今日は朝から快晴になったこともあってか、今まで以上に放射冷却が厳しくなりました。加えて強い風が吹きつけたこともあって、暖房をいれていないと寒くて居られません。
今日は小田原の小学校の修了式でした。明日から冬休みに入りますが、コロナ禍の先が見通せない中での修了式は、何とも言えない雰囲気でした。
ところで、今日12月23日は
ベートーヴェンの《ヴァイオリン協奏曲ニ長調》が初演された日です。ヴァイオリン協奏曲ながら演奏時間が交響曲並みの50分近くかかるこの超大作は、メンデルスゾーン、ブラームス、チャイコフスキーと合わせて『4大ヴァイオリン協奏曲』のひとつとされています。
創作にあたってベートーヴェンは、ヴァイオリニストでアン・デア・ウィーン劇場オーケストラのコンサートマスターを務めていたフランツ・クレメントを独奏者に想定し、彼の助言を容れて作曲していました。初演は1806年の12月23日 にアン・デア・ウィーン劇場でフランツ・クレメントの独奏により演奏されました。
ところが、このヴァイオリン協奏曲は演奏会直前まで完成していませんでした。そのためクレメントはほぼ初見でこの難曲を見事に演奏して、聴衆の大喝采を浴びたと伝えられています。
そんなこの協奏曲はその後演奏される機会が少なくなり、存在感も薄れていってしまいました。これを再び採り上げ、『ヴァイオリン協奏曲の王者』と呼ばれるまでの知名度を与えたのは、ブラームスの友人のヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムの功績です。
この協奏曲はベートーヴェン中期を代表する傑作のひとつで、ヴァイオリンと管弦楽のための作品で完成した唯一の協奏曲です。 同時期に作曲された《交響曲第4番変ロ長調》や《ピアノ協奏曲第4番ト長調》にも通ずる叙情豊かな作品で、全体に伸びやかな表情が印象的です。
ティンパニの弱奏から始まるというインパクトが印象的な第1楽章はこの曲の大半を占めていて、この楽章だけでも演奏するのに20分ちょっとかかります。続く第2楽章はト長調の変奏曲で、ホルンとクラリネットの暖かな響きの中で独奏ヴァイオリンが伸びやかに歌います。そこから切れ目なく続く第3楽章はニ長調のロンドで、一度聴いたらすぐにでも口ずさんでしまうようなテーマが特徴です。
そんなわけで、今日はベートーヴェンの《ヴァイオリン協奏曲ニ長調》を、20世紀を代表するヴァイオリニストのひとりであるヘンリク・シェリングの独奏でお聴きいただきたいと思います。ただ、先程も書いたように演奏時間が思いの外長いので、視聴の際にはくれぐれもお気をつけください(笑)。