにかく埋めよう、みたいに入っている
パチソフビが多いですね。前に紹介したポリのパチバラゴン、バゴランも
オリジナルのジャイアントバラゴンには入ってない
(なーんも考えてないっぽい)段々ディティールが腕に入っていました。



そしてシャモンガー。

昭和の頃は恐竜は爬虫類とみなされていたんですが最近の
ジュラシックパークアフターの精度の高い考古学では恐竜は
鳥に近い生体構造・生態の生物であることが判明しており、南村喬之氏や梶田達二氏の
ような画伯のドラマチックな昭和の恐竜図鑑の挿画はすでに
ファンタスティックなオリジナル恐竜なのかもしれません。
でも、それらの恐竜挿画に惹かれるのは多くの人が今も変わらないところですが。

シャモンガーももしかすると原始時代に居たリアルな恐竜そのものだったり
するかもしれません。鳥のような怪獣なんですが、アレンジ的に
羽根を廃し、四足にし、背中にステゴサウルス風の突起を並べたので
ほかの怪獣ソフビに見られない特異性の強い姿をしています。



なんとなくダイナミックプロ系の漫画家がウルトラシリーズのコミカライズをするときに
こんな荒々しい姿の猛禽類みたいな怪獣を勢いで扉絵やイメージイラストに描きそうな。
シャモンガーはそんな昭和ごろの子供向けの巻頭読み物の挿画にでも
出てきそうな濃度の高いビジュアルが満喫できます。

今回の復刻でおもしろいと思ったのは、昭和の発売時に新品のさいは
2匹ともこんな鮮やかなカラーをしていたんだなと思えることですね。
おそらく金やメタリック系の塗料は当時ものでは早期に他の色よりも早く酸化して
周辺の色と交じり合って黒くなってしまったでしょうから、
我々がマニア的な目線でもってしても
これらのプロダクツを初めて見た時点の当時モノの製品カラーは
正確な記憶ではない。



この当時色再現面において、たとえばシャモンガーのわき腹のグリーンとか、
たぶんいろいろ当時の彩色を検証した結果なのだろう、と思いました。
体のいろんな色の発色が、当時の怪獣ソフビを売っていた玩具店の店頭で手に取った
状態に戻って見るなら、こんなだったのかなあと。
これは復刻現品による見る側の記憶補正ということですね。



インターネットを調べてみると、先人の研究で当時の三浦トーイの広告なども出てきます。
(「みんなでつくる資料館」さん)
そこではしわ、ダイヤ、宇宙怪獣3号。このシャモンガーとステゴラーが
並んで燦然とした朝日に照らされているイメージ写真がいかにもたのもしい
雑誌広告が載っています。

広告に添えられたキャッチフレーズがまたイカしている。

「ロングセラー71、バラつきのない安定商品 いつも売行き快調
いよいよ商品構成と販売システム化があなたの企業の繁栄のキメ手!
優れた商品をあなたのパワーで大いに売りまくって…」

なんだかわかったようなわからないようなキャッチコピー炸裂って感じですが
この5体のオリジナル怪獣ソフビが発売時点で三浦トーイの戦略商品として
そこそこ期待もかかっていたことがわかります。

まだオリジナル怪獣というジャンルが、昭和の怪獣ブームの
テンションの中ではテレビに出ている有名な怪獣でなくても
ある程度セールスになるのでは!と踏まえつつ、
メーカーとしてはとにかく鉄は熱いうちに打てというんですか、

造形テイストの違う怪獣ソフビというところから見て、周辺の原型師に「とにかく
売れそうなカッコいい怪獣を夜なべしてでもあげてこい!」と三浦トーイの社長が
近隣の原型師にとハッパかけてそろったのがこの精鋭5体なのでしょう。
ゆえにタッチも異なり、しわとダイヤはタッチで見て同じ原型師氏カナ?
そして宇宙怪獣3号もシャモンガーや、ステゴラーとは造形テイストが
あきらかに違う。シャモンガーとステゴラーも同一の人物による
造形かはわからないですね。ただ「2匹は4足にしよう」くらいの
指示はあったのかもしれないな…。



この世を華とするために一役買うのは酒だけでも満開の桜だけでもあらず。
昭和の混沌の中に生まれた、まったりとした時代の空気を刻印された
出自不明なパチ怪獣ソフビたちも、40年近い時を経て見る側の新たな価値付与を経て
当時以上のミリキを放つようになりました。そして現代のソフビ技術で
蘇った彼らを手にした時、怪獣が昨今失っているのかもしれない始原のパワー、
濃密なパッション、ソフビノチカラとでも呼べるものをきっと強く感じ取れるはずです。