KADOMIUMTANK ソフビブログ

ヘミングウェイの詩にこんなのがある。
「人生は素晴らしい 戦う価値がある」
後の方は賛成だ byモーガン・フリーマン

ブルマァク モグネズン×メシエ星雲人×ロボネズ

2013年02月04日 | 当時物ソフビ



現行品インディーズ怪獣とパチ怪獣系の記事が多いタコブログだが
当時物マルブルソフビにもフェバリットなアイテムはあるのです。

つーわけでブルマァクの当時物と復刻取り混ぜて語ってみたい
「帰ってきたウルトラマン」のメシエ星雲人とその尖兵ロボネズ、
つい最近ブルマァクさんからファン期待の復刻かなったマグネット怪獣改
毒ガス怪獣モグネズン(MATカー付き)。



あの昭和のパチ怪獣ソフビに激似、と一部のディ~プなマニア・コレクターの間で
かねてから考察の対象となっているモグネズン。実際にどのくらい似ているか
今回はじっくり2体並べて初検証だ!

昭和のソフビ現場で一体何があったのか?



ロボネズのほうは当時物ヴィンテージで随分前に割とやすく手に入れたもの、
メシエ星雲人はブルマァク復刻品。メシエは
ダークグリーンで新マン本編のカラーを再現しています。
当時発売されたのはもっと薄い明るめのグリーンでした。



50年代~60年代のアメリカSF映画の宇宙人にいそうな姿のメシエ星雲人。
このウルトラマンワールドに一見似つかわしくない、違和感がまたミリキな一体。
思い起こせばスーパービジュアリスト・成田享氏もウルトラQのM1号をアーリー
デザインではレトロモダンな宇宙人画からインスパイアされた昆虫宇宙人に酷似させて
描いていましたが、メシエ星雲人はそれ以来にウルトラワールドが海外SF的な
ビジュアルのキャラクターを登場させた事例と言えます。




このメシエ星雲人はマニアに言わせると「頼りないのがミリキ」。
本編ではロボネズとの戦いで傷ついた新マンの
足の弱っている箇所を反則技の連続で徹底的に痛めつけていた
凶暴かつ狡猾なメシエ星雲人でしたが
この話のスーツアクター氏はあまり怪獣の演技に慣れておらず
(戦闘ではズレたマスクを顔に手をやって直したりする瞬間が
映像でもハッキリ確認できたりする)
どこかアトラクションショーの怪獣バトルを観ているような愛嬌も放っていました。
巨大化して倉庫街に登場時の腰振りダンスのようなファイティングポーズや
ウルトラマンの一撃を顔に喰らいプルプル震えながらその場に佇むなど、
スーアク氏独特の解釈から生まれたとおぼしき妙な動きが随所に見られる戦闘シーンも
楽しい。
そしてこのメシエ星雲人のブルマァクソフビは本編のキャラをよく捉えて、何か
ヌボーッとした雰囲気をそのままスタンダードサイズにうまく取り込んでいます。

メタルナミュータントのような大きな頭部に日本の神様・恵比寿様のような福耳を
つけるなど、イメージの和洋折衷感も漂うエイリアン。



背中には羽根のような不思議な物体がついています。
大きな頭部を支えるバランサーか、他天体での活動を補助する呼吸などを
促す外部的な器官のようなものなのかもしれません。



ロボネズ。背中の装甲部分にはシルバーとブルメタが吹き付けてあります。
残念ながら自分の個体は過去の持ち主により
遊びたおされているせいかほとんど塗装が飛んでしまっており
味噌色の成形色がむき出しで、あまりロボット怪獣という感じではないんですが、
この時期の新マンソフビの造形が持ついい仕事ぶりがむしろよくわかります。
扁平な足の造形など、適度なデフォルメ感と本編のロボネズのイメージの
中間的なところをうまくまとめたソフビです。



メシエ星雲人はこの復刻版を初めて手にしたのですが、
過去にタコにはこの2体のソフビたちに思い出があります。
新マンがオンエアして何年も経ってからですが
夏の盛りに田舎の親戚の家に行ったとき
木造家屋のおもちゃ屋の軒先のストッカーに
このメシエ星雲人とロボネズのソフビがクタクタになって袋も汚れた状態で
何個かぶる下がっていたのを思い出します。新マンオンエア終了後の発売で、
まだ怪獣ブームの残り香が残っているような時期だったのでしょうが
この2体はあまり子供たちの購買欲を
そそる存在ではなかったのでしょう。



さらに80年代の「特撮大会」でフリーマーケットがあり、この頃タコは
ディーラーとして友人のバキュームフォームキットの売り子をやってたんですが
(18歳未満でした。何歳からマニアなんやろ、わし)
向かいの卓にダンボールに一杯入ったメシエと
ロボネズのソフビが大量に投げ売りされていたのを思い出します。

つか、買っとけばよかったにゃ。友人は買っておりましたが。
たしかその頃でもちょっとプレ値だったような
記憶があります(1000円くらいだったか)。
すでにマニアヴィンテージ物ビジネスが
華やかなりし時代を迎えつつあったのですが、マルブルでもそんなバンダイソフビ
みたいなお値段で袋入り状態のアイテムが買えた時期があったんですネ。





新マン終盤の怪獣までかなり頑張って製品化してくれた
当時のブルマァクですが、この「郷秀樹を暗殺せよ」本編冒頭数分のみの
前座的な活躍にとどまったロボネズまで製品化してくれていたのは
ウレシイですね。当時喜んだマニアックな子供が多かったのかはわかりませんが
マニアには現在、ロボネズもミドルレアな扱いのちょっとムズムズする
一体になっているようです。
今回ブルマァクさんではメシエ星雲人と一緒にロボネズも復刻されています。

ブルマァクのロボネズは無理やりバランスをとれば2本足立ちにもできるので
本編の倉庫街での野戦でNATの集中砲火に猛り狂いながら前進する
ロボネズをイメージして飾ることもできます。

ロボネズは今見ると動物の改造怪獣=サイボーグ的なデザインで、相方の
メシエ星雲人はレトロSF映画の宇宙人風デザインと、主人と手下の怪獣で
ウルトラワールドに今まで見られなかったタイプのキャラクターが登場したという
意味でも(本編では同一画面に登場して新マン相手に
タッグ戦をしたりはしませんでしたが)
興味深い2体といえるでしょう。
ロボネズや腕がブーメランとして飛ばせるレッドキラーなどは
次番組の兵器化された怪獣=超獣のプロトタイプとも
見れる特徴を持った改造怪獣と呼べる存在です。

メシエ星雲人のほかにも、新マン終盤の回でレッドキラーを操っていた宇宙参謀
ズール星人もアメリカのレトロSFな甲殻宇宙人をイメージしたビジュアルデザインで
まとめられています。
こちらはマーミットさんによって補完的にスタンダードソフビ化を果たしています。
メシエ星雲人と共にいわゆる「成田デザイン的なライン」とは異質な
デザインコンセプトでまとめられた円谷宇宙人といえます。

思うに、終盤の「新マン」に宇宙人のエピソードが集中したのは、
ナックル星人のような強豪の宇宙人も地球侵略に
失敗し、外宇宙は治安が混乱しており今まで活動が目立たなかった
侵略星人たちが次第に勢力を増して地球を目指すようになってきたのではないかと。
そしてメシエ星雲人やズール星人のような宇宙人が
SF小説やレトロSF映画の宇宙人に似てるのは、彼らが何百年も昔の過去に
世界各地に偵察に来た時に目撃されて、姿かたちが宇宙人のイメージとして
ヒトビトの間で映画や小説のイラストなどの中に伝承されていたからではないか。

メシエ星雲人は同じブルマァクが当時発売したオリジナル(ではなくアメリカの
TOYにインスパイアされて作った)宇宙人ソフビシリーズの
ウラヌスキングなどにも姿が似ている点も考えてみるとちょっと面白いですね。

メシエ星雲人とロボネズを2体並べてみると
日本の怪獣をイメージ付けた円谷プロという製作会社が
傑作デザイン・造形を生み出した後の過渡期にあたり、
ウルトラワールドに新たなデザイン的潮流を模索しようとしていた
時期のキャラクターとして検証すると、また楽しいのではないでしょうか。



モグネズンは浅草花やしきのブルマァクショップに遊びに行ったときに購入したもの。
遊園地や行楽からの帰りに怪獣ソフビを買ってニギニギしながら帰ってきた思い出を
追体験できる場所が都内にでき、そこから運んできたソフビでありんす。

やはりソフビには買ってもらった時の思い出がバックボーンにあると
愛着が増すものdeath。それは現行品のソフビでも、イベントなどでの購入に
おいて個人個人の思い入れ次第で現代でも対象との間に芽生えることが可能な
感情ではないでしょうか。




このモグネズン、昭和に発売されたときは右手の平に
マグネットを装着しており磁石遊びができました。
当時、マグネット怪獣シリーズは、このモグネズンとゴーストロン、シュガロンなど
が発売されていました。
今回はマグネット部分にカンチャクが付いており、MATカーが装着され、
車を手に持ってヤンチャぶりを発揮する怪獣という昭和的なおもちゃの佇まいを
より強調させた楽しいアレンジが加えられての復刻となりました。





岸田隊員一家に忘れたい祖父の黒歴史を思い起こさせる
旧日本軍に遺棄された猛毒ガスを口から吐く習性を身につけた忌まわしき地底怪獣

。。。なんですが、普通のブルマァクスタンダードサイズよりも肉感的な造形で
表情もソフビとして愛嬌のあるモグネズンになっています。
今回の復刻ではMATカーを持たせたことで店頭のディスプレイ人形的な
華やかさも加わりました。
しかしウルトラ怪獣の当時ものソフビはメジャーな怪獣、マイナー怪獣問わず
一匹一匹が当時は「怪獣」というスターだった、ということがソフビからも
伝わってきますね。







そしてもういっぴき。。。
パチ怪獣のコレクターで、「どうもマグネット怪獣シリーズに似てるように見える
のだが」、と指摘する向きもいるのがこの火吹き怪獣(フーセン怪獣とも呼ばれる)
通称「六本角」。
彼は昭和の無版権パチ怪獣を乱作し売り逃げを繰り返したメーカー、
三浦トーイの作とされるが、今のところ明確な物証は存在しない。
現存する火吹き怪獣のヘッダーには製造メーカー名は明示されていないのが
複数のマニアにより確認されている。

六本角、モグネズンにそんなに似てるかねえ。
誰も今までやったことがないだろうし
せっかくモグネズンと六本角がこうしてタコの手元に揃ったので、
並べてじっくり両者を見比べてみるとしましょう。判定するのはあなただ!



うーん。ま~、確かに造形のポイントが要所要所で似てないことはないっすね。
モグネズンも頭にヤマアラシ的なトゲが出てるので造形的な近似値は
こうして並べて見るといやがおうにも高まるのだった。

まあ六本角怪獣はこのモグネズンだけでなく、
全身ウロコに覆われている点で見てみると、
同じマグネット怪獣のラインナップであるゴーストロンにもけっこう
似ているんですけどね。







マグネット怪獣シリーズと六本角は原型師が同じじゃないか、という
指摘さえもあるけど、じゃ
「六本角」=大協のザゴラ=ブルマァクのマグネット怪獣の原型師ってことか?!
版権怪獣の原型を先に手がけて、パチ怪獣のソフビも手がけたんですかねぇ。
その道のマニア、インサイターさんのブログでのパチ怪獣のページ、六本角の項目に
こんな一節があるんですが「新マンに登場しても違和感のない正統派怪獣」と
確かにいわれるが所以ですね。






サイドビュー。似てるわ、腕の曲がり角度とか。
でも同じ原型師氏の作なのかな?その辺はまだ断言できないところ。
仕上がりに同じヒトならではのクセって出てきますしね。
でもモグネズンはウロコのある怪獣ではないのでザゴラと六本角ほどには
似ているとは言い切れない。



そしてリアブー。

ああ、しっぽのウネリ加減とか、原型師が同じヒトの担当と言わないまでも、
こりはマグネットモグネズン見ながら作ったようにしか。
関係ないヒトに「同じシリーズの怪獣人形death!」と言って見せたら
疑いを持たなさそう。





というとこういう↓流れで六本角は生まれたのか?

。。。ポワポワーン☁(妄想開始)

ブルマァクのマグネット怪獣発売→三浦トーイの社長「怪獣ブーム再燃で
いっちょここはウチも波に乗って、ブルマァク風で遊べるギミック付きの
怪獣ソフビを作ってブツケでパパッと売りさばくんじゃ(至上命令)」→
社員、「イー!」つきあいのある原型師のところに行き
「ブルマァクのマグネット怪獣のモグネズンとゴーストロンを
買ってきたんで、これを資料に、なんか混ぜたようなのを作ってくだへい」→
原型師氏「やってみやしょう」ザゴラを作った例の腕の立つ原型師氏、
マグネットモグネズンとゴーストロンを資料として横に並べて見つつ
脳内で二体の造形的特徴を混ぜ混ぜ,赤提灯に行く時間を気にしながら
粘土して六本角をデッチUP

ポワポワーン(☁妄想雲が消える)。。。という流れか。

いや、あるいは同一の原型師氏だったなら。
過去に自分がブルの仕事で作った製品を横に置いてデッチUP、という
ことも。大協、三浦トーイを渡り歩いた名もしれぬ流浪の傑作パチ怪獣ソフビ原型師が
ヤクザなパチ怪獣ソフビ稼業と正規版権怪獣ソフビ稼業を行きつ戻りつしながら
双方のソフビを手がけたという、ワイルドな昭和パチ怪獣マーケットの実態を
垣間見るような推測もなりたつところだ。




パチ怪獣、版権怪獣を分かつのは実は造形ではない。

生まれついたバックボーン、
テレビ作品という陽のあたるセカイの身元を、守られた版権の下で作られたか、
バックボーンも何もないところではおもちゃ屋の裸電球の下で
そそくさと売りさばかれるはかない隠花植物のような存在の無版権パチ怪獣であるか、
という事実が両者を分かつのみだ。

その証拠にこうして二体を並べてみれば、怪獣たちのバックボーンを
知らないヒトはもちろん、知っているヒトでさえも、
出自が明確な版権怪獣のモグネズンがパチ怪獣のように見えてきたり
イリーガルな存在で売りさばかれたはずの六本角がテレビに登場した立派な版権怪獣
に見えてきたりする。どちらも怪獣を象った造形物としては
優劣がつけられない出来だからだ。




いわば生まれたときから違う境遇で育った異父兄弟のような存在の
パチ怪獣と版権怪獣の出生に関わったのが同じ親=原型師なのかどうかは
今となっては誰にもわからない。しかし、2匹の怪獣人形は出自は違えど、
同じ昭和の混沌から生まれた怪獣ソフビとして
現在では好事家に愛好され、共に時代を超えた名造形として光を放つ存在となっている
のである。

題して。。。帰ってきたウルトラマン「版権怪獣とパチ怪獣の間に」。

(2月5日付記。。。この件にこだわりのある知人がさっそく連絡をくれて
資料を貸してくれるそうなので、
この「版権怪獣とパチ怪獣ははたして他人の空似か論」は
彼の提供してくれるであろう証言と豊富な物証とを見比べて
より詰められそうです。
真偽はともかく、パチ怪獣ファンとしてタコもこの件は興味深いところなので
近いうちに検証の機会を新たに持ちたいと思います。)


【家なき子 カネゴン】

http://www.youtube.com/watch?v=R2IUwlWbUGw

【家なき子 悪魔の館】
これは当時怖かった。 家政婦を演じた深浦加奈子は名脇役女優だったのだが
もう亡くなってる。。。
この番組に出たあと、MATの加藤隊長(1の病院の先生役)ムラマツキャップ(2の
大財閥の庭師役)も亡くなってるんだったな。「ゴジラVSビオランテ」のヒロインも
演じた田中好子(すずの母)もだ。
思えば昭和名特撮俳優のおわかれ会みたいな番組だった。

http://www.youtube.com/watch?v=XxGAWj0l5lM

アキバ戦記35花やしきブルマァク

2013年01月23日 | 当時物ソフビ



となりのお店のトタン板と手前のジャイアントカネゴンの青、色調のユニゾンが
たまらない、昭和のみやげ物店の雰囲気を醸し出すブルマァクショップ店内。














すでに1月も後半にさしかかりましたが、
今年の自分はあわただしく年末年始が過ぎて
初詣ができなかったので仕事で都内を回りながら、これはという神社には
大小問わず出向き、2013年が良き年となるよう願をかけております。

DZ40で立ち寄った新宿・花園神社に続いて、今回は浅草・浅草寺。

浅草・花やしき通りまで来たので、昨年11月下旬にスタートした
ブルマァクショップ(ブルマァク展示・販売コーナー)に。














先日のスーフェスでもブルマァク主宰者・いしづき三郎氏からお店がどんな感じか
お聞きしていたので、オープンから年を越えてしまったのですが
とにかく浅草に寄ったおりには行ってみたかった。








店頭に置かれたサングラスがいかにも
観光地のおみやげ屋的なレトロおしゃれ感をアピール。
このお店の佇まい、店内に置かれた復刻
ブルマァク怪獣ソフビたちがしっくりくる昭和レトロ感、普段イベントなどでソフビが
たくさん並んだブース店頭を見慣れた目でもワクワク感が出てたまらないものが
あります。そうそう、昭和のころの下町のおもちゃ屋はこんな雰囲気だった!と
大脳辺縁系のデータ検索がフルで稼働してエンドルフィンを放出してしまう感じ。
ちょっと店内を覗いてみましょう。



ブルマァク復刻ソフビと、現行のバンダイウルトラ怪獣シリーズソフビが勢ぞろい
している店内。正真正銘元祖怪獣ソフビブランドの販売を
この昭和チックな演出の店頭装飾でヤラれるとマニアには破壊力抜群Death。





新作グドンとペガッサ星人の予約受付中.2月10日締切とのこと。




スーフェス61でも販売されたタイラントとマグネット怪獣改・
マットビハイクルをつかんだモグネズン、早くもこちらのショップでも
販売してました。
スーフェスでじっくり見て、ボリュームと佇まいにたまらんものがあったので、
今回はモグネズンを購入。

マグネット機能を装着したことで生まれた頭部と胴体、腕の比率が得も言えない
プロポーション配分になっているモグネズン。インディーズソフビメーカーさんでも
好きなソフビの話などしていると、当時物ではこのラインのブル当時品が
たまらんと表明するファンがけっこう多いんですよ。
今回の復刻では、手のマグネット部分がかん着になっていてマットビハイクルを接続
しています。腕に覚えあるファンはかん着部分を切り取って円状のマグネットを
はめ込んだら、当時物通りの仕様で復刻モグネズンが再現できるのではないか?




新宿のDZ40、そして浅草にはブルマァクのマジンガーZ!



おなじみ勇猛な牡牛のトレードマーク入りバッグやステッカーも販売。









怪獣ソフビ以外には、パンダとフェリックスをフィーチャー。
夏場は涼しい飲み物を飲みながら怪獣ソフビをじっくり見ることができそう。



マルカワのフーセンガムは今もフェリックスがトレードマークなんですよね。





「カネゴンの繭」の一場面みたいですネ。









ソフビにはトタン板、暖簾、清涼飲料のアイスケースがよく似合う。











本ショップのもうひとつの見もの、
昭和の下町の遊園地として名高い花やしきで開催された怪獣・怪人ショーや
イベント風景を映した貴重なスチールも展示。こういうのもっと見たい!
キカイダーがチケットもぎをやったり、ドルゲとアントマン、バロム1が
花やしきジェットコースターに載ってる写真なんかしびれます。





店員のおねいさんによると、2世代でバンダイソフビ、ブルマァクのソフビと
それぞれのリアルタイムソフビをじっくり見て行く親子連れのお客さんも多いのだ
そう。あと、海外のヘビーコレクターがものすごく嬉しそうに店内に見入って、
一杯復刻ソフビを買っていってくれたこともあったそうで、さっそく反響のほどが
伝わります。特に外人さんは怪獣ソフビというと日本ではこんな感じで販売されている
イメージを抱いていて、想像通りの店頭が見れて感動があるのかもしれませんね。

花やしきのブルマァクショップは花やしきの休館日(遊具のメンテナンス等の日)
と同じ時がお休み。営業時間も花やしきさんと同じだそうです。

ブルマァクさんの、イベント以外の製品情報発信基地としてもこれから活躍しそうな
このお店、浅草寺界隈の昭和レトロな空気を満喫しながら復刻レトロ怪獣ソフビに
触れることができる、ソフビファンの楽しい東京新名所がまたひとつ増えましたネ。


【ブルマァク便り(ブルマァク・オフィシャルブログ)】

http://bullmark.seesaa.net/

【ブルマァクCM】

http://nicoviewer.net/sm4612191

【40年前の紙芝居/ある意味黒歴史】
祖父の遺品としてある家庭に現在も遺されている、南村さんや梶田さんの怪獣絵を
パチったゆるゆる紙芝居。

http://www.youtube.com/watch?v=tDZJM_0cXs0

ヨネザワ怪獣ソフビクロニクル

2012年12月02日 | 当時物ソフビ



ガメゴン。恐竜で言えばヴェロキラプトルのような敏捷で躍動感のある
ポージングができる、ヨネザワ怪獣のオリジナリティを強くアピールする
精悍な表情の赤い怪獣。きっちりとディティーリングされた甲冑とみまがう
マツカサのようなウロコが特徴。




昭和の怪獣玩具の中で特異な造形とインパクトで今なお好事家の間でも
収集対象として名高いヨネザワ(米沢玩具)のオリジナル怪獣ソフビ。
本家マルサン・ブルマァクや、恐竜ソフビや中岡俊哉氏の原作を持つ(といわれる)
オリジナル怪獣の展開で知られる大協、パチテイストも明確にしつつブームに乗り
手堅いつくりの怪獣を大量生産したミウラトーイなどとはまた趣を異にする
ワイルドな造形が現代においてもマニアのココロを離さない存在となっています。

当時ヨネザワから発売されたスタンダードサイズの怪獣はサイドン、ガメゴン、
ダブラ、宇宙原人、ワニバの5種類。















ダブラ。ゴジラのような重厚な胴体に2つの小さい頭部を持った異形の怪獣。
胴体をメタリックグリーンとブルーで二分したペイントが施されており、
スカムテイストが横溢。









サイドン。頭の上には鬼のような角を2本、鼻の上にはケラトサウルスのような1本角。
凶暴さではガメゴンにひけをとらないであろうアシッドな表情がアピールポイント
となっている二足歩行の恐竜型怪獣。肉食竜のように上を向いたポーズで敵を威嚇する。顔の造形にはどこか獅子など民芸品の獣を思わせるいかつい凹凸が入り
強面感がある、背中のウロコの表現はソフビ造形の枠を超えた味を
かもし出していることなど、手にとってさまざまな角度に変えて眺めるごとに
興味深い造形ポイントを多彩に見出すことができる怪獣ソフビ。










ワニバ。シリーズ唯一の4足歩行の現存する爬虫類タイプの怪獣。ワニのような
姿に大きなセビレとツノを持ち、アメリカのSF映画に登場する突起を付けた本物の
爬虫類のような生命感を持った怪獣。ワニのようなザラザラした皮膚を持ち、
牛のような歯列が並ぶ表情のモンド感はサイドンにもひけをとらない。

ヨネザワ怪獣たちは当時の成形技術がまだ未途上のものだった上、
怪獣ソフビ製作のノウハウをもたないためか
首やカンチャク周りなどの造形が安定していないものが多く現存状態の良好な
ものが少ないです。
ソフビ成形も薄皮で破損しやすい状態であったため、当時品は遊んでいる間に
壊れたりなどして各家庭の判断で処分されるケースも少なくなく、ゆえに
現代では希少なソフビとマニアには見られています。同時に当時も怪獣ブームに乗って
売り切った販売形式であった気配で、再販などもなく結果、当初の販売分しか
出回らなかったのではないかと見る好事家が多いです。

ヨネザワが怪獣関係の商材に力を入れていたのは怪獣ブーム時のごく1~2年、
ごく短期間にとどまった様子でブーム便乗型だったのは明確。
ゆえにヨネザワ怪獣関係のおもちゃも今だその存在には謎の部分が多く、
ソフビ本体の収集だけにとどまらない、永久に答えが出ないであろうにも
かかわらず考察の余地を持つソフビシリーズとして末永く愛好の対象とできる
豊穣な魅力を持ち合わせています。

ウルトラ怪獣や東宝怪獣では出せなかったであろう荒々しくも勢いのある造形や表情に
独自の魅力を湛える彼らは、昭和の混沌とした怪獣ブームがもたらした
突然変異的なミリキと同時に、昭和でなくては生まれ得なかった、
そしていかにも時代のあだ花ともいえる
インパクトと新鮮さを見る者に提供する怪獣ソフビ玩具といえるでしょう。
昭和の怪獣ブームが持つカオスな空気そのものがヨネザワ怪獣のディティールに
刻まれているといっても過言でなさそうです。

タカトク アーケロンガメ×キングアロー

2012年03月19日 | 当時物ソフビ

 

ゴルゴジラとスーパー怪獣シリーズにつづいて今回も当時物のパチ怪獣です。

自分的にはかなり存在感を発揮してくれる一体、マニアにパチガメラと呼ばれることもあり
ますが、正式名称はアーケロンガメ。製造販売元は今は亡きタカトクトイス。
またまた正確な答えなどない推測の考古学になりますが、
今回はタカトク怪獣?(恐竜?)ソフビ論も交えて書いてみたいカナ?と思います。



パチガメラと同じシリーズの「キングアロー」。こいつも確かヘッダーに名前があった
記憶があり、マニアの方たちがそう呼称しています。見るとわかるようにキングアローは
アーストロンを模倣してソフビを作った気配があります。そしてアーケロンガメは日東の
名作ソフビ、ガメラ1期をイメージしてパチの対象にした気配があります。
共に足裏には「タカトクトイス」のマークが入っています。

これ以外に同シリーズにはアンキロザウルスというソフビがありますが、どう見てもこれは
マルサンのマグマ大使・モグネスのソフビをパチったようにしか見えません。
要はこのソフビシリーズは過去に作られた他社の怪獣ソフビの外形をなぞって言いわけ程度に
ツノを足したりして作ったアイテムに、形の似た恐竜の名前をつけて「恐竜」といって
売るような適当なアイテムばかりだったということです。
ぶっちゃけ、有名な怪獣ソフビの模造品ではないかと版元にツッコまれたら、だから恐竜ですと
言いわけできると恐竜名をつけて対策をとっていた(つもり)のかと思えるくらいです。

しかもすでに怪獣ブームを過ぎていた頃のプロダクツなのでレトロ造形という枠から逸脱
しており、いわゆるレトロ怪獣のソフビの枠というよりは大陸で模倣量産されたコピー商品に
近い印象です。
ただし70年代後半頃に作られたと見られる)せいもあって、今の目で見ると
三浦トーイの怪獣などと並べてギリでレトロ系と分類できるソフビ群なのかも、と思えるのですが。

このパチガメラ、正式にはアーケロンガメと言うと書きましたが販売されていた当時、自分も
都内のおもちゃ屋で目撃しました。昭和50年代に入ったくらいだったと思います。
まだまだハナタラシのジャリボーイでしたがその頃から妙なおもちゃには目がなかったので
鮮烈にこのカメの怪獣のソフビが店頭に置かれていたのをおぼえているのです。
かなり妙な存在感がありました。

すでに第二次怪獣ブームも終わって何年も経ち怪獣ブームのころは華々しくソフビが
吊るされていた店頭のストッカーも別のおもちゃが並んでいたりとソフビがじょじょに
おもちゃ屋から撤去されていた頃、彼らはヘッダー袋に
入ってお店のワゴンのようなカゴに入っておりました。
ヘッダー内容は、記憶があいまいなのですが、漫画みたいな恐竜の絵が描かれていたように
思います。「恐竜シリーズ」みたくロゴが印刷され、このクリーム色の
成形色のソフビに「アーケロンガメ」と印字されていたのを覚えています。第一印象は
子ども心にも「変な怪獣人形だな~」でしたね。はじめはウルトラマンタロウに登場する
キングトータスのソフビか、でもなんで今になってと思ったくらいです。実際はその
キングトータスもブルマァクで存在していたわけですが。製品名称が目に入り、
アーケロンという恐竜は映画「恐竜100万年」に登場したのを知っており、
また自分は恐竜にもうるさかったので、このアーケロンガメのソフビとヘッダーの名前を
見たときに「どこがだよ!」とツッコみ、けっきょくその場でこの何だかよくわからない
カメのソフビ人形は買いませんでした。
つまり、自分の記憶がそこまで鮮明なので、タロウ放送以降何年も後になってこの
ソフビが出たというのは確かなのです。
しかもウルトラシリーズが「レオ」を最後に終わってからだいぶ経って、
すでに子どもたちのお茶の間の人気ヒーローの趨勢は超合金のスーパーロボットや
スポコンヒーロー、ドラゴンや香港系・ソニー千葉のような空手ヒーローやUFO.超能力などに
移行していた時期のように記憶しています。
これもはっきりしていないのですがほかのタカトクのロボットアニメのソフビ人形が
お店の中ではいっしょに置かれていた記憶があります。

タカトクは何か他社の恐竜玩具をけん制もしくは対抗するようなつもりでこれらの製品を
作ったのでしょうか。たとえば昭和50年代前に円谷の「恐竜探検隊ボーンフリー」とか
恐竜パニック映画「ポーラボーラ」や「恐竜怪鳥の伝説」といった映画の製作・放映が決まって、
そこに当てこんで「次は恐竜じゃ!!とりあえず、恐竜のような怪獣のようなダブルにおいしい
ソフビを出して恐竜ブームの波に乗っとくんじゃ(タカトクの玩具展開で発言権のあるえらいヒトの
鶴の一声・妄想)」
みたいな意向でタカトクトイスの現場も日和見半分で恐竜ビジネスに参画したとか、そんなノリ
だったのでしょうか。



またまたこのソフビに関しても、いつまで待っても明確な存在の確証が得られない感じがします。
ただ、怪獣ブームが去っても、それから10年くらいは子どもたちに恐竜のおもちゃは
潜在的に人気があり、何かしら恐竜関係のおもちゃは売れる、みたいな空気があったのかなと
思うんですが。といっても、こんな妙な、子どもも首をかしげる真面目に作っていない
恐竜もどき人形は普通買わない気がしますが。ゆえに大人になってからあれは一体何だったんだと気になる存在になるのも確かですネ。
タカトクとは別のメーカーで怪獣ブームとは明らかに時間が経ってから恐竜ソフビに
力を入れていたメーカーにはマルシントーイがあります。マルシンはミドルサイズの
「大恐竜シリーズ」やミニの恐竜ソフビを多数販売していましたね。物証としてヘッダー入りの
マルシンの製品が手元にあるのですが、残念ながら販売年はそこから読み取ることは
できないんですけどね。
(活字にナール書体があるので、昭和50年代に入るか入らないくらいは確かな気がします)
こちらはタカトクよりもかなりマトモな普通の恐竜シリーズなのであまりパチ怪獣ソフビファンには
人気がない感じです。

タカトクとマルシンは一時期製造元と販売先の関係で製品を出していた時期がありました。
商材はたとえば「テッカマン」とか「ビビューン」などの版権アイテムです。
両社は恐竜のソフビをそれぞれ販売していたけど販売点数が多かった
マルシンに比べるとタカトクはこの怪獣のような恐竜のようなソフビたちをしばらくリリースして
見こみがないと見て、結局恐竜からは撤退したとか、そんな流れでもあるのでしょうか。

 

日東のガメラ1期を横に置き造形した気配が非常にするアーケロンガメ。
なんでこんなとぼけた名称になったかというとアーケロンとして売るつもりで
名称をつけたけど、末尾にカメとつけないと送り手も自信が持てない感じだったのではないかと
思います。ただ、古代ガメというと確かにこんなトゲトゲが体中に付いたワニガメみたいな
品種もいたのかもしれないので、作り手が考えたこととは無縁なところで手にした人間の
イマジネーションに働きかける姿と名前の自然発生的ミラクルが漂うアイテムなところが
ちょっとミリキがあるカナ、という気はします。
実際、クリーム色の成形色と表情の造形は作り手が意識してよりよく作ろうと思ったのかは
わかりませんが、何か琴線に引っかかるものとなっています。

 

 

同シリーズのキングアロー。凝りの無いつくりですが、一応子どもにアピールするヤンチャ造形
はかろうじて表現しようとしている気配はうかがえます。その仕上がりには、三浦トーイや
大協のオリジナル怪獣を手掛けた原型師氏たちの「レトロ造形」とは怪獣ソフビを作る
バックボーンがすでに異なる空気が漂っています。分類上は下手をすると中国生産された胸に
口のないベムスターとかあのあたりのアイテムに近いのかもしれません。
とにかく怪獣商材のリリースが多くない時期に作られた怪獣玩具としても異質な製品というのは
造形テイストからもうかがえるところです。

これはタカトクの本シリーズと異なるメーカーからリリースされたといわれる恐竜ソフビ2匹。
足裏に何の社名表記もないです。
アロザウルス風のヤツはマニアに「メラコ」といった名前で呼ばれていることもあるようです。
この2匹の造形が、歯の並びや手の招き猫の手みたいな仕上がりが非常にアーケロン
ガメと似ています。もしかしたらマルシン製で、タカトクトイスと共通に原型製作をしている
原型師氏が製作した原型かもしれないですね。

 ちなみに右のステゴザウルスくんは、タコのソフビマニアの仲間内で「画期的なソフビの
アイデアを思いついた、これは売れるぞ!ステゴザウルスを2足歩行にするんだ!どうだ
カッコイイだろう!」とか超だめなソフビ企画をイメージングする時にいつもネタにしている、
かわいそうなソフビだったりします。
でも何かフラワームーブメント時期の海外のアニメなんかであらぬ2足
歩行でお花畑をバックにスモーキンガンジャみたいなダンスを踊る恐竜で、こんなのが
居たような気がするので、いろいろ目線を変えてみれば
楽しめるソフビかもしれません。タコはいつもこのステゴを飾っております。

タカトクは古くは「キカイダー」、「メガロマン」やその怪獣、また「アクマイザー3」などの
キャラクターソフビで怪獣的な商品を手掛けたことはあるものの、基本、怪獣ソフビに
そう力を入れているメーカーとは思えないのは昭和からおもちゃを見てきたヒトなら誰もが
印象を持っているところでしょう。
そうしたタカトクがなぜまた怪獣ソフビ、しかもまたなんでだかこの時期にパチもの怪獣というか
恐竜ソフビを手掛けたのか、この点もパチ怪獣を語る上では前回のスーパー怪獣シリーズの
メーカーは一体誰かという話題同様に、マニアにとっては昭和のソフビ界に横たわる
ちょっと気になるミステリイのひとつなのかもしれません。あたかもガラパゴス諸島の爬虫類の
ように独自に育まれた、しかも有名怪獣ソフビのパチという風変りな出自が好事家を魅きつけ
ます。このアーケロンガメ=パチガメラくんもそんなソフビマーケットの小さなミステリイを彩る
奇妙な物証なのDeath。

 


ゴルゴジラとスーパー怪獣シリーズ

2012年03月18日 | 当時物ソフビ

 



以前記事で触れて一考中にしてあった話題があったのでここらでまとめてみます・

今回は「スーパー怪獣シリーズ」「ウルトラ怪獣シリーズ」のヘッダーとそれらのヘッダーに
関係があると思われるソフビ、そのヘッダーで綴じられていたソフビたちについて考察
してみます。しかしほとんど材料が少ない考古学のようなもので、明確な答えに辿りつくというわけ
でもないですが、好き者の人たちがパチ怪獣ソフビの話題としてすっかりおなじみの
怪獣ソフビたちに関して色々考えをめぐらしつつ語るとき、このあたりの話題、関心は尽きない
ところであると思います。今回も誰もが自由に語る余裕を持つ「試論」です。

上はよく巷で見るミニソフビ、70年ごろに販売されたとみられる「ウルトラ怪獣シリーズ」の
ヘッダーのついた状態Death.
表記NO.20となっていますがメーカーサイドの製品整理番号か何かでしょうか。
そして、このヘッダーの絵柄は実はマニアに昨今「ゴルゴジラ」と呼ばれる例の怪獣ソフビを
はじめとした4体のソフビの販売時に当時使用されていたヘッダーイラストを別の絵師が
トレースしたものだったりします。
このミニソフビセットは一度に5個怪獣ソフビが手に入ることで好評だったのか、「帰ってきた
ウルトラマン」のオンエア当時以降と思われますが「帰ってきた怪獣」という続編?ソフビが
リリースされています。その時のヘッダーはまったく新規に描き下ろされた「ウルトラ怪獣
シリーズ」と異なるものでした。「ウルトラ怪獣シリーズ」「帰ってきた怪獣」は第二次
怪獣ブームにあてこんで製作、流通された商品なのは間違いないでしょうね。



右のみずいろゴルゴジラくんが入っていたヘッダーがこれ。一見上のヘッダーと同一の
ようでいて、上の「ウルトラ怪獣シリーズ」のヘッダーは、よく見るとこの「スーパー怪獣
シリーズ」のヘッダーイラストを描き直したものであることがわかります。



右下の四本足の怪獣などは5匹ミニソフビパックのほうは完全に別ものになっています。
両方の絵を見比べても、5匹ミニパックの絵のほうが後から描かれているのは明確です。
それにしてもなぜ絵を描き直したんでしょうね。

 

第二次怪獣ブームのスタートで、ヘッダーに
「ウルトラ怪獣」と入れたかったのだけど下の「スーパー怪獣」のほうのヘッダー
イラストの元絵がすでにメーカーの手元に無かったので、わざわざ全部を描き直したのでしょうか。昭和の頃は現在のようにパソコンの画像処理で容易にロゴなどを差し替えることが困難だった
でしょうから、たぶんやむなく別の絵師に依頼して作り直したのでしょう。それにしてもさらに
気になる情報があります。
この双方のヘッダーに描かれている左の2匹の怪獣(2足歩行の怪獣)たちに似たソフビが
あることです。

フーセン怪獣と呼ばれる彼らです。彼らに関しては袋入りヘッダーの状態をコスモナイトα
さんで一度拝見させていただき、上の「スーパー怪獣シリーズ」「ウルトラ怪獣シリーズ」とは
異なる独自の「火吹き怪獣」と表記されたヘッダーであることが確認済みです。
しかし中央の赤い、マニアに「6本角」と呼ばれる怪獣が上のヘッダーの怪獣に
たいへんよく似ています。そして左の耳の大きな
1本角のオレンジの怪獣ソフビも上のヘッダーの左端の怪獣に似ていますね。この点は
ちょっと留意してみたい感じです。

「スーパー怪獣シリーズ」のヘッダー絵を意識して造形したのでしょうか。



「スーパー怪獣シリーズ」のヘッダーが作られた後に、絵をもとにしてこのフーセン怪獣たちの
原型が製作されたのでしょうか。当時は土粘土でソフビの原型を作っていたので原型は作り置き
ができなかったそうです。どちらにしろ、同じ作業工程に関わる人たちが一連の
フーセン怪獣、「スーパー怪獣シリーズ」のヘッダーに関わった可能性は高いということがいえ
ます。ただしフーセン怪獣の原型を作った原型師氏が会社所属でない工房で、「スーパー怪獣
シリーズ」の展開とは無関係な立場でありながら、依頼でヘッダーの絵を参考にしつつ
これらのフーセン怪獣の原型を作った可能性もありますね。大協と三浦トーイで作風の
似通った三浦の宇宙怪獣しわ、ダイヤ、そして大協のザゴラ、マイティが存在することを
考えても、「スーパー怪獣シリーズ」をリリースしメーカーとこのフーセン怪獣の製作とリリース
に関与した人たちが同一であるかは可能性もありそうですが、絶対ともいえないし、
今となってはなんともいえないところです。

ただこの68年~71・72年位の期間に同様の原型師氏の工房がこれらのオリジナル怪獣
ソフビの製作に関与したこと、そこに大協、三浦トーイといったメーカーが明確に名前が頻出
している気配が濃厚といってもも差し支えないところであると思います。
何しろ当時、この種のパチ怪獣というのは多いようでそう沢山の種類が出回っていませんでした
から犬も歩けばで同じようなメーカー、工房が関与した可能性もあるということですね。

まして近年、フーセン怪獣には上に画像として上げた3匹以外の4匹目として「スーパー怪獣
シリーズ」のぺギャオスそっくりなフーセン取り付け口を持った怪獣ソフビがさらにマニアにより
発掘されています。(真実一郎氏の主宰するインサイターブログにキングペギャオスという
名称で紹介)。
フーセン怪獣とゴルゴジラなど「スーパー怪獣シリーズ」の関わりはある程度あると見て
よさそうですね。

フーセン怪獣のマニア名称「6本角」。
口のフーセン取り付け部分がオモチャとしての用途を強く主張するせいか怪獣ソフビとしての
ミリキは今一つと見られがちですが、こうして見るとたたずまいもなかなかのもの。

 


そしてじっくり見ていると大協のザゴラにウロコや足の先の造形などよく似ていますね。
自分以外にも「ザゴラにも見られる、爬虫類的なイメージを強調してこの6本角も
作られている」と指摘してくれた好事家の方がこれまで何人かいるのですが、もしかするとザゴラと同じ原型師氏の作業である可能性も考えられるところですね。ザゴラと6本角は三浦、
大協といったメーカーの双方の原型製作をひきうけていた原型師氏の共通の作業というのは
一考してもよさそうに思われます。

ただひとつだけこの「スーパー怪獣シリーズ」のヘッダーに関してタコが知っていることをいえば
この絵もすでに他の当時既存していた図案からパチったものです。
小学館から当時出ていた恐竜図鑑からで、ヘッダーの後方右に居るツノをはやしたエダホザウルス、中央の6本角の下絵と指摘している怪獣も同書のトロエドンの絵をレタッチしたものである
可能性が高いです。エダホザウルスもどきは元絵のエダホザウルスとポーズ、表情、
彩色の色調もほとんど変わらないので、その恐竜図鑑を見ながら描いた可能性が高いです。
その恐竜図鑑は昭和40年代の発刊なので、容易に書店で入手可能な恐竜というか
怪獣絵を描く資料として手近に調達されたものだったのではないでしょうか。

そして「スーパー怪獣シリーズ」のヘッダーで飾られた怪獣たち。彼らは現存数が多いので
レア的な目線では弱いです。ゴルゴジラにしてもトリケラン、そしてぺギャオスにしても、
当時の流通量が多いというだけで軽んじられがちなところはありますが、出来はなかなかの
もので大協や三浦トーイの著名なオリジナル怪獣たちとけっしてひけはとらないと思います。

トリケラン、ゴルゴジラ、ぺギャオスは「怪獣」ですが、あと1体は「ステゴザウルス」ですね。
これはほとんどマルサンのステゴザウルスを横に置いて造形した感じがします。そして
塗装時の見本までもまんまマルサンのステゴザウルスを参考に。一匹だけどこかで見たモノを
混入しておくとなじみやすく、お店も取りやすいと思ったのでしょうか。ただ顔の
造形を見るとミウラのラードンっぽく、鳥系の怪獣のような顔立ちになっているのでもしか
すると後のミウラにも関与している原型師氏の仕事のような気もします。


 

オレンジのトリケラン、青いゴルゴジラ、赤いぺギャオス、緑のステゴザウルスと色で
4体を納入時などに明確にしたもので、流通もそうとう初めからする予定だったのでは
ないでしょうか。実際80年代までオモチャ屋の軒先に埃まみれの状態でビニール袋が
ぶるさがっていたという話もよく聞きますし、今もデッドストックが出るので、彼ら4体は
相当出回った様子がうかがえるところです。

なんにせよ、数年の間に明確な社名を明記しないで一時期、これだけ色々な匿名の
オリジナル怪獣が出回ったというのは、そういう動きを自覚的に取った特定のメーカーの作業が
大半と言う気が非常にします。その特定されるメーカーの可能性として時たま指摘される
三浦トーイという会社。同社はすでに無いですが、さまざまなおもちゃを手掛けていました。
そういった、製品に社名も明記しないで出回らせたものがほかの製品ジャンルにもあるのかと
思い長期にわたりウォッチしてみたのですが、たとえば戦艦のポリトイやパンダブームの頃の
パンダソフビやゼンマイトイなどにも三浦トーイと明記しているケースがほとんどなので、
もしかするとウルトラ=円谷関係については、あまり流通量が派手に出回る=売り逃げる
「スーパー怪獣シリーズ」「ウルトラ怪獣シリーズ」などの展開では社名が目立つことをよしとしないであえて覆面ヘッダーメーカーとして活動した気配もあるのですが、これも推測の域は出ないところですね。宇宙怪獣しわやダイヤ、宇宙怪獣3号などは玩具の業界紙にも広告を投入して三浦トーイ
の商品であると謳っていたわけですがこの後何か怪獣玩具を展開する上でのメーカーサイドの
指針がなるべくメーカー名を前面に出して売らないことにしようと変わったのかもしれません。

もうひとつ気になるのはこの「スーパー怪獣シリーズ」がたんに複数のメーカーや商社の共有用のヘッダーであったのではないかという疑念です。当時はいろんな種類の違う玩具に同じヘッダーを
転用していたケースもあったので考えない余地はないところですが、具体的に、販売時でヘッダーが共有された他の怪獣ソフビ関係での商材がいまのところ確認されていないので、この推測は
確証がほとんど得られないところです。

彼ら昭和のパチ怪獣ソフビは物は言わずとも存在した年代は数年間にわたり共通しており、
いわば同じ時代の空気を吸い今に現存するものたち。どこかで生まれる過程に各シリーズが
関わった絵師や原型師などがシンクロした期間があり、それが販売時に使用された図像や
造形にも関与した人物の痕跡を残しているということなのでしょうね。
そして昭和のパチ怪獣たちの開発・製造をめぐる背景の実状はごく
狭い範囲のセカイで進行していた話ではなかったのかと思われます。

いろいろな可能性を現存するアイテムやヘッダーなどで推測していくと、ぼんやりとですが
当時のパチというかオリジナルの怪獣ソフビを展開していた会社と名前も知るよしもない複数の
原型師氏の工房の関係がちらほらと見え隠れしてくる感じで興味深いところですね。
またこの「スーパー怪獣シリーズ」周辺の話題は何か物証なり、関心をそそる意見や証言が
どこからか出てくる時点まで結論を急がず、まったりと語っていきたい感じです。

 

 


昭和の奇獣ガニメ×カメーバ

2012年01月02日 | 当時物ソフビ

 

新年らしく最初に載せるソフビの記事もめでたそうな華々しいのを出そうかと思ったんですが
すぐに浮かばないので、あえて真逆なセメント色の超地味~なヤツを2匹。
とっても好きなヤツらなんです。正月のなごみとして興趣も醸し出されいいことかも
しれません。タコブログにしては珍しく版権怪獣のヴィンテージソフビ。
昭和のメーカー、ブルマァク社製の大ガニ怪獣ガニメ&大ガメ怪獣カメーバ。

ガニメは幼いころにいつしか家にあったソフビ。たぶんまだ小さかった頃に親戚か誰かが
買ってきてくれたアイテムだったのではないかと思います。そして後年ソフビマニアになってから
探して買った相方のカメーバ。この2匹の怪獣が出てくる昭和の東宝怪獣映画「決戦!南海の
大怪獣」にはもう一匹、カミナリイカの怪獣ゲゾラが登場するのですが、
ゲゾラのソフビをタコは持っていません。その理由については後述。

ちょっと外に持っていっておなじみの岩場で撮影してみましたが、まるでリアルな
カニのオブジェみたいです。迫力が出そうですが、ソフビの記事としては
ほんとにうるおいがないのでやめました。
「決戦!南海の大怪獣」は映画も当時では怪獣造形がリアル志向でしたね。
映画に巨大生物パニック映画的なたたずまいもあり怪獣映画に新趣向を盛り込もうとした跡が
うかがえます。



表情がかわいらしいカメーバ。フラガールたちと飾るとちょっとモンドな南海風味が味わえます。
年末近くになかなかのコレクターであるソフビファンの知人と話していたんですが
タコ「自分はガニメとカメーバが好きで所有しているんですが、あれはどう思います?」
知人「ああ、君がマルブルの話するなんて珍しいね。しぶいじゃない、オレも好きだけど
あのドブ色みたいな成形色はほんとにマニア向けだよね、
今となってはミリキはあるけど、当時でもおもちゃとしてあの色は
いくらなんでもナイよな~」と言われました。まあ、斜めな褒め言葉と言う感じですね。
でも彼の言いたいポイントはよくわかります。

自分も持っていた子ども当時、ガニメは地味だな~と思いました。
ソフビファンの知人いわく、「ガニメはソフビトイというよりも、置き物。
もはや骨董と呼ぶに似つかわしい産物ではないか」
と言っておりました。なんとも枯れたわびさび感がありますものね、ガニメ。
つげ義春じゃないけどもはや、愛石とかの領域に入ってますね。

ぶっちゃけ子どもさんのおもちゃにしてはこれはないだろってな配色です。でもそこがいい。
当時も子ども心にガニメは持っていても正直ナンジャこりゃという印象でした。
地面にペタンと寝かせてるような状態のアイテムなので、立って他の怪獣と絡ませるのも困難。
ゆえに箱の中で待機しているソフビのような位置づけで、たまに出してきて遊んでも
持っていなかったエビラの役をやらせたり、巨大昆虫の代役なんかをさせて
「ガニメ」という怪獣としては機能せずに遊んでいた記憶があります。
目が本来造形されている場所でないところに人間の目のように赤く彩色されているところも
エビの怪獣なのに妖怪っぽい雰囲気が醸し出されており、妙だと思いどこか
受け付けない感じでした。
このへんは昭和らしい塗装センスがもたらすイイ味なんですけど、昭和の世を生きる
子どもさんにそんなことを主張されたところでなかなか理解できない感じです。

結局ガニメはソフビとしてはその得もいえない徹底した地味さがミリキなんでしょうけど、
ゲゾラかカメーバを持っていて、からませないと単体ではあまり本領を発揮できない怪獣ソフビ
だったのかもしれません。なんでこれが家にあったかというと、買ってくれた人物は売り場に
ゲゾラとカメーバがなくて、もう地味なガニメしか吊るされてなかったのでこれでいいかと
手にしたのではないかと思います。
しかしこんな色のガニメのソフビが店頭に吊るされている風景なんて、乾きモノの海産物
みたいでシュールですよね。

本領の発揮というと、写真のようにカメーバと2体で、あたかも劇中の洞窟に潜んでいた
コウモリの超音波で狂って戦うシーンなどイメージして再現してみるとそれはよくわかります。
カメーバが表情も手足もお茶目な造形なので、どっちかっつと「鳥獣戯画」の動物同士が野山で
人間の子どものように戯れている図みたいになりますね。
しかし、この辺りが昭和の怪獣ソフビの持つおもちゃとしてリイマジネートされたことで
生まれた風雅さそのものなのではないかと。ゆえにガニメにも骨董の置き物的な存在感
も見いだせるところで。怪獣ソフビのミリキとしては切り立った岩みたいな風合いの
ソフビ表現というものがあるんですがカラフルなおもちゃとしての彩色のものが普通だった
公害怪獣のヘドラすら、ポップでカラフルな彩色が施されリリースされていた当時ものの領域で
それを造形、色も「ドブ色」とでもいう色に徹底してしまったのがこの南海3匹で、ゆえに
異彩を放っている感じですね。

カメーバがここ10年に出たマーミットさんやマルサンさん、バンダイミュージアムのアイテムのように
映画本編と同じ4本足のソフビでなく、2本足の怪獣にアレンジされている。
ガニメもこんなだしカメーバも4本足でソフビになっていたら子どもさんは
遊びにくいかもしれませんが。
逆に2本足で造形されたガニメとこのカメーバで並べて、ってのもちょっと見てみたいですね。
大映のガメラが先にあったので、映画本編の造形は素晴らしいのですがカメーバは
カメの怪獣ということで、二番煎じ的に思われがちで分が悪いようにも思えます。
なんとなくこのカメーバのソフビにも、イメージ的に置き場のない感じがあって、カメに見えない
不思議な造形化につながったのかもしれません。

いかにも妖怪っぽいガニメ。有名な話ですが頭部を上下逆にしても顔になってしまうのが
またブキミです。タコの持っているガニメは当初から(赤く塗ったところを目とした場合)
つり目で触覚が下にある「後期生産」状態になってました。上の2枚は前期生産状態の
垂れ目顔にしたほうです。

しかしカメーバもカメーバで、初めて現物を見たときは驚いたものです。
80年代後期くらいまで怪獣ソフビの資料類などは市販されていないので、
決戦南海の大怪獣のソフビは当時持っていたガニメ以外の2匹もあるともちろん
思っていたんですが、学生になって東京をあちこち出歩くようになってから、
ゲゾラは下北沢のアンティークショップに行くと比較的珍品的スタンスで容易に現物を
見ることができましたが、
なかなかカメーバのほうはソフビとして、どんな仕上がりになっているか
現物に出くわしませんでした。
ある時、店主に聞くと、なんだ、カメーバなら店にあるじゃないか、ホラそれだよ、と言われて
指差した先の棚のうえにあったのが、映画のカメーバとは似ても似つかないカエルのような
顔の、しっぽの長い怪獣。カメなのに甲羅もしょってない。
はじめはなんじゃこれは、失礼ながら、一瞬店主が間違ってるのかと思いました。

しかしカメーバも、これまた昭和的イマジネイティブにより2本足の、ほかの怪獣と絡めて遊べる、子どもが喜びそうなアクティブな印象の怪獣に原型師さんによってリデザインされており、
今となっては得もいえぬミリキのあるソフビであることは少しして理解できました。

そうそう、ゲゾラについても。
郷土玩具みたいな昭和レトロな味わいのあるたいへん素晴らしい造形の
怪獣ソフビで、ソフビブームのさいに復刻もされているんですがタコは持っていません。
映画を見るまではもちろんゲゾラが一番欲しかったでした。
できたらそのうち復刻ものを入手して当時物の2匹と同じような色にでも
彩色したいかと思うんですが、
ゲゾラについては自分的には主張したい重要な点。

当時はもちろん、80年代になるまでこの映画を見れなかったタコは
名画座の東宝ナイトの1本で見て映画の内容を知り驚きました。
映画館のロビーカードに使われているスチールには南海の孤島で3体がもつれあうような戦いを
展開していたからいよいよその死闘が見れると思ったら、怪獣図鑑やソノシートを
飾っていたその写真は広報用の羊頭狗肉ともいうべきフェイク画像だったから。
あの映画のスチールは東宝お得意の合成写真が駆使され
荒唐無稽な3匹の戦いが映画本編への期待感を
いやがおうにも高めるものでした。
ガ゛ニメとカメーバが大波に載ってサーフィンしているようなシュールな絵柄のもありましたね。

とにかく後年、この映画を見たら、ゲゾラは映画の前半で出現した
セルジオ島の住民の反撃にあってあわれ火だるま、焼きイカのような状態になり
ヨロヨロしながら海岸に逃げてさっさと退場してしまい、実はこのガニメとカメーバしか、
タイトルにもある「決戦」はしないことがわかり、なんだか3匹そろえる気力が
そこで途切れてしまったのDeath。。。

 岩のようなカタマリ同士がもつれあう、孤島の生々しい怪獣2匹のイメージ。
ソフビ玩具になった怪獣たちの地味な配色が、セルジオ島という、
あたかも怪獣たちが潜む過酷な南海の岩場そのものとなって風景化されている妙味。
カメーバはもっとトロピカルな美しいグリーンの珍色版もありますが、やはりガニメと色は
そろいのほうが自分的には良い感じがします。

昭和の頃は怪獣映画を再現するビデオ的意味合いでソフビ人形も機能していた。
当時は映画の興行が終了するとなかなか本編を見れなかった。
子ども時分はソフビやソノシート、怪獣図鑑などでイメージングされた脳内の映像も
「映画」だったということなのでしょう。しかしこの3体の怪獣はやはり鮮烈な存在です。
そして、「決戦!南海の大怪獣」とはどんな映画なのか、と想像を膨らませていたときが
この映画を「見ていた」ときなのかもしれません。
2匹の怪獣ソフビを並べていると、いつか見た、ゲゾラ、ガニメ、カメーバが死闘を
演じる怪獣映画の記憶が岩のようなソフビの表面に刻みつけられ、
再生装置のように時々自分の中にイメージングされてくるように思えます。


昭和の奇獣ボンドラア×エビレオン

2011年11月28日 | 当時物ソフビ

 

久々に仕事が1日空いたので塗装なんかしてみたくなった。
killer J凶悪怪獣サギラン改スーパー怪獣シリーズトリケランカラー。
発売したときにこのカラーはカスタム大会とかでも意外にやってなかったので。
レトロソフビに見立てて、なのでデザイナーズっぽくくっきり色ごとにゾーニングしてません。
あくまで当時ソフビ感覚のイメージで吹き吹き、塗り塗り。
しかしサルモンの胴体流用でトリケランのパチって無理があるよな~と思ったものの
色合わせしてみるとなんとなくトリケランに見えちゃうカナ。
トリケラン「お口ポカーン 見えない、見えない、なんだこの体!おれこんな植物みたいじゃナイ!!」

 

あっ、そういえばトリケランを模してるのに鼻の上の角がないんだな、サギランて。
分割上の都合って気もしないし。あとでクリアの角を探してきてつけるかも。

 

でもスーパー怪獣シリーズが悪ノリしてジャイアントサイズ作ったら意外とこんな
胴体は似ても似つかない体になっていたかもしれぬ。マルサンオリジナルなんか
スタンダードとジャイアントサイズで全然造形的解釈の違うキャラになってるヤツが
ゴロゴロしてましたものな。



ちなみにリアビューはこんな感じ。サルモンのサブロテンチックなバックディティールをそのまま生かして
グリーンクリアの成形色を生かしつつ南洋の樹齢を重ねた植物風に軽く吹き吹き重ねて
いったもの。
まだ少し全体に雑な箇所があるので手直しするけど手を入れ過ぎるとこれがだいたい
やりすぎて駄目になる、自分のとっても悪いクセ。ほどほどに切り上げる。

というわけで、こいつの相方も仕事の隙を見つけてペイント中~。

一度は扱いたかったマルサンさんの海の怪獣・エビレオンと空の怪獣・ボンドラア。
彼らこそ昭和の奇獣にふさわしい2匹。
すでにマルサンさんからありがたくも、本年奇跡の復刻を果たしている2体ですが、
やはり自分的に飽きない、おれにはこいつらしかいなかったんだと心底思えるソフビが
ヤツら。
上のは今回マルサンさんが復刻したエビレオンの赤海老バージョン。本年春の土砂降りの原宿で
開催された「マルサン展」で販売された限定カラーver.でありんす。

オリジナルと並べた写真も載せてますが見てのとおりあまり収縮していないのでこれは良復刻
Death。おまけにじつは当時オリジナルよりも数がレアな気がする。マルサンオリジナルって
現在ではけっして爆発的な需要はさすがにないな~。でも熱狂的なファンはいるんですYO.
ただ、その何人かは普段からソフビ話をしてくれているごく近い知りあいの中にいるみたいな
気がするんですが。ほんとにそんなセカイ。

ボンドラア。これは当時物。タコはさんざん何年もボンドラアを見てきたが、どうも当時から
この2色しかなかったっぽい。マルサンオリジナルは多くても1種2色ですが。
マルサンオリジナルでは鳥の怪獣は5匹(ラドラキングはコウモリの怪獣だけど)おりますが
自分はこのボンドラアがキュートさではイチオシ。(ガラバドンは当時幼児の頃に持ってるので
インプリンティングが強烈で、別格的に好きな鳥怪獣ですが、造形ではボンドラアにだいぶ譲る)
けっして造形的にカッコイイとかいう怪獣ではないけど見よ、この朴訥な愛らしさ!
マルサンさんの復刻でガラモンカラーも出ていますが、ほんとにレトロ塗装の有名なカラーは
彼は大概合いますね。

手の平の造形から見て、モグリネスやシーブル、バンカー星人、ザバラなどカワイイ系の
マルサンオリジナルを多数手掛けた原型師さんの作と思われます。
この原型師さんの作った怪獣は丸っこく、まだ思考が未発達でただひたすら愛らしい
幼児のようなポカーンとした顔をしていて、ことごとくラブリーDeath。
造形はグニグニしてますが、斯様な造形こそがじつは幼い子どもさんの未分化の頭の中にある
怪獣そのものなんじゃないかという始原的意味合いでの造形として、プリミティブな
ミリキを放っております。

ボンドラアのサイドビュー。この尾羽根まで伸びるところの粘土粘土したいかにも
グニューンとうねったようなラインがまたたまらんです。
彼に比肩するうねりを持つといったら大協のマイティのリアビューくらいだろうか、
対抗できるというなら。
昭和のソフビの造形的グルーブ感の根幹には力強い職人さんの造形的直感に任せた
「うねり」の表現があるとつねづね思うのDeath。

しかしこの近所の人なつこい飼い猫みたいな顔の怪獣が工事現場の人たちの仕事を
せっせと手伝うっていう設定も想像するとふわゆるほっこりとしたキモチにさせるものですが、
今年開催のマルサン展でKeyさんは当時、学生のバイト的立場で怪獣新聞を作り上げた方が
ゲストで会場にいらしたので質問

「どうして鳥の怪獣なのに青函トンネルの工事中に地中から発見されたんですか?」と
たずねておられました。

一見脳裏に浮かんだ言葉を雑多につなぎあわせのような感じでつくられたあの「怪獣新聞」
の記述ですが、実際現場の作業はどうも後年マニアが類推していたようなことだったようです。
というのも、

ご本人によると、なんとなくその時々に頭に浮かんだ言葉や直前に読んでた本や
聴いていた音楽などのタイトルや言葉をつなぎ合わせて新聞の怪獣の特徴の中に
盛り込んでいったとの話。
たとえばマルサンオリジナルヒーロー、ウルトラサターンの記述を書いていたときは
ホルストの楽曲を聴いていて金星という設定を盛り込もうと思ったとか、そんな感じらしいです。
あと、割と家に帰って記述を作る作業を、晩酌でお酒を飲みながらやっていたりもしていた、との話。いいなあ~マニアが想像してた通りじゃないか。でも、ご本人からそういう話を
リアルに聴けると、書いた御当人がすでに書いていた内容のことなど覚えていなくても
マニアとしてはさらに怪獣新聞の中に描かれた怪獣たちのディティールの一語一句が
生のモノとして重みをもっていくわけで、あのマルサン展はやはりマルサンオリジナル怪獣
マニアには至福のヒトトキではあったのDeath。。。

そしてエビレオン。ほら、当時物とそう大きさは変わらないでしょう。

タコは怪獣新聞の記者さん(当時)からこの通り足裏にマジック書きでサインももらっちったぜ。
これは家宝だ!

海産物系のマルサンオリジナル怪獣中でももっともラブリーで一度見たら忘れられない
泥臭さとともに奇妙な印象を残すエビレオン。
当時は怪獣とマンガが同一視されており、そんな気の抜けた子ども向け娯楽の分類が
そのままソフビ造形上にフルレンスに反映してしまった、そんな1体と言えるだろう。

やはり当時、上野駅前の裸電球の下にテントを設営して板を並べて駄玩具を売っていた
露店をのぞきこんだ、農閑期の出稼ぎから自分の田舎に帰る途中のオトウサンが

「えーっと、坊主が言ってたのはなんだっけゴジラと戦ったエビラだっけ」とか言いながら
「エビレオン、、、これかー?ウルトラ怪獣って書いてあるけどまっいいか」とか言いながら
ついうっかり買ってってしまったんでしょうか。

今、コアなマニアの間では人気だけど当時エビレオンが家にあったお子さんは
そもそも気に入っていたんだろうか。基本的に子どもは甲殻類系の怪獣は好きなはずだけど
こやつはエビというよりは、こんな人間臭い顔になっているからなんともいえないところですね。

昭和の高度成長期頃の、怪獣であればとにかく売れた、そんな時代に生み出された
時代のあだ花、マルサンオリジナル怪獣。
新興のブルマァクを追い落とす仁義なきパチモンビジネスの刺客として送り込まれた
にしてはじつに愛らしく、計算されていないラブリーさを持つ奇妙な怪獣たち。
彼らを刺客と呼ぶには、あまりにも情緒的すぎる。
しかもそのミリキはほとんど語られぬことなく、すでに40年以上が過ぎている。
今、その中でもストレンジでキュートな2体が復刻品として容易に手に取れる環境にあるのは
ファンとして喜ばしいところ。造形が洗練されているわけでもない、けれど自由な発想で
生まれた、こんなラブリーな怪獣はもはや遠き昭和の世でしか生まれえぬものなのだろうか。
われわれはすっかり怪獣の憧憬として彼らの存在がデオキシリボ核酸に刻み込まれてしまった。
そんなマルサンオリジナル怪獣のことをたぶん終生忘れ去ることはできなさそうだ。

つ【Dancing on your Grave/Motorhead】

http://www.youtube.com/watch?v=46K9jNPzUHs

つ【OverKill/Motorhead】

http://www.youtube.com/watch?v=3VNUyjRRjxM

つ【Devils/Motorhead】

http://www.youtube.com/watch?v=BY2BGPipaQw


大協ステゴサウルス×トリケラトプス

2011年10月24日 | 当時物ソフビ

大人になってからいくらいろんなソフビを手にして、それが自分の嗜好にどストライクな
ソフビでも、子ども時代にTVで観て、あの怪獣のソフビが発売されたらいいな、と思ってた
ソフビが現代になって発売されても、また造形が素晴らしいソフビでも、
どうしても、どこまでも埋まらない溝というものがある。

それは子ども当時に親や親せき、または知人などに怪獣ソフビを買ってもらった思い出、
その時の感動です。これはひな鳥が機関車のおもちゃを追い廻す記憶の刷り込みみたいな
ものなので仕方のないことです。この幼児期初期の感動を埋めるために自分たちソフビファン
はいろんな当時物のソフビをビンテージで買ったり、または現行品で自分の好みにあうものを
買っているようなところもあります。

でも実際、当時物ソフビの場合は子ども当時に今、各マニアが棚に並べているような状態で
当時持ってたものの、引っ越しやら成長時の手放し(これは親が関与している場合が多い)
など、なんらかの形で手放したので、後年思い入れがわいてまた集め直している
ヒトというのは実はそう多くはないと思う。
やはり当時その商品を買ってもらえなかったり、カタログや雑誌の広告
などに掲載されていて存在は知っていたものの、自分の廻りで売ってない商品だったとか、
幼児期のリベンジ的な意味合いで特定のアイテムを探している人がほとんどではないか。

今回載せた大協のステゴザウルスはタコが当時同型のを持っていて、
壊れて処分したのと同じアイテム。自分にとってすごく執着の強かったアイテムだったりする。
別にこのステゴザウルスの存在自体はレアと言うのでもないし、ステゴザウルス!というだけで
別に製品として造形が優れているわけでもないし、凄いアイテムでもなんでもない。
ただ自分には強烈な思い入れのあるスネオ口の赤いステゴなのだ。

地震と原発事故があって、日本中ゴタゴタしてるときに、つねひごろ能天気なタコも
ブログなんぞのんきに更新してる場合じゃないんじゃないか?と思い、このタコブログも
ちょっと停めていた時期があったんですが、ソフビ関係で懇意にしてくれている人が
「生きてるの?」と連絡してきて、ステゴザウルスを見かけたので要る?と声をかけてくれて、
手に入ったアイテム。ソフビのセカイにまた呼び戻してくれた(といっても
その間もいろいろ現行品のインディーズソフビは買っていたので大げさかもしれないが)
のが、子どもの時に破損して泣く泣く処分したステゴザウルスだったのは何かの因縁めいた
ものを感じたりなんかするわけDeath。でも生存確認とともに幼児期に失ったソフビが
来るってのもなんかキテるね。
タコペッティ DEATH AND REVERSE.

背中の鳥盤類特有の板の部分が折れやすいんですよ。と、いっても子どもの扱いなので
大人になったら引っ張ったり、折ったりしないので、今、手にしてもそんなにヤワに
壊れるわけでもないですけどね。しかし柔らかいな~、このステゴは。

こんな感じで一緒に持っていたトリケラトプスとよく遊んでいました。
「怪獣王子」というピープロのTV特撮番組で、トリケラトプスとステゴザウルスが戦う回があって
(実は「怪獣怪人大百科」にそう書いてあっただけで、怪獣王子はタコは映像としては
一回も見ていない。タコ的には数少ない、今でもまったく未視聴の特撮作品です。
ソフトを観るしか方法のない作品というせいもあるんですが、
わざと先の楽しみ用に情報を空白にしている作品のようなところもありますが。。。)
その怪獣王子の見ても居ない回に想像をめぐらせながら、よくこの2匹を戦わせて遊んで
いたものです。

恐竜ソフビはソフビ遊びの中でいろんな怪獣に変身するものですね。
三浦トーイのゴルゴジラやぺギャオスも子どもたちはいろんな怪獣ということにして
遊んだのではないでしょうか。といってもそのたとえられている怪獣そのものには
どんなに脳内補完しまくってもならないので、だんだん飽きられて粗雑な扱いを受ける。。。
パチ怪獣の末路というのはモノガナしいものでありんす。

大協のスコロザウルス。これは後年入手したものですが、味がありますね。出来がいい
ソフビでもなんでもないのですが、荒々しい造形が地に足のついた存在感をアピールして
おります。タコはこのスコロザウルスが袋入りで80年代はいるくらいまでおもちゃの刀とか
サッカーボールなんかといっしょに軒先にぶるさがっていたおもちゃ屋の風景を、この
スコロザウルスを手にすると思いだします。恐竜のソフビなんていうとウルトラ怪獣のソフビ
などは80年代に入ったくらいですでにビンテージ価値が出てくる中、あいかわらずマニアの
間でも放置プレーな存在でしたからね。

右は三浦トーイのステゴザウルス。
足裏にぺギャオスやゴルゴジラと一緒のさざ波模様のディティールが入っているから
間違いないでしょう。
垂れ目のパチ翼竜・ラードンに顔が似ているので多分同じ原型師さんの仕事でしょう。
さらに同じスタンダードサイズのトリケランにも目が似ています。
後年、子どもの時に壊れて失ったステゴを探しに下北のアンティークショップを漂ったさい、
この三浦ステゴに出会ったのですが、どうも幼児期の記憶と顔の感じが違う。もっと鳥の
ようにカーブの着いたクチバシみたいな口だったな、だいたい色が違うと思って、
その時は買わなかったのだけど
今度はこの当時見送った三浦のステゴも気になる存在になったりするから人間おかしな
ものです。この三浦ステゴは何年か前、たまたま高円寺の一番星さんに遊びにいった時に
見つけて買ったものです。

この三浦のステゴはマルサンのステゴザウルスを見て作ったんではないかと思い
ます。なんとなく全体のプロポーションや表面の仕上げが似ているので。成形色もグリーンで
マルサンのに似ていますね。でも顔はマルサンのよりこっちの方が好きかな、なにか
たよりない感じがミリキ。パチのミリキはえもいえぬ「なさけなさ」だと思いマス・

大協のアロザウルスと。以前復刻堂さんのケラトザウルスの記事だったかな?でも
書いたけど、アロザウルスはこのキューピーみたいな掌が適当な解釈でまた味になって
いますね。当時はアロザウルスもティラノザウルスも全然見かけなかった(というか
当時は赤子に近かったので購買してくれた父や親せきのヒトが見つけられなかったということ)。
それはきっと強そうな肉食恐竜から先に売れていたからなんじゃないかと思います。

こういう2ショットはなかなか子ども時代では再現できなかったんじゃないかな。
こんな写真を撮っている時に思うのは、
やはりソフビ集めは幼児期の「手にできなかった」トラウマ補完だと思いますね。

 30年ぶりにタコの手元で怪獣王子(観ていない)のステゴザウルス対トリケラトプスの戦闘
再現!!ほとんど自分語りみたいな話ですけど、ソフビ集めの根幹にはこういう思い入れ
こそがあって成立するものではないか、と最近いろんなものを手にする機会があっての上で
なおさら強く実感するところとなっているわけDEATH。

しかし最低でも10年くらいせっせと収集していたら、ある程度ほしいものは何か縁があって
舞い込んでくるものではないかと思うんですが、マルブルの珍色とか世に現存数が圧倒的に
少なく高価なものでもないかぎり、ある程度世の中に出回ったソフビなら、こまめに探していれば
いつかは見つかるもの。
逆にマニアというものはちょいと頭のイカれているところがあって、
ある程度充足してさえ、よせばいいのに、さらに難易度の高いけもの道に足を踏み入れる性分
だったりします。でも自分の収集指標でないところに踏み込み集めたものは何か結局自分の物
にはなりえないんですよね、どこまでも。

そうそう、最近は大きな災害が相次いだため、いつまでもなんでも持っていられるものでもない、
漫然と集め続けられるものでもない、と今後災禍が発生した場合の可能性を模索したうえで、
過去はいろんなジャンルにまたがってモノを集めてきたマニア気質のヒトも、
徐々に自分もコレクション指標を定めつつある、との話を大手古物チェーンの方と
雑談したおりにうかがったことがあります。
でも、たぶんその方が骨太で充実したコレクションとなることでしょう。いろんな意味でこの
地震と原発事故はコレクターのヒトにもいろんなことを考えさせる契機にはなったようです。

でもこの大協のステゴを今回知人の協力があって手にできたときに強く思ったんですが、
「ソフビ収集の影には自分のRoots of Colectionとでも呼べるソフビありということです、

個人がほんとうに思い入れを持ってあつかえるソフビというのは、実は数も限られた
ものなのではないか?ということです。ソフビというのはやはり子供時分に遊んだ原体験が
強力に根ざしており、その後の収集時に根っこの部分にどっかり座ったアイテムが
個人個人でかならず何個かはあるものだと思います。で、しかもそれは当然ながら珍しかったり
プレ値のあるものではなかったりします。

今手元にない「それ」を探求しているのか、はたまた当時から「それ」を持ち続けて
いるのか、もヒトそれぞれというところですが、自分がソフビ集めをスタートした時の原点となった
ソフビを振り返ってみるというのも自分の現在のコレクションの指標をしっかり定めるという
意味でもとても興味深く、それがはっきりしたところで、きっとココロのヒダというか、
ソフビがほしいという深層の部分にはたらきかけるアイテムを探り当てられるのではないか、
と思いマス。元々、自分はいったいソフビの何を集めたかったのか?と。
ソフビ集めはビンテージ、現行品問わず、いわば記憶の怪獣と自分とを巡る、
心の旅ともいえるものですから、自分の道筋を決めたソフビというものが必ずあるはずです。

つ【要塞警察(ジョン・カーペンター監督)/メインテーマ】
http://www.youtube.com/watch?v=RGME6jCwqw0&feature=related

つ【要塞警察/頼んだアイスクリームが違う!】
これもテレ東で観た時にトラウマに。
頼んだストロベリーツイストがバニラツイストだったなんてどうでもいいだろ超凶悪犯罪地区で。
「追想」か「要塞警察」かってくらいヤなシーン。
http://www.youtube.com/watch?v=TWPRgCWQvLg&feature=related

つ【要塞警察/ジュリーのテーマ】
夕方どこかからとぼとぼ帰る時の気分をもっとも表現したBGMと言われる。
誰が言ったかは謎デスガ
http://www.youtube.com/watch?v=S1CL09B7Rg0&feature=related

 

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復刻堂×大協ケラトザウルス

2010年11月23日 | 当時物ソフビ


パチサミに行き、脳から快感物質がダラダラ出てきて
この祭日は心地よい疲れに包まれると思ったのですが
そんな休息のいとまもなく
強力なシーゲキを注ぎ込むアイテムが小雨の中届けられました。
てなわけで多大な話題を提供してくれたパチサミのルポは
ここでちょっとインターミッション。

怪獣ファンにとっては有史以前の地球と脳内では同義であった時代。
そう、怪獣と恐竜が日常的に跋扈していた昭和40年代。
生命感ある力強い造型の怪獣ソフビと、おもちゃ的イマジネイティブの入った
独自の恐竜ソフビを展開していた大協。復刻堂さんの新作復刻は
その「生きていた恐竜と怪獣シリーズ」のケラトザウルス。
ケラトザウルスは生きていた!

本年秋に届いた、大協のジアトリマを特典とする4体の怪獣セットの
到着と同時に販売アナウンスが出され、
しかも販売品がケラトと聞き、驚愕しながら
同時に狂喜したファンも多かったと思います。
いや、けっしてそれは大げさでもない。

ケラトザウルスは同社の恐竜ソフビでも現存数が少ない、
幻といってもいいアイテムでしたから。
まさに現代に生きていた恐竜ソフビとなった大協ケラトザウルス。
こうしてケラトの復刻品をジアトリマに続いて
レビューできる日がくるとは思ってもみませんでした。




本文中、以下ケラトでいきますね。ケラトは
「宇宙怪獣シリーズ」と称された中岡俊哉氏監修の
ソフビシリーズの広告にも写真が掲載されており、
同時に同社の「生きていた恐竜と怪獣シリーズ」の
広告にもその姿が写真として掲載されており、
当時の玩具商報に載った2つの広告が今も存在して
いるのですが、この広告がまた曲者というか、
果たしてこの写真どおり当時ケラトが販売されたのか
どうかは好事家の間においても疑問視されていました。

とにかく大協の広告上では
宇宙怪獣でもあり、恐竜でもあるケラト。

一体恐竜なのか怪獣なのか?というのもファンに
とっては気がかりな存在でした。

とにかくケラト本体を見ていっしょに検証していきましょう。
はたしてケラトザウルスは恐竜か宇宙怪獣か?




今となっては現存数の少ないケラト。
その残っているケラトも
ネット上の写真等で見ると目や角のゴールドが
酸化して溶けていたり、恐竜ということで
当時は本来のソフビユーザーである子供が
手にしたこともあって塗装が落ちていて
真っ黒な状態になっているものも多く
当時販売された状態で
見ることは復刻されない限り誰にも叶わなかった
ことでしょう。これはソフビでタイムスリップ
している感じでしょうか。

あるマニアのヒトが前に言っていたのですが、
「なんでこんなに残ってないんだろうね。
ただ自分のソフビの記憶をたどると、
なんとなくケラトが残ってないのは判然とする。
恐竜は一目瞭然で怪獣じゃないから
子供もつい邪険にするものだった。そして
ケラトは若干大きいので親にも場所をとると
邪険にされたのではないか」と。

ケラトの出現率が少ないのは、成形面で見て
指摘する向きもあります。
当時のソフビ技術では金型の大きさ的に
このケラトは大きすぎ、成形エラーが多く出ることで
思ったように効率的生産ができなかったので
元々大協が予定していたロット数も確保できずに
結局世に出た数自体が少なかったからでは、
という推測も聞いたことがあります。

ケラトは同じ大協の宇宙怪獣シリーズでリリース
されていたマイティと同じ
レッド+グリーンという塗装パターン
なのですがケラトはこんなに
カラフルな恐竜ソフビだったのですね。
不思議と最近の恐竜の学説では恐竜は
派手な色だった種類も多いので、大協の
手がけた塗装コンディションは最新学説の整備
される20年以上も前にすでにソフビとして
実体化していたということか。
しかもそのケラトのソフビも40年近い前の
ビンテージトイとして、すでに立派に考古学的な
目線で見れる対象になっていたりする。





例によって岩場を原始時代に見立てて
「終局の浜辺」で撮影。

撮影していて
思ったんですが、角度ごとに表情が
異なり、肉食恐竜であるケラトサウルスとしての
獰猛さをたたえながら赤ちゃんのように
手のひらがパーのポーズを模しているなど、
恐竜としてのリアリティは現在の目線で見ると
乏しいものの、ソフビとしての情感という
意味でやんちゃ造型までも適度に配合されており
単なる恐竜のソフビというには、漂うものの豊饒さは
やはりマニアが語り継ぐに足るソフビといえます。

何よりこの精悍な表情ーーソフビからすでに
好事家に語りかけているとさえ、言えるでしょう。





ケラト・リアビュー。
この角度で「生きていた恐竜と怪獣シリーズ」の
広告上に掲載されていました。後姿なので
妙~にミステリアスなビジュアル。
この状態で手を上げていると、「パー」を
手でやっているみたいで、
獰猛な恐竜らしからぬお茶目感が。
そしてこの背中から尻尾にかけてのうねり感の
表現。大協のソフビはマイティ、ザゴラも
なのですが、特にマイティの背中のうねりは
見事、このケラトもで、リアビューが映える
ソフビ揃いですね。






大協の他の恐竜・宇宙怪獣プロダクツもこの機会に
載せてみる。。。

何かドメル艦隊の空母群が揃ったみたいな
高揚感があります。アロザウルスは
たぶんケラトと同じ原型師氏の手がけたアイテム
ではないかと思います。肉のしわの入れ具合、
顔の彫りの感じや、何より手のキューピーのような
「パー」のポーズがそれを裏付けます。









大協のソフビは恐竜にキューピー的なファンシーな
要素をこのケラトとアロザウルスに付与したのが
造形的に面白いポイントだなと自分はつねづね
思っています。
アロザウルスは夏みかんのような色のイエローと、
恐竜図鑑に載っている絵の恐竜っぽいオーソドックスな
恐竜カラーのブラウンのアイテムが存在します。

ハリウッド映画「恐竜100万年」に商機を
見出したマルサンの恐竜シリーズとともに
当時恐竜アイテムとしておもちゃ屋さんの
軒先をにぎやかせたことでしょう。




続いて大協チラノザウルス。
これはソフビ人形というよりフィギュアという
感じでしょうか。固定ポーズではないんですが
まず右手が胴体と付着した形で成形されており、
ぴったりひっついている。

さらに足ですが、この歩行した
ようなポージングでは一応自立するんですが、
直立ではまったく立たないものとして
作られている(ヒエー)。これは親切な知人から
恐竜の人形がある、と声をかけていただき
譲り受けたんですが、届いたときちょっと
期待はずれ感がありました。何しろ立たないん
ですからね。でも不思議と手元に置いて眺めて
いると、恐竜時代のチラノサウルスの日常を
捉えたヴィネットみたいな情感を感じ、だんだん
味のあるアイテムだな、と思い、暴君竜としての
チラノのイメージを再現しようと険の入った
表情とこの通常から歩行ポーズという
ちぐはぐな感じが、今ではお気に入りの
一匹となりました。



「生きていた恐竜と怪獣」の広告上でもどこかに
急いでいるような歩行ポーズで映っているのが
微笑ましいです。大協の恐竜ソフビはシリアスに
作っていながら何かと手がパーだったり、
走りポーズがデフォルトだったりと、どこかに
気の抜けた感じがあるのがまた今となっては味となっていますね。
マルサン恐竜はやや無難なのですが、対して大協ソフビは
恐竜の枠を超えて作られてしまった粗野な野趣を強く感じる。

精緻な恐竜フィギュアばかりになった今。
恐竜キングのソフビなどは造型、彩色もすばらしいですね。
それらこそもちろん時代の潮流に合わせた
恐竜トイの進化形なのでしょうが
恐竜という存在をイマジネイティブに捉えた
大協ソフビは今の目で見ても新鮮であり、あくまでコアなマニア、
好事家間の間での話ですが、ケラトの復活で、
再評価の機会をようやく得られた感じもあります。




そしてこちらは大協「宇宙怪獣シリーズ」
として販売された(のかどうかわからない)
時のメンバー。ソフビファンにはおなじみの
ザゴラ、マイティ、
そして宇宙怪獣(宇宙恐竜?)ケラトザウルス。
他の恐竜に比べると中サイズで見栄えもするし、
角もいっぱいあるし、
こうして見るとザゴラやマイティと並んでも
違和感ないですね。



元ネタの中岡俊哉先生の名作
「世界の怪獣」からザゴラ、マイティを
セレクト。でもザゴラは地球の怪獣なんだが。。。
そしてケラトもシリーズの一匹として発売
された・・・らしいのですが、ヘッダー入りで
現存してるのを誰も見てないので、ケラトが本当にこの
「宇宙怪獣シリーズ」としても発売されたのかは
なんの証拠もありません。

マニアがよく言及するのは、宇宙怪獣シリーズを
ラインナップしたのはいいが、ザゴラ、マイティは
製品として用意できたもののそれ以外の企画が追いつかず
玩具商報の広告に、恐竜シリーズとして発売した
ケラトを「とりあえずにぎやかしに」と混入しておいた、という
説。これはマニアの定説が現実通りのような気がします。

といっても、ケラトが実際、怪獣なのか恐竜
なのかはちょっと見には判然とせず、
(まあ恐竜なんですが、
何か大きさや「パー」な手であることも含めて
むやみな過剰感が怪獣と言わしめるものがある
のも確か)当時の大協としては、「いちおう恐竜として作ったけど、
3匹くらい居たほうがシリーズらしいから
宇宙怪獣の広告にも載せとこう」みたいなノリ
ではなかったのか、と思われます。
まあごぞんじのように昭和当時のパチカードの世界を見ても、
円谷怪獣をつぎはぎパッチワークした怪獣を丁稚UPしたのが
間に合わなくなり、適当に図鑑の恐竜図版に
レタッチして火を吐かせたり光線を吐かせたりして混入していた
時代なので、大協もさもありなん、というところで
しょうか。

気になるのはケラトが
マイティと同じ塗装パターンである
ことですね。「生きていた恐竜と怪獣」と
宇宙怪獣シリーズは同時期に仕掛けられた
大協のビッグプロジェクトではないかと思うので
あくまで仮説ですが、塗装時期が
同じだから塗装時のコスト節減を図る意味で
同じ塗料の配合で塗られたとか、
あったりしないか・

昭和当時は怪獣も恐竜も渾然一体となり、大括りの
「怪獣ブーム」を雑多な商材が支えていたのです
から。。。売れればなんでもあり、みたいな。
このケラト君もその時代の激動下、業者の都合で(笑)、
ほんのひととき、恐竜と怪獣の定義の間を
フレキシブルに行ったりきたりしていたのでしょう。



ザゴラ「やーい、怪獣だか恐竜だか
わかんないヤツ~」
マイティ「宇宙恐竜・カッコ笑い(笑)」
ケラト「わーん おれは一体何なんだ~」いったりきたり。



オロオロ

「HA HA HA!」




なお、「宇宙怪獣シリーズ」には
広告上の写真を見るとソノシートが付属しており、発売
されたザゴラ、マイティなどの怪獣たちの解説が
吹き込まれている、と広告中では記載があるの
ですが、このソノシートが現代において発掘されて
いないし、「当時聴いた」というマニアが名乗り
出ることもいまだありません。タコもモノ好きなので
年季の入ったマニアにはお会いすると
それとなくたずねてきたのですが。

考えてみると、この情報化の時代に
おいて、まして古物の入手ルートが多様化された
現在において、当時広告で発売をほのめかしておきながら
まったく一個も現存しないアイテムなど実はそうないはず。
まあ、誰かしら持ってるものです。

ここ数年、マニアは「元々ソノシートはなかった」との結論に
傾いている模様です。まあ、IKBのヘッダー上
には掲載されているスモゴン2号と同じような
話ですね。ただ、出てこないソノシートがあると
いうことでそこもミステリアスといえばミステリアス。



魔の地帯に潜入。。。夜間撮影にて
恐怖の恐竜魔境の渓谷で
深夜の狩りをするケラトをイメージして撮ってみました。
怪獣にマストなまがまがしさと、人形として欲しいお茶目さが
一匹にギリギリのバランスによって共存する造型の妙。
愛らしくも猛々しいケラトは怪獣の枠にも
恐竜の枠にも収まらない。昭和の怪獣ソフビとしての
レトロ造型のミリキを存分にその身に湛えております。











ケラト自身の造型のワイルドな迫力もあいまって
その一向に出てこない宇宙怪獣ソノシートや、
発売時のシリーズ帰属があいまい、
宇宙怪獣でもあり恐竜でもあるという属性の具有が
妄想度を加速させてしまい、
さらに当時品の現存数が極めて少ないということもあり、
得もいえぬミリキが重層されていきマニアの妄想の中で一人歩き
していった存在であるといえましょう。

いわばこの記事は作られなかった「宇宙怪獣ケラト
ザウルスのソノシート」ではなく、
「大協のソフビ・ケラトザウルスに
ついて語ったソノシート」を目指してみました、という感じカナ?

かといってバックボーンだけでなく、やはり
現物を前にすると、それはケラトの造型のミリキによって
マニアが惹かれていたにほかならなかったことがわかります。
そして今、ケラトザウルスは復刻され
マニアの妄想の魔境の中にしか居ない
幻な存在ではなくなった。。。

そう、ケラトザウルスは生きていた!







http://www.youtube.com/watch?v=jBfygUiS50g
つ【HELMET/UNSANG】

http://www.youtube.com/watch?v=6BOHpjIZyx0
つ【SEPULTURA/ARISE】

http://www.youtube.com/watch?v=O_fJ5SSV_Vo
つ【JUDAS PRIEST/HARD AS IRON】

復刻堂×大協 ジアトリマ

2010年11月13日 | 当時物ソフビ


怪獣たちが我がもの顔で暴れていた有史以前といえる昭和の時代、
神秘の魔境に潜む「世界の怪獣」、そして生きていた恐竜を
自社のソフビ2本柱に据えてリリースしていた、
知る人ぞ知るグレートバイナルメーカー、
大協(たいきょう)のプロダクツを現代に復活させてきた復刻堂さん。

ザゴラ、マイティに続く大協復刻ニュープロダクツは、
なんとセット販売された当時物怪獣4体セットの特典。
ついに古代怪鳥ジアトリマが降り立った!
(まあ、ジアトリマは飛べる鳥じゃないケドね)






ジアトリマはオリジナル解釈も多い当時の恐竜ソフビの中では
生物感も漂い、造型も細かくマニアからも評判のいいソフビ。
手にすると顔の脇にウロコ状になった皮膚のディティールがあるなど、
恐竜と鳥類の中間にある進化途上の生命体である証拠も
原型師の解釈により刻み込まれ、当時物としてはリアリティの横溢した
ソフビといえます。
最大のミリキはこの獲物をキッと睥睨する
ファイティングスピリットあふれる猛禽類特有の表情。
なんとも獣としてサベージな色気の漂うソフビです。



「オラー!ごちゃごちゃ文句ほざいてると食うぞ コラ!」てな
上から目線のガン見を、いろんなソフビたちと並べて満喫。

昭和当時の怪獣カードには独自解釈で描かれた恐竜たちや
古代の生物たちが描かれ、怪獣とは別次元の子供たちの夢を育んでおり、
このジアトリマもよく恐竜たちの生存競争の修羅場に登場人物として組み込まれ、
サイズの小さい恐竜の巣を襲っては親恐竜と睨み合いをしたり、
卵を巡って膠着状態になっている。。。
といった図像も多く見受けられました。



しかしジアトリマを製品化する、というのはいい目の付け所ですね、
当時の大協は。飛ぶ鳥系の恐竜としては、普通なら大御所、
プテラノドンとかになるところですが、
ほかのアロサウルス、チラノサウルスなどの販売された恐竜たちと
ならべても翼竜は線が細かったでしょうし、賢明な判断でしょう。

オーロラプラモで同じ2本足の古代の巨鳥・フォロラコスがキット化
されていましたが、当時日本のトイメーカーは海外のトイに学んで
というかインスパイアされてアイテムを企画していたので、
意外とその事実を踏んでのジアトリマだったのかもしれません。

ジアトリマをアイテム選択したのも単に2パーツで分割がしやすいから
以外に、2本足の鳥はシンプルだが力強く「子供に受けそう」に見えたのかも。




大協の「生きていた恐竜シリーズ」は今の目で見るとけっして
科学的真実を基にしたリアリティのある恐竜フィギュアのような
精緻なモノではありませんが、

妙に生々しい造型とワイルドな表情をしたアレンジに効いたアイテムが多く、
一方で怪獣ソフビのミリキであるやんちゃ造型も程よくミックスされた
こともあって、怪獣のソウルも蓄えたシリーズとして、今も支持するファンが
根強く存在します。当時、怪獣ソフビが吊るされているオモチャやの
片隅にあったそれらの恐竜ソフビは版権モノの合間を縫って
ハリウッド映画「恐竜100万年」などの恐竜エンタメ映画のヒットに
便乗した要素もあったのですが、昭和の原型師による独自解釈で
力強い造型のものも多く、当時ならではの味も持ち合わせている。

マルブルの怪獣ソフビムーブメントと
隣接したトイカルチャーとして個々に再検証するのもソフビの考古学的な
意味合いでは新たな興趣を添えることになるかもやしれません。
この恐竜ソフビの考古学は科学的な答えこそないけど、想像はあくまで
手にしたヒト個々に自由にめぐらせ新たな精神的事実を発見する。
それはセンスオブワンダーに満ちた疑似科学なのですから。



大協といえば恐竜シリーズと双璧をなす「世界の怪獣シリーズ」。
そのメインキャラクターであるザゴラ(山中の怪獣)。
こんな名獣でありながら、いつも撮影してる「終末の岩場」で
まだ撮影したことがなかったのでこの機会にパチリ。



「世界の怪獣」でイラスト化されたバックショットを再現。
トゲトゲした威圧的な背中のスタイルこそザゴラのアイディンティティ。
ヤツも古代からザゴラ山中に生息していた恐竜の一匹なのでしょうか。
まあ中岡俊哉先生の脳内の古代に生息していたんですが。
そんな意味では恐竜シリーズの一員みたいなものですよね。
怪獣と恐竜が混在して生息していた昭和の怪獣魔境においては。

さて、今回の復刻堂さんver,ジアトリマなんですが、
当時物カラーはイエロー。
この復刻版のブルーは復刻堂オリジナルカラーなんですが
なかなか当時あったっぽい色だなあと思いつつ
パチ怪獣カード関係の資料を見ていたら、あっ、この色だ!と発見。




(「ラドン」で航空写真に映っていた謎の羽根のようなものと
博士が持ってる恐竜図鑑に載ってるプテラノドンの絵の羽根が
ぴったり一致するあのなんともステキなシーンを脳内プレイバックよろしく)

パチ怪獣カードメーカーでは有名なヨコプロのカード。

うさんくさい怪獣がいっぱいのヨコプロカード。
版権怪獣をつぎはぎしたイイカゲンな怪獣で枚数が
埋まらなかったのか、ときおり水増し的に
混ざっていた恐竜たちのカード。その中に東京に出現した
ジアトリマのものがありました。

昭和当時は発展する東京を象徴する
最新鋭の乗り物だったモノレールをまたいで
大暴れするジアトリマのカラーをイメージして
復刻堂さんもペイントしたのカナ?
そんな意味ではこの復刻ジアトリマはパチ怪獣扱いにもなる
ボーダーレスな存在に位置づけられるということですね。
特典アイテムだったし、2重に得した感じ。



さらに調べてみたら、上のヨコプロの図像はイワタプロの
パチ怪獣カードでレタッチ職人によって
あんまりな姿にされて、ヤケになったのかお城を襲撃してました。
おまけに身長200メートルくらいあるし。
くわばらくわばら。今回復刻されたんだから変な触覚立てて
全身から光線出したりして怒るなよ。

ここまでいったらジアトリマも「宇宙怪獣シリーズ」と立派に銘打って
ソノシート付きで発売できたでしょうね。



せっかく2000年代の現代に復活したことだし、
モノレール=浜松町からバージョンアップして
ゆりかもめ(新都市交通)=お台場あたりに出現させてやろうと
思い、お仕事で出かけたときに国際展示場でパチリ。

古代怪鳥がひそかに埋立地に存在し、地上げ中でヒトの通わぬ
閉鎖されたハイテクビルにいつしか巣食い
人を襲って繁殖していた!みたいな妄想ストーリー。

「鳥を見た!!」

つ【FAITH NO MORE/CAFFEINE】
http://www.youtube.com/watch?v=nPlg_STTmLE
自分のオールタイムベストアルバムはこの「ANGEL DUST」。


つ【FAITH NO MORE/SMALLER AND SMALLER】
http://www.youtube.com/watch?v=Scwzso1rs48

つ【FAITH NO MORE/EVERYTHING RUIND】
http://www.youtube.com/watch?v=W1JNS3x24kU

ステゴラー×シャモンガー

2010年04月01日 | 当時物ソフビ


前回に続いて昭和の奇獣シリーズ15.今回紹介したいのは
エイプリルフールに届いた復刻モノ。
復刻堂さんが昨年受注を行っていた「世紀の大怪獣」昭和
オリジナル怪獣ソフビの復刻、4本足の宇宙恐竜2体。



赤いほうがステゴラー、緑のほうがシャモンガーと
呼ばれています。旧ブログのほうでも紹介した本「デスオモチャの逆襲」で
そう命名されてマニアの間で通り名として定着した模様。
当時このソフビを販売していたのは昭和の怪獣ブームの混沌の中で
パチ怪獣・恐竜ソフビを精力的にプロデュースしていた、三浦トーイ。
名作・宇宙怪獣しわやダイヤの生みの親でもあります。

一言でいえば、プリミティブな昭和の造形パワーが
プラス方向に作用して、顔つきもアシッド系のイイ顔をしており
手にすると強力なタイムスリップ感が横溢して脳内のエントロピーが
増大してひとたび時を超えることができます。
同時にボリューム感も評価ポイント。
4足怪獣ということもあるんですが、デカくて手ごたえもある。
30cmくらいか。彼ら用に飾り棚にスペースが必要ですよ。

そして造形。
この時代のソフビ特有の粘土力が発揮されており
しわやダイヤ以上に始原の怪獣ソフビの持つ荒々しい生命力のようなものを
再認識できるアイテムです。昭和の頃は4つ足怪獣を
2足状態で発売したケースも見られましたが
そこには地に足を全てつけているのは地味と思う傾向が
作り手にもあったようです。確かに怪獣ソフビというと2本足ものが
主流というか人気のメインに思いがちなところもありますが、
この2体はそんな固定観念を覆す存在感を全身から漂わせています。



ステゴラー。ユルい笑い顔は、おばあちゃんがマゴに買ってやろうと
「この大きいのがいいかねえ、赤くて目だつしきっとテレビに出てる怪獣
なんじゃろうね~」とかいって手にとられて
レジに運ばれている時に「もうすぐレジ通過だ、ニヒヒ」と
パチ怪獣ソフビとしてのミッション完了間近でせせら笑っているみたい。
その光景を傍で見ていたらひときわこの笑顔は味が出ていたことでしょう。
でも、パチといっても造形自体にある程度独創性があるので、
彼はそう悪びれた態度をとる必要もない気がしますね。

おもしろいと思うのは目の上の眉のようなディティールを背中まで見ていくと
そのままステゴザウルス独特の背びれの一部へと連なっている独特なアレンジです。
リアルな恐竜には程遠いのですが、ステゴサウルスの絵か造形物を見ながら
古代美術みたいなプリミティブな発想を根幹に置き
アレンジしていったら出来たというかなかなかあなどれない造形ではあります。
初めて見たときはアフリカのTIKIみたいな彫刻だな、と思いました。

逆柱いみりさんの漫画で、家族が日曜日に動物園に行ったら
常日頃かわいいと思っている動物も
現物は中世の博物誌に出てくる奇怪な幻獣のような姿を
しているのを知り愕然とするといった内容の短編がありましたが、
案外、現実に居たステゴサウルスも、このステゴラーなる
パチ怪獣ソフビが一番似ていたという意外な事実があるかもしれません。
もっとも人類には永遠に知りえないだけで。
このステゴラーを作った名も知れない原型師氏だけが
自らもそう知らずに、その事実に肉迫していたのかも。





恐竜なんだけど人みたいなゆるんだ笑み。それがステゴラーの
一度見たら忘れられないミリキです。
恐竜ソフビとして見ても珍品ですね。

リアルなステゴサウルスなら剣竜らしく複数のツノが尻尾についているところですけど、
ステゴラーは左右に伸びた2本のみ。
全身のシワディティールといい、この担当原型師氏の変な構成力の妙で
全体がバランスされている。そうだ、足が逆関節なのもこの当時の
足の解釈としては斬新だ。

ステゴサウルスという全体の記号のみそう見えるものの、まったく異質な
ザクザクした彫刻のみでカタマリから全身を切り出したかのような
キャラクター。今風にいえば
「デザイナーズ系恐竜ソフビ」とでもいえる存在かも。
そして全身に入っている、ミシュランのイメージキャラクター、
ビバンダムくんみたいなシワのディティールはパチ怪獣の造形の
常套手段みたいなもの。困ると段々処理でとにかく埋めよう、みたいに入っている
パチソフビが多いですね。前に紹介したポリのパチバラゴン、バゴランも
オリジナルのジャイアントバラゴンには入ってない
(なーんも考えてないっぽい)段々ディティールが腕に入っていました。



そしてシャモンガー。

昭和の頃は恐竜は爬虫類とみなされていたんですが最近の
ジュラシックパークアフターの精度の高い考古学では恐竜は
鳥に近い生体構造・生態の生物であることが判明しており、南村喬之氏や梶田達二氏の
ような画伯のドラマチックな昭和の恐竜図鑑の挿画はすでに
ファンタスティックなオリジナル恐竜なのかもしれません。
でも、それらの恐竜挿画に惹かれるのは多くの人が今も変わらないところですが。

シャモンガーももしかすると原始時代に居たリアルな恐竜そのものだったり
するかもしれません。鳥のような怪獣なんですが、アレンジ的に
羽根を廃し、四足にし、背中にステゴサウルス風の突起を並べたので
ほかの怪獣ソフビに見られない特異性の強い姿をしています。



なんとなくダイナミックプロ系の漫画家がウルトラシリーズのコミカライズをするときに
こんな荒々しい姿の猛禽類みたいな怪獣を勢いで扉絵やイメージイラストに描きそうな。
シャモンガーはそんな昭和ごろの子供向けの巻頭読み物の挿画にでも
出てきそうな濃度の高いビジュアルが満喫できます。

今回の復刻でおもしろいと思ったのは、昭和の発売時に新品のさいは
2匹ともこんな鮮やかなカラーをしていたんだなと思えることですね。
おそらく金やメタリック系の塗料は当時ものでは早期に他の色よりも早く酸化して
周辺の色と交じり合って黒くなってしまったでしょうから、
我々がマニア的な目線でもってしても
これらのプロダクツを初めて見た時点の当時モノの製品カラーは
正確な記憶ではない。



この当時色再現面において、たとえばシャモンガーのわき腹のグリーンとか、
たぶんいろいろ当時の彩色を検証した結果なのだろう、と思いました。
体のいろんな色の発色が、当時の怪獣ソフビを売っていた玩具店の店頭で手に取った
状態に戻って見るなら、こんなだったのかなあと。
これは復刻現品による見る側の記憶補正ということですね。



インターネットを調べてみると、先人の研究で当時の三浦トーイの広告なども出てきます。
(「みんなでつくる資料館」さん)
そこではしわ、ダイヤ、宇宙怪獣3号。このシャモンガーとステゴラーが
並んで燦然とした朝日に照らされているイメージ写真がいかにもたのもしい
雑誌広告が載っています。

広告に添えられたキャッチフレーズがまたイカしている。

「ロングセラー71、バラつきのない安定商品 いつも売行き快調
いよいよ商品構成と販売システム化があなたの企業の繁栄のキメ手!
優れた商品をあなたのパワーで大いに売りまくって…」

なんだかわかったようなわからないようなキャッチコピー炸裂って感じですが
この5体のオリジナル怪獣ソフビが発売時点で三浦トーイの戦略商品として
そこそこ期待もかかっていたことがわかります。

まだオリジナル怪獣というジャンルが、昭和の怪獣ブームの
テンションの中ではテレビに出ている有名な怪獣でなくても
ある程度セールスになるのでは!と踏まえつつ、
メーカーとしてはとにかく鉄は熱いうちに打てというんですか、

造形テイストの違う怪獣ソフビというところから見て、周辺の原型師に「とにかく
売れそうなカッコいい怪獣を夜なべしてでもあげてこい!」と三浦トーイの社長が
近隣の原型師にとハッパかけてそろったのがこの精鋭5体なのでしょう。
ゆえにタッチも異なり、しわとダイヤはタッチで見て同じ原型師氏カナ?
そして宇宙怪獣3号もシャモンガーや、ステゴラーとは造形テイストが
あきらかに違う。シャモンガーとステゴラーも同一の人物による
造形かはわからないですね。ただ「2匹は4足にしよう」くらいの
指示はあったのかもしれないな…。



この世を華とするために一役買うのは酒だけでも満開の桜だけでもあらず。
昭和の混沌の中に生まれた、まったりとした時代の空気を刻印された
出自不明なパチ怪獣ソフビたちも、40年近い時を経て見る側の新たな価値付与を経て
当時以上のミリキを放つようになりました。そして現代のソフビ技術で
蘇った彼らを手にした時、怪獣が昨今失っているのかもしれない始原のパワー、
濃密なパッション、ソフビノチカラとでも呼べるものをきっと強く感じ取れるはずです。






パレール星人×キングウラヌス

2010年03月30日 | 当時物ソフビ


月末だし企業的には年度がわりなんで
自分的にも仕事はバタバタしてます。
混乱を予期して、ある程度早めに自分の仕事の納期は早めているのだけど
それでも31日ギリギリだ~。

今回の更新は「昭和の奇獣シリーズ」14、
いつもよりさらに超極北系でユルさ全開です。

マルサンオリジナルのバンカー星人とそのライバルヒーロー、
ウルトラサターン(黄色いギリシャの神様風のヤツ)、
怪傑透明ウルトラA(マントの方)。
以前旧ブログの「バンカー星人」の記事で彼らは紹介しております。
旧マルサンが版権怪獣以外に自社オリジナルの怪獣・ヒーローソフビの市場開拓を
模索している時に生まれた怪ソフビたち。



新生マルサンヒーローとして加わったアストロミュー5といっしょ。
なんだか時期柄もあって、戦闘シーンというより花見で浮かれている酔っ払い
みたいにも見えます(笑)

友人がバンカー星人の画像を以前見たときに
「この時代にカーミット(マペットショーのカエルのキャラ)っていたっけ?」と
鋭いことを言ってました。まあたしかにキョトンとした目が似てるかな~。

造形としての出来不出来はもう別次元ですね。
昭和当時でないとこういうユルいテイストは狙っても
なかなかかもし出されないですね。このユルさは見る者の魂を
固定観念「よく出来たもの=洗練・絶対」てな束縛から、ひとたび解放する。

マルサンオリジナルは時にガラモンもどきとかメフィラス星人もどきとか
イカルス星人もどきとか、円谷作品の怪獣たちに似せた一群の怪獣ソフビを
自社のマルサンオリジナルに混入していました。以前は元ネタの番組を
提供していたブランドメーカーが作ったパチということで、
なんともおおらかな、同時に商魂あふれる時代だったのだなと
今にして思います。
残念ながらテレビの魔力は強いもので、マルサンオリジナルは
版権怪獣ソフビの人気に肉迫することはかないませんでしたが。。。



そのうちの一体である「パレール星人」。
キャプテンウルトラのメタリノームにそっくり。



ちょっと傾いてますがなんだかいっちょまえに侵略星人としての
尊大さを漂わせてますね。
仮にも40年以上も世界の流れといっしょに経年して
ソフビとしての生を過ごしてきた貫禄でしょうか(笑)。
新規造形のマーミットビニパラベビー版メタリノームもすっかり汗、です。



パレール星人「指人形はこうやって遊ぶんだ!」
メタリノーム「なわけねえだろ!ちょっと表へ出ろ」

パレール星人は地球の大気とは著しく異なる環境で
生きている宇宙人なので円盤の外には出れないという
設定があったりします(「怪獣新聞」に記載)セブンのぺガ星人みたいですね。

まあ、今見るとなかなか味わいがあるんですが。
やはりちょっと見、「テレビに出てるのみたい」な感じで
レジを通過するというパチのアビリティを備えた
その一瞬に賭ける戦略的星人、
(なんてニッチな侵略なんだろう。ケロロ小隊並み)うさんくささが
全身にあふれてます。あまつさえ販促?用の大里玩具風指人形まで
もっともらしくあるんで、これは「本当にテレビに出てるの」かと
みまがうまぎらわしさが漂います。

造形的には足が偏平なので、似た形の脚を持つトルトス海人と同じ
原型師氏が担当したアイテムであると思われます。




そしてブルマァクも第二次怪獣ブーム復活までの期間、
怪獣ブームを持続させようと「チビラくん」「ウルトラファイト」などの
帯番組を展開する円谷プロのバックアップとして怪獣ソフビの製品
展開を進めていたのですがマルサンオリジナル同様にブルマァクも
オリジナルというべきヒーロー(宇宙人?)ソフビの開発を模索していました。

その一体が上のキングウラヌス。
メタルナミュータント風というか、パルプ雑誌に出てくる宇宙人風というか
とにかくアメリカンなSF書籍の中の宇宙空間のイラストにでも居そうな
デザイン、なんですけど、一言でいえば
標榜するテイストに造形力が追いついてない。。。

ネット上にも画像がない。奇特なヒトがいるかもしれんから
この機会に載せときます。実はキングウラヌスってこんなのなんですよ。



「お手上げ!」両腕をトレンチコートの男が持ったら
円盤が墜落してCIAに捕まった哀れな宇宙人みたいです。
そこはかとないヒューララ感覚(相原コージ)が漂ってます。

気が付いたら家のオモチャ箱にあった不気味なソフビで、
親戚のおさがりでいただいたのかな?と記憶しています。
でも足裏に「ブルマァク」と刻印(マークではない)
があるだけで、名前も書いてないのに子供の頃から
どうして今まで「キングウラヌス」という名前を知っていたのか
自分でもわかりません。譲渡されるときに
当事者の親戚の兄貴にでも教えてもらったのでしょうか?

兄貴は自分に譲り渡すまで、キングウラヌスなどというこのソフビの名前を
おぼえていたんでしょうか?そもそもこのソフビがキングウラヌスとして
語り継がれているのが前提になっているんですが、
本当の「キングウラヌス」というソフビが存在している可能性
だってありますね。じゃあこの彼はどこの何者なのだ?そんなところも不気味です。
この画像がキングウラヌスとしてネットで伝わると、
やがて本物がなのり出てくるかもしれません。

キングウラヌス以外にジュピターキング、キングビーナス
というソフビも開発されていたようですが自分は未見です。
なんだか太陽系の惑星を基にした命名が数年後に発売された中嶋製作所の
アストロミュー5にかぶっている気がしますね。

そういえば、このソフビで当時遊んだ記憶もあまりありません。



なぜ遊びたがらなかったかというと
第一に自立しないからです。足の造形がすごくて、
腰のところから分割しているんですが、画像を見るとわかるように
途中のもものあたりから左右の足がくっついて成型されている。
こりゃ立つどころじゃねーっす。

こうやって壁に立てかけてみると、御琴おねえさまにつれなくされて
愛を打ち明けるチャンスを逸し、しまったああと思わず頭をガンガン壁にぶつけて
悔やんでる黒子みたいです。(って知らんがな)



こういうアイテムを見ると去来するのは
成田亨デザインのウルトラマンの存在がいかに偉大かということです。
オリジナルになると海外の宇宙人イメージをもってくる、あるいは
マルサンオリジナルのウルトラサターンみたいに西欧神話方面の
パン神みたいなモチーフを持ってくる、といった手法で裏付けられるのは、
ウルトラマンを相克できるような独自のミリキを備えたヒーローを
メーカー自力でクリエイトすることはそうそうかなわなかったという事実です。

ウルトラ怪獣の影でメーカーがひっそりとデビューさせた
裏ヒーロー、そして怪獣ソフビの立役者である本家メーカーが自ら作った
有名怪獣のパチソフビたちは、どこか時代がブーム便乗から
メーカーを血迷わせ作らせた存在ゆえのはかなさが漂っています。
ソフビファンがそんな当時の華やかな怪獣ブームの混沌の中に咲いた
アダ花のような不思議な怪獣・ヒーローに
惹かれるのも、隠花植物の開花を静かに見まもるようなひそかな楽しみ
ゆえ・なのかもしれません。

撮影をしていたら、いつのまにか近所の公園の桜も満開に。
すっかり全国的に花見シーズンになりましたね。
カメラに映る日差しもすっかり春めいた輝きを増してきました。
そしてその光は余すことなく、名も知れぬ彼らのような
パチ怪獣たちにだって当たるわけです。

つ【Outer Space Man】
コメントをいただいたうにさんからのご指摘で
キングウラヌスの正体というかオリジナルが判明。これか!
http://www.youtube.com/watch?v=Ut00idO4yn4

偽アギラ×角ゴジラ

2010年03月18日 | 当時物ソフビ


昭和の混沌が生み出したヘンテコソフビを紹介する
「昭和の奇獣」シリーズ13回目です。
先日載せたポリ製のパチバラゴン、
バゴランに続いて今回もパチ怪獣ソフビ。

どうしてもレアなソフビとかよりは、今でも現存数が
多い=当時の業者が無版権で流通させ、怪獣ブームにうまく
乗っかろうとして結局ダラダラゆるゆると玩具店の軒先に
長期にわたり放置されたあげく自爆したようなアイテムの
紹介が多かったりするんですが、それはタコの物好きさから
来てイマス。

なのでコレクション的にこれは素晴らしい~、みたいな推奨感は
ゼロです(笑)。実際そういう箸にも棒にもかからないような
モノのほうが、自分はよどみなくおもしろいと思っているんですが。
そこはシャレということでよろしく(まあ~そんな思い違いする
奇特なヒトもおらんかー)。

今回はアギラもどきと角ゴジラ。
上は、そう、ソフビをある程度集めてるヒトなら
おそらくは見たことがあるであろうアギラもどき。
遠目で見るとアギラのようだけどトリケラトプス、
トリケラトプスなのに2本足、
2本足だけどアギラじゃない…。
彼を見ると思考がループしてきます。



時々ポイッ!って投売りコーナーのかごに
この困ったような顔で入っててて
ゾッキソフビの行き場所のなさ加減に
ヨノナカの切実さすら感じちゃう
いわゆるワゴンの常連さんです(…のはずだったんだけど
最近はお店のショーケースなんかに収まって
それなりの値段で売ってるのも見るんだよなあ)

困ったような顔がミリキの二本立ちトリケラトプス風というか
きっとブルマァクのアギラを見ながら
ゾッキソフビ会社の社長さんが、
「これを見た感じ、恐竜みたいにうまくデッチUPして
版権元が目を留めないうちにさっさと裏ルートで流して
売り抜けるんじゃ」といいながら
出入りする原型師氏にハッパかけてる声が
時空を超えて聞こえてきそうな姿をしています(幻聴)。

精悍な表情でセブンのいい助っ人になりそうな
ブルマァクのアギラくんとボディカラーが似ているので
少なからずそれを見て作ったような気配もあります。



偽アギラくんは「スーパー怪獣シリーズ」なる
社名無記名のパチ怪獣シリーズのヘッダーがついた
袋詰め品のデッドストックが確認されているので、
以前旧ブログで紹介したプリーカと同じシリーズで
あることがわかります。この「スーパー怪獣シリーズ」には
ほかにもペギャオスがあり、どれもそこそこ造形には
見るべきものがあるのですが、そこはしょせんというかパチはパチ。

プリーカもこの偽アギラくんも、足裏は無記名で
そこには砂漠の上に風が吹いてできる波状の斑紋のような
変なディティール(足型?)がモールドされています。
おそらくは怪獣名もないし会社名なんか明記もできないので
苦し紛れに波模様を入れたんでしょうけど、

すべては強風にあおられるごとに変わりゆく
砂上の足跡を辿るかのような空疎さ。。。
怪しいゾッキソフビメーカーも
いつのまにか昭和の遠い過去に消えていったのだ!と
はぐらかされているみたいで
足裏の波紋を見るたびにやるせない諸行無常感を感じます。



ミウラのアボラスもどき「オレがパチ怪獣としてオリジナリティが
ないソフビだと、聞きづてならねえな!
ハンパなおまえと違って版権品そっくりで
流通してるオレこそパチソフビのパンクスターだ!
マゴのためにとおばあちゃんにつれられてレジを通過するまでに、
パチとバレるかバレないかの瀬戸際ギリギリ感
こそクール!あれこそパチソフビでなきゃ味わえないエクスタシーだぜ!

それに比べおまえなんか、何の人気怪獣にも見えないじゃんか!
体表ディティールの適当さ加減なんかどうなんだYOー」

プリーカ「なんだともんくあっかー!オレの
背中の華麗なスプレーワークを見ろ!!勝負してやる」

偽アギラ「まあまあ!おたがいパチ怪獣なんだから
ここは喧嘩両成敗さ、2人ともちょっと頭をひやせよ」

偽アギラは目じりが下がっていて、世渡りで苦労が絶えなく
いつしか自己流の処世術と調停術を身に着けてしまった
中間管理職のオジサンみたいなえもいえぬ味がかもし出されています。
基本、事を荒立てない。無難なストッパー系なキャラで
揉めてもこいつはまあ~きっと止めてくれるだろう、と
仲間内でそれとなく重宝されそうな顔立ちですね。



そしてこちらは角ゴジラ。80年代に入って直後の
キングザウルス頃に作られたという説があります。
「世紀の大怪獣シリーズ」という強気な表記の
イラストヘッダーでとめられて袋入りで売られていました。
ヘッダーにもこの角ゴジラそっくりな怪獣が描かれているので、
当初からこの原型が出来ていて、その後ヘッダーを作ったという
証左となっております。

角ゴジラは本当にゾッキソフビらしく、カンチャクを廻す時に
独特のシュコッという擦過音がするけど
肝心の周動がさっぱり追いつかないでギリギリ、ミシミシと
カンチャクに無理がかかっているのがわかる。
おまけに胴体もベコベコした感じで、金型の都合か胴体の巾も
ぺっちゃんこで不恰好。

現代に生きていながら、現行品のソフビでは
こんな感触は味わえない。いかにもゾッキソフビの作りだと
いう拙速さからくる触感が存分に味わえるソフビです。
(そんな偏向をきたした触感を味わってどうするんだ!)

角ゴジラは口を突き出してて
しゃべりだすと停まらない近所の主婦の人とかに
いそうな顔立ちです。(当時もののパチ怪獣って何か近所に
似たような人がいそうな妙な身近さがありますね)



角ゴジラ「ちょっとちょっと!!聞いてよ!
困ったわねえ~。またごみの収集日を
守らない人がいるのよ。きっとあの怪獣荘の学生だわ!
からすが来るって誰か行って文句言ってやってよ~」

ミウラのアボラスもどき「オレがひとつ
ガッンと一発言っといてやるよ!」

プリーカ「しょう~がないなあ~。来年3月には
卒業してアパートも引き払うんだろうけど、
アイツだって一応は町内の回覧板廻ってんだろ?
じゃ町内会に所属してるカウントになるよな。
一応アイツにもごみ当番もしてもらったらいいジャン?」

ミウラのアボラスもどき「片付けるのは
自分がいいかげんに出したごみか、笑えるな」

角ゴジラ「そんなの言えないわよ~困ったわね~

飲み会やってもテーブルクロスに載ってた飲み物の
ペットボトルも、残った食べ物も分別しないで
そのまま風呂敷包みみたいに結わえてごみに出してんのよ~
今までどんな育ち方してきたのカシラ。まあ~信じられないワヨ~。

そうだ!思い切って、ここは大学に通報しようカシラ」

…みたいな、この角ゴジラのそこそこ付き合い上手なんだけど
行き過ぎた几帳面さがトラブルに巻き込まれがちな
表情(どんな表情だよ)にはそんなパチ怪獣同士の
物憂げな会話が聞かれそうです。



旧ブログのプリーカや大協の恐竜ソフビの記事にも書いたんですが、
パチ怪獣は作っている現場のゾッキソフビの製造・販売という
スーパーニッチな業務に従事するおじさんたちの
アフター5に赤提灯をくぐって一杯やらずにはいられないような
アイロニーが生み出した。それはプロダクツの表情や佇まいにも
それとなく刻印されている。
ある意味、作り手のライブ感が横溢する
アイテムであるといえるでしょう。

そんなメーカーサイドのおそらくは青息吐息であったであろう
日常の空気がソフビのつくりや雰囲気に漂ってなどいても
当時の子供たち……、華やかな円谷や東宝・大映怪獣のスターたちに
思いこがれる彼らにとってはまったくどうでもいい
どころか迷惑な付加価値だったことでしょう。
「コレジャナイ!もっとTVに出てる怪獣みたいな
カッコいいの作れないの?」と。

しかし、奇特な好事家にとってはそのカッコわるさは
時を超えれば目線の違う意味での
娯楽供給、大人目線の付加価値創出となります。

そう、せちがらい一日をすごした夜半、眠れない夜に
怪獣ブーム下にひっそりと路地裏で流通され
いつの間にか忘れさられた無名のパチ怪獣たちの
アイロニーあふれる表情を眺めながら
当時あったかもしれないパチ怪獣の現場
メイキングやサイドストーリーを
タイムスリップ・インタラクティブに夢想しつつ
いっぱいひっかけるってのも、
またオツかもしれませんね。




偽アギラ「まあまあ、そこはおさえておさえて
ねっ?反省してるんだから、
そんなにおこらないであげてよ」
プリーカ「なんだ君は マアマア主義なのか」

ああー(笑)。
やっぱり彼はどう置いてみても止め役だー!

(後記…うわー、バックに置いてある緑のほうのスフラン、
撮影してから2日半くらい経って
現場に置き忘れてたのをハッと思い出して
飛んでったけど、まだあった~。
人通りが多い場所なのに世間的にはナンジャコリャなんだろうな。)


つ【ここにいるよ/72(なつ)】
この冬場はよく聴いてた曲。
ドラマ「アンタッチャブル」(仲間由紀恵主演)の主題歌。
街や荒野を漂う、自由だけど主のない
孤独な犬のプロモ映像が歌詞とシンクロしてて好み。

http://www.youtube.com/watch?v=9qTml5pMBhU&feature=PlayList&p=CBDC36C6E070CE91&playnext=1&playnext_from=PL&index=9


昭和の奇獣・バゴラン

2010年03月06日 | 当時物ソフビ
新ブログもスタートしたということで
さっそく記事でも書いてみるとしよう。
ブログ会社がいきなり変わったので
投稿などでのソフトの使い勝手が
まだまだわからないことだらけ。
まあ、とにかく試験運転がてら、いってみよー
(いかりや長さん風)。

久々ですが昭和の奇獣シリーズ。
昭和のゾッキ・パチ造形怪獣やクレイジーな
ソフビを紹介するシリーズなんですが、
これは去年入手したポリ製のパチバラゴン。
発見時はほとんど「捨ててある」ような感じだった。
元は色も落ちており(ポリなので
スプレーも成型数年もせずに落ちたんだろう)
顔のど真ん中にポリ特有の
パーティングラインというかバリもくっきり入ってたり
そしてバラゴンを模した造形としては
致命的ともいえる、耳を一体成型で起こす型の限界からか
耳の後ろがまるまるトウフの角のように
四角く埋まっている造形で、まあお世辞にも
よく出来た人形ではなかった。
元の成型色はジャイバラと同じでオレンジで
グリーンのスプレーが本来はかかってるのが
出荷時の仕様だったみたいです。
自分の手に渡ってきた彼は
にごった黄土色でした。

しかしこの顔立ちの大振り感は何か得もいえぬミリキが
あるので思い切って「ソフビ人形」に近づけてみようと
このポリ人形にポリパテを塗り塗りしたり
塗装したりといろいろと手を加えて改修してみた。
タコも物好きっちゃあ物好きだなあ、と自分で
あきれたり。まあ「狙って作られて無い造形物」
ゆえのミリキというんでしょうか。
昭和の混沌の中から生まれたパチ怪獣は
無自覚に生み出されたことで強烈なイメージの
強度を時に放って見えるときがあるのです。

そう、彼は30年以上前、無意識にポリ業者が生み出した
「パチ怪獣自作用素体」のようなものに見えたのです。




●問題のトウフのような後頭部も「こんなのバラゴンじゃない!うそだっ!」
とかいってレナの鉈でばっさり、とはいかないけどタミヤのプラ用ノコで
ギコギコ切って開頭。タミヤのプラノコすごい機動力です。おすすめ。
耳の間にパテを盛りこみ後頭部をまるまる作るという大手術。
背中のバラゴン風突起も全部ディティールアップ。

というかパチ怪獣に漂いがちなバカ度増幅で
アイディンティテイアップじゃ、ということになり、
中央に四角い背ビレ風の凸をつけてみました~。
宇宙怪獣ダイヤもそうだけど、
生物である怪獣の部分として
突然四角かったり幾何学的な部分が体にあると
パチらしさが余計増すのでは、と考えました。

顔もパテ盛って、気泡というか隕石の表面みたいな
ボコボコ開孔を入れて塗るのを楽しくしようと思いました。
なんつか自分で塗るのを想定しての
自家中毒的なディティールアップですね。
結局、全身にこの隕石状のボコボコディティールは
入れてしまいました。

ポリエチレン製なので模型系の友人が
「パテや塗ったVカラーが固着せずにただ
ポリの表面にぶら下がっているだけなんじゃないの?」と
心配してくれましたが、高密度ポリだったのか、
きっちり根付いたようです。



「仮にバゴランと呼ぼう」(新マンのビーコンの回の
加藤隊長風)。

結局、顔も舌先を細く直しちゃったり元のそっけない模造品の
ポリ人形の顔立ちからだいぶ離れてしまいました。
比較として、元の写真取っとけばよかったかな。
色ですが、安楽安作さんの「ぬえ」のようなパチバラゴン的
カラーとして虎縞を記号的に入れてみようと実践。
(パチバラゴンでさらにぬえのパチを目指すという狂った発想)

顔も耳表面ももともとディティールなんかなかったんですが
(経時で入った傷なのかヘラで入れたのかわからない
切れ込みがあった)顔にはおでこや額などに
クレーター状の凹凸を入れて
耳も象の耳のようなプニプニと
キモいよ~うな触ってみたいよ~うな
感じのディティールを入れてあります。ベースカラーは
沖縄の民芸品・シーザーみたいにしようと思い、
シーサーのようなレンガ色を調合したんですが、
結局虎縞入れたら見た目、
スモゴンカラー風になっちゃったな。
それはそれでアリか。チャイルディッシュな感じには
なったっしょ。模型系の友人はなんか木馬座系の
キグルミみたいになったな、とのたもうておりました。

とにかく自分的にフェバリットなパチ怪獣ソフビの要素を
入れていろいろ加工してみたら、なんかバラゴンのようで
バラゴンでない、明らかに異なる変テコ怪獣人形カスタムが
一個デッチUP。

いわば自分の中にあるパチ怪獣の嗜好について
立体版のロールシャッハテストを
やってみたようなものですね。

一応ソフビ関係の友人に見せたら
「当時、これを作ったゾッキメーカーは
たぶんブルマァクのジャイアントバラゴンが発売
した後に現物を横において作ったんだろうけど、ジャイバラの
鼻と角の間の距離が離れただけでここまで違う顔に
見えるもんなのか。もちろんそれは狙ってそうしたと思えない。
作ってみたらそうなった、くらいの姿勢だろう。
それにしても第一角の生物学的
解釈が狂ってる。普通角は相手に突き刺すためにあるから
進化の過程で後ろに向かって伸びる生物は居ない。
この造形物を作った原型師は粘土に向かって手を動かしてても
きっと、なーんも考えて無い」
とツッコミつつも吹いておりました。

それとミシュラン人形のような
段々のついた腕部がまたオマヌー度を高めていて、
これはオリジナルのジャイバラ無視ですね。
この腕がJの字状に曲がるのがべラとかマルサンオリジナルの
いくつかのアイテムに見られる造形の特徴を思わせます。
それはどこかでオリジナルと造形的差異をつけて
万が一あるかもしれない、本家ソフビ会社と
版権元の追求を逃れようと思ったのかもしれません。
「大丈夫さ、売っちゃえば。どうせ誰も見ていないんだから…!」
とパチバラゴンのメーカーのスタッフが作業をしながら
つぶやいたかは知りませんが、
言ってみれば売り逃げ、
エド・ウッドのサイテー映画みたいなものでしょうか。



まあ~あまつさえ素材として手の入れにくいポリ人形であり、
カスタムするなんてまともな人ならあまり考えないけど
このバゴラン君、手元に来たときは
手足のツメも摩擦であらかた削れてたり色も未塗装に近い
ハゲちょろけでなんとも痛々しい状態だったわけで、
昭和からジャンク扱いでも生き延びてきて少しは
幸せな気分になってくれたらええなあ~と思っております。

じつは幼少の頃、このポリパチバラゴンが近所の
下町の集合住宅で家の裏に打ち捨てられていたのを
見たことがあります。

なんと物置で漬物のタルの重しがわり
になって木戸の窓から射す薄日にさらされてました(泣)。
ポリの人形で魂のこもってない造形なので
子供たちからもあのパチへの呪詛のブロックワード「コレジャナイ!!」を
あびせられつつその親からも
33センチのジャイアントサイズのパチとあれば
なおさら厄介者というような
ぞんざいな扱いを受けたのは想像に難しくない。

怪獣人形遊びでも省みられることも無く、
ポイッてな感じで漬物石代わりという
役割を果たしていたんでしょうか。

そんな幼少のトラウマ風景を呼び起こされ
うち棄てられているかのような彼を目前にしたときついタコも
ポリのカスタム作業なんぞに手を出してしまった。
自分の見た原風景と向き合う、そう
パチとの戦いなのだ(そんな高尚なもんかいな)

たぶんポリパチバラゴンの記事なんて載せる
物好きは金輪際、自分くらいだろう。
嗜好する人間がいるとあまり思えない。

というのはJの字状のユルい手の造形がとか
角と鼻の間が離れていてマヌケでたまらないとか
部分的にこのへんの造形がいいなどという
好意的解釈程度では、普通、万人が好きとか
愛好しているとかには結びつかないからだ。
ましてパーティングラインが頭から足先まで、
そして背中を横断しているべこべこなポリの
造形物というのが、いわば「どこまでも
ソフビにはなれない」三重苦としてのしかかっているわけで。

「おれはガンダムになれない!」と、故郷・クルジスに帰郷したが
なつかしの街は復興どころか火の海になっており
自分の子供時代を見るような少年兵たちが青息吐息で戦っている状況を
目前にしてぼやいた刹那・F・セイエイみたいなものだ。
ポリパチバラゴン「おれはソフビのジャイアントバラゴンになれない…!」



<特に当時の原型師氏が
何か市販品を模して「コレ(ブルマァクとか
マルサンのブツ)を元にアイテムをデッチUPしろ」と
ゾッキメーカーの社長に言われた時に、
ルーチンワークとしてそれを作りながらも
不思議と腕に覚えあれば、
そこはどこかに作った立体物に
独自の作家性というものはにじみ出るものだから。

ご存知のように例外はある。
旧ブログで紹介したミウラのアボラスもどきなんかまさに
そのクチで、中途半端に模造品として作られた
パチはいくら物好きな好事家でさえ食指だって動かないだろうし
(といいながらセカイは広い、いや狭いというのか、
からな~。ポリパチバラゴンを愛好しているという、
奇特なヒトだっているのかもしれない。自分を入れて3人とか
そんな人数。)



とにかく、まあ成仏してくれ、昭和のパチソフビよりも
さらにニッチな世界でひっそりと
その高密度ポリエチレンの身をすりきらしつつ暮らしてきた
無名玩具、全国のポリパチバラゴンたちよ。。。
ここが怪獣墓場、パチとしてこの世に生まれることを
運命づけられたお前たちの安息の場であるなら、
その命尽きるまで、心いくまで今はソフビとしてやんちゃに
きままに戯れるが良い。