台風16号が接近中です。
『腕・頸・肩・腰・膝・足が痛くて、背中全体や体中がコリコリです』と患者さんがお見えになりました。鍼灸治療は慢性の痛みや凝りの緩和に良く効きます。
では何故鍼灸治療を受けると、痛みや凝りが取れ、血行が良くなるのでしょうか。
「痛み」というものを、東洋医学では「気」であると考えます。
気血が阻滞すると痛みが発生する事を「不通則痛」と言い。気・血・精の不足などで臓腑・経絡が滋養されないと痛みが発生する事を「不栄則痛」と言います。
つまり「気」の異常が「痛み」であると考えます。
東洋医学に対して西洋医学では「痛み」は感覚神経の異常、あるいは神経の異常興奮だという考え方があります。
鍼の刺激により異常興奮の神経を鎮静させるというのが西洋医学の鍼理論です。
この西洋医学(現代医学)的な鎮痛効果の実際に目で見える現象として「軸索反射」と言う現象があります。
皮膚を鍼で刺激すると、局所に紅斑が出現します、この現象を「軸索反射」と言います。
これは
「求心性神経線維の終末にある受容器を鍼で刺激すると、インパルスは求心性に伝達されるが、軸索の枝分かれ部分から逆行して末梢にインパルスが伝わ り、その神経端末部からも脊髄におけると同様な神経伝達物質(サブスタンPなど)が遊離され、血管拡張神経に作用し、血管の拡張が生じて血行が盛んになる」
ために起こるものであり、「軸索反射」は鍼が痛みや、凝りに有効的に作用する機序の一つとされています。
刺鍼による「軸索反射」が血流を促進して疼痛物質を排除し痛みや、凝り、筋疲労が改善されるわけです。
私の治療院では、本治法は接触鍼を使う刺さない手技を使いますが、標治法として刺す鍼も使います。
刺す深さは、浅く切皮程度ですが、「不通則痛」「不栄則痛」を改善する補法の際の鍼法として使用しています。
この鍼法は気血を対象として、陰虚や衰弱の強い人、深部の痛み、麻痺、悪感、痺れなどに良く効きます。
さらに今回は鍼灸にビワの葉温灸を加えてみました。「ビワの葉温湿布」はビワの葉が肌に直接触れる面積が大きく、またお灸ほど熱くない為、点では無く面で開いた毛穴から「ビワの生葉」の有効成分が熱によってじんわりと体内深く浸透します。
疼痛緩和の場合は痛みや凝りがある場所に行います。
びわの葉の薬効は科学的にも、下記のような効果確認されています。
①白血球の活動を活発にし、免疫力を高める
②赤血球や血小板などの血液成分の働きが旺盛になる
③血液を弱アルカリ性にする
④グローミューを再生・強化する
グローミューというのは、動脈と静脈を結んでいる毛細血管のバイパスの役割をするもので、全身のいたるところに存在し、このグローミューがしっかりとしていることで、血行が良くなり体の隅々まで酸素を送り、組織のガス交換を促進させ、新陳代謝を活発にさせます。
鍼灸治療+ビワの葉温灸で治療後は痛みと凝りが和らぎました。雨続きで湿度が高いので体内の湿邪が原因と成り、気血が阻滞、気・血・精の不足などで痛みと凝りが起きたようです。