時間のしずく time drops 

たいせつなもの。すきなこと。

「世の中は偶然に満ちている」 赤瀬川原平 著

2016-02-29 | 本 のこと



「世の中は偶然に満ちている」2015年筑摩書房発行

一昨年他界された 赤瀬川原平氏が
三十数年もの間 記し続けた「偶然日記」と「夢日記」。

奥さまが偶然発見した生前の日記帳が編集され発行された。

赤瀬川氏最後の本。


とおい人なのに、勝手ながら知ってるおじちゃんみたいなキモチがしちゃう赤瀬川さん。

赤瀬川氏のエッセイを読んでいると過去に何度も不思議なキモチに。。。
思考がシンクロすることがよくあるのだ。

フシギだいすきな赤瀬川さんの周波数と
わたしのどこかが共鳴して
引き寄せられちゃったのかもしれないなあ。

本の最後、奥さまの「あとがきにかえて」を読んで 泣いてしまう。

人生をとことん面白がって生きていらした赤瀬川氏。
ところどころに奥さまのみた夢までも綴られている「夢日記」。
あたたかなお人柄の赤瀬川さん・・・ご冥福をあらためてお祈りいたします。


わたしもこの度、
以前綴っていた「夢日記」を 再開。
目覚めてすぐに寝惚けまなこで夢を記録しています。
 


みえないものがみえる期間

2016-02-26 | essay

そうだ。
思い出した。

「みえないもの」の存在を
みえないけれど
ありのままに受け入れられるようになったのは
自分の子どもたちに教えられたからだった。

この世に来たばかりの「赤ちゃん」ってのは
きっとニンゲン界と別の次元との境がまだ曖昧でおぼろなんだろうと思う。

だから きっと
いろんなものが視えてる。

自分のみているものが 実体のあるものか
はたまたないものか
なんて思考せずとも
ただそこに視えているんだろう。
みえないものがみえている、貴重な期間だ。

だんだん
成長とともに自分と他のひととの境、
自分のいる世界とよその世界との境が
はっきりしてきて
いつの間にか視えていたものが視えなくなるのだろう。

子どもたちが赤ん坊の頃
三人が三人とも
わたしの肩越しになにかを視て笑うのを何度も経験した。

おっぱいをあげている時、
抱っこしている時、
わたしの後方に向かってしっかり視線を定めて
にっこりしたり 手を伸ばしたり。
いつも穏やかな顔で嬉しそうにみていたから

「あ、また誰か(なんか)きてくれてるんやな~」と
なんだか祝福されているようで安堵感さえ覚えるほどだった。

きっとご先祖さまとか、子どもの頃亡くしただいすきだった伯母とか
もしかしたら妖精とか天使とか?
昔飼っていた犬とか?とか?

いいなあ 視えて って思ったものだ。

きっと自分も記憶のないような赤ん坊のころには
視えていたのだろうな、と思う。

いまでもね
きっと時々来てくれているのだろうな。

みえないけれどね~。


(雲に紛れる飛行機のおなか。みえているものがホンモノとは限らない・・・??)


20years

2016-02-24 | essay

長男がハタチになった。
たくさんの時間が彼の上にも積もったんだなあ。
それでも 過ぎてみればあっという間の20年。

お腹にいるとわかった日から記し始めた「育児日記」を
すごく久しぶりに引っ張り出す。

子どもたち三人分の育児日記をそれぞれに記してきたけれど
長男だけは、厚手のハードカバーのノート三冊にも及ぶ。

そりゃあね、ひとり目は赤ちゃんとふたりきりの時間がたっぷりだものね。

誕生日の夜中に
こんなことやあんなこと、日々の成長や仕草をちょこっとイラスト付きで綴ったノートを
ひとりでぱらぱらと読んでいたら
ちいさかった彼の可愛らしさ、純粋さになんだか涙がでちゃう。

風に揺れる大きな木に、手を振る1歳の彼・・・
木がバイバイしてくれてるように見えたのねえ(涙)
(もしくは、木の側にみえない誰かが視えた??)

今では生意気な無口男子だけれど、確かにこんなに可愛かったんだなあ~と再確認。

小学校後半からは誕生日や大きな節目にしか綴っていないけれど
彼のこれまでの20年の貴重な軌跡。

二十歳の誕生日。ラストにメッセージを一筆したためて、育児日記最終回。
ノートを三冊、長男の枕の上にどんと置いておいた。

それを読もうが読むまいが彼の自由。

これからの長い道のり、
自分なりの幸せをみつけて、その手で掴んで生きて行ってほしいな。

まあ、まだ学生だからあと2年は生意気男子のままでしょうけれどね~(笑)


彼とわたしは同じ誕生日。
ついでにわたしも生誕半世紀の大台に。
さあ 人生これから!




「孤児列車」クリスティナ・ベーカー・クライン著

2016-02-19 | 本 のこと



「孤児列車」(Orphan Train)クリスティナ・ベイカー・クライン 著
田栗美栄子 訳 2015年 作品社発行

読み終えたくない気持ちになる本に時々巡り合う・・・。
これもそんな一冊だった。
時代も違うふたりの人生が合わさり
あたたかな空間が生まれる。

物語は、17歳のモリーと91歳のヴィヴィアンの人生を
行ったり来たりしながら過去と現在を
目の前に広げて見せてくれる。

ニューヨークからアメリカ中西部へ
身よりのない子どもたちを乗せて運ぶ「孤児列車」と呼ばれる慈善事業が
1854~1929年までの70年以上もの長きに渡って行われてきたという・・・。
本国アメリカでもあまり知られていない事実らしい。

養子として家庭にあたたかく迎えられた子どもはごくわずかで
ほとんどの子どもが事実上の労働力として引き取られて行き、
非人道的な暮らしを強いられたという。

この物語は史実にもとづいて作られたフィクションだが
どんどん引き込まれる臨場感と克明な風景描写に、
最初から最後までずっと映像を観てきたように感じるほど。

もしも映画化されたら、わたしはきっと観にいくだろう。
繊細な17歳のモリーも
品のある老婦人ヴィヴィアンも、素敵なお邸の屋根裏も
もうとっくにわたしの中では鮮やかな色を纏って動いているのだけれど。


図書館から借りてきて、夜な夜な時代を行き来しながら読んだこの本は
北国のおともだち、Iさんのおすすめ本。
北の国で読書会を主催していらっしゃるIさん、
いろんな分野の本に詳しいIさんのおすすめ本は、
選書にとても偏りのあるわたしにとって、とっても新鮮なのであります。

本との出逢い。ひととの出逢い。
人生はマカフシギ。。。

壮大な旅の末に清々しい気持ちで読み終えられる本をお探しの方にぜひ!


時間を泳ぐ

2016-02-18 | essay

音を立てて流れ続ける時間。カチコチカチコチ。
こうしている今も。

カラダからチカラを抜いて
流れに身を任せる時間もとてもたいせつだけれど

ここぞという時には
ちゃんと自分の手足で泳いでいくことも必要。
時間をかき分けかき分け、自分の思う方向へ。

わかっちゃいるんだけれどなあ~。
手足に絡まる水藻を上手くいなしたりかわしたりしながら泳ぐのは
なかなかムズカシイ。


魚座、一同に会す?

2016-02-17 | essay



ペーパードライバー歴を数えてみたら。。。
恐ろしく長い。
それでも5年に一度は更新へ。
わたしの免許証は完全に身分証明書である。

五年前にも同じことを書いた気がするけれど・・・
免許更新は、同じ星座のひとが一同に会する珍しい場。
しかもみ~んな知らないひと。

今回も、講習が始まるのを待つ間
このお爺さんも、このおニイサンも
そしてこのオネエサンもおばちゃんも、ほぼみんな魚座なんだなあ~
と思って眺める。(みずがめ座も混ざっているでしょうけれど)

なんだか、勝手に運命共同体みたいな気がしてくる。

星座占い一般では、魚座の基本の性格ってのは、
二匹の魚のマークが象徴するように
現実的な面と夢見がちな面の二面性を合わせ持つこと。
水に流される優柔不断なところもあるとよく言われるよね。
それってわたしは当たってる。

前に座った厳めしい顔したオジサンも、夢見がちなのかしら?って
思うとちょっとかわいく見えてくる。

同じ星座の見知らぬひとが会する貴重な場所。
そんなこころ持ちで臨んでみると、面倒な免許更新もちょっと面白くなります。

(妄想癖のあるドリーマーな魚座だけ?かもしれませんが!)


 


「木に学べ」 棟梁のコトバ

2016-02-16 | 本 のこと

本との出逢いもこれまた縁。
スゴイ本に出逢ってしまった。

ある日、「お母ちゃん、うちに 木に学べ って本ある?」と、中二ムスメ。
図書館じゃないんだから~。
と話を聞いてみると・・・

授業で法隆寺のことを調べていたら
資料の中に「木に学べ」という本の紹介が小さく載っていたのだそうで。
わたしが持っていそう、と思ったらしい。
どれどれと紹介文を読んだら・・・おもしろそう!
わたしが読みたくなってネットで即買いしたのであった。

法隆寺・薬師寺の棟梁をされていた宮大工・西岡常一氏。

口述を本として編集されているので、
やわらかな(けれどピリリとスパイスの効いた)関西弁の語り口で綴られており
たいへんな臨場感!語ってくれているのを今聴いているみたい。

木を知り尽くし、木とともに生きたひとのコトバにはずっしりとした重みと凄みがある。

 木のクセは木のこころ。。。
 風をよけてこっちへねじろうとするのは神経はなくともこころがあるということ。

 鉄は100年。コンクリートは30年。ヒノキは二千年。

 木を知るには土を知れ。 などなど。

積年、棟梁自らの手で培ってきた大切なことやひととしての生き様が
その手触りまでこちらに伝わってくるような本。

ギラっと光るたいせつな言葉がたくさん詰まっている。

この本の発行は1988年。現在、棟梁ご本人はもう亡くなられているけれど
この、知恵と大工魂の詰まった素晴らしい本は、
この先もたいせつに受け継がれていくことでしょう。。。(そうであってほしい・・・)

代々棟梁だけに口伝にて伝承される家訓もすばらしいし、
日本古代建築の歴史書としても、類のない重要な文献なのではあるまいか?

重要文化財的な?そういう公的なもので保護され
後世まできちんと残してほしい本だ。
この本には「日本のココロ」が詰まっている。

さまざまな欠陥建築などの問題が何度も取りざたされる現代。
建築業者の方々、そしてこれから建築を学ぼうとしている若者にこそ
この本を読んでもらいたいな。
建築学では学ぶことができない「たいせつなこと」を
この本の中で「棟梁」が教えてくださるはず。

今年、修学旅行で法隆寺に行くであろう娘。
この本を読むきっかけとなってくれた君こそ読みたまえ~。
行く前にぜひとも読んでいってもらいましょう。(拾い読みでも!)

奈良、行きたくなっちゃったなあ。

法隆寺の柱を、相輪を、そこかしこを、
この本を手にしながらゆっくり眺めたいものである。


おはなと春一番

2016-02-15 | essay



旧友三人でちょっと遅い新年会。

思いがけず、ちょっと早い生誕半世紀!のお祝にお花をいただいた~♪
うれしいなあ。かわいいお花に、ぱ~っと春がきたみたい。
と思ったら、翌朝は春一番。



強風に渦巻く雲。

ぐんぐん蒼い空が見えてくる瞬間ってすきだなあ。


突然舞い降りた2月の夏。
今日は一変してまたまた真冬へ逆戻り。
体調管理に気をつけましょう!


こちらとあちらの隙間

2016-02-13 | essay



もう この世にはいないひとを想う時、
こちら側とあちら側の
目にはみえない空間の隙間に自分がいるような気がする。

あちら側からも
一歩こちらに近寄ってくれたなら
この手が
届くかもしれない。

いや、もう既にそうしてくれているのかもしれない。

ただ目にはみえないだけで。

だって懐かしさに
こんなにも胸が熱くなって
なみだが勝手にながれちゃう。

もったいぶってないで
姿を見せてくれてもいいのにねえ。

ユーレイだって
驚くわけないのになあ。

 


置いてきぼりの空間

2016-02-11 | essay



都会の中に、すっぽりそこだけ古い空間をみつけると
うれしくなる。

ここは高架下の様々なお店が立ち並ぶ場所。

周りがどんどん新しくなる中、ここだけそのまんま昭和の空気が残ってる。





時間の積もったドア。

こういう鍵穴を持つドアに
東京の街中でばったり出逢えるのは
もう時間の問題かも。

蠢く街。
この先どんどん古い空間は姿を消していくのでしょう。


映画「グランド・ブダペスト・ホテル」

2016-02-10 | 映画 のこと


ウェス・アンダーソン監督の独特な世界観。すきです。

「グランド・ブダペスト・ホテル」2014年ドイツ・イギリス合作

シュールな演劇を見ているようなテンポのよい展開。
謎めいた登場人物たち。
さりげなく随所に現れる豪華キャストたち。

かなりブラック・ユーモアも含まれますが
なんとも魅惑的な映画です。

映画って、アートだなあ~と、今更ながら思わせられちゃうような映像美。

エンドロールで流れるのは
バラライカによるアップテンポなロシア民謡の演奏♪
エンドロールはぜひ最後まで!
ちょっと笑わせてもらえます。



 


ポケットをひっくり返す

2016-02-08 | essay



掃除機をかけていたら
こころに突然降ってきた。
これからのわたしのテーマ。

「リリース」release : 自由にする 解放する 手離す (苦痛を)取り除く
              製品・作品を公開、発表する

大事に抱え込みすぎてきたものを
ぜんぶ解放してあげよう。
モノも感情も全部、すきなように出て行かせてあげることにしよう。

ここ数年、わたしのテーマは「柔軟」
すこしは頭もココロもやわらかく解されてきたかな。

がちがちに絡んでほどけなくなってしまったかなしみも
時間をかけて
少しずつ、ほぐれてきたような気がする。

ほどけたかなしみは、ちょっとずつ
空へ送っておこう。

ポケットをひっくり返すみたいに
ココロもひっくり返して
ぱんぱんぱん。

積年の埃を払い落としてココロをリニューアルです。

 


積もる時間。

2016-02-06 | essay


ずっと前からすきな木。

久しぶりに近寄ってみたら
またまた逞しく成長したみたい。
ここへ来るようになった頃、既にすっかり大きな木だったのだけれど
この20年余りでどんどんどんどん逞しくなってる。


この角度で撮ったら
鹿の角みたい~。

木登り好きな子どもだった我が家の三きょうだいも
この木が一番のお気に入り。
この幹の上に、よく乗らせてもらったものだなあ。
以前は、力をかけると しなっていたものだけれど
いつの間にか幹ががっちりと太くなって
わたしが腰かけてもびくともしない。

あの頃赤ん坊だった長男も間もなく二十歳。

ひとの時間も
木の時間も
ちゃんと積み重なっていくんだねえ。
目にはみえなくてもね。


おもしろいカフェ

2016-02-05 | essay



カフェの達人、ともだちKさんは
どの街へ出掛けても
いい感じのカフェへと導いてくれる。

先日、表参道でゴハンを食べたのは
その名も 「文房具カフェ」!

ここはおもしろい。だいすき、文房具!

ショップとカフェが併設されていて
魅力的な文房具が所狭しとたくさん並んでる。

テーブルの上の案内を読んでみると。

会員になると机の鍵が渡される。
カフェでお茶を飲むたび引き出しの鍵を自分で開けて
中に入っている様々な文房具を自由に使えるのだそうだ。

よそに自分の引き出しがあるみたいでたのしそうねえ。

ちょっと見回してみると、確かに、時々引き出しを開けて
何やら出して、熱心に手を動かしていらっしゃるお客さんもちらほらと。

ご近所だったり、職場が近かったりしたら
ぜひ会員になるところだけれどなあ。
方向音痴のわたしは、次にひとりで辿りつけるかどうかも怪しい。

こちら、カフェランチもしっかりおいしくて
お盆の上には、おりがみが!

折り方を見ながら四角の入れ物をつくったのだけれど
・・・ん??
なんでもきちんと器用なKさんの折ったものと
なんでもイイカゲンなわたしの折ったものが
こんなにも違うとは!!同じものとは思えない~。

おもしろいなあ。折り紙ひとつでも 性格って出ちゃうんだなあ。
気をつけよう~。


その先にある本屋さんまで、青山墓地を通り抜けて歩く。
2月の桜。つぼみもほんのりと膨らんでいるみたい。
もうあとふた月もしないうちに、ここの桜もやわらかく綻ぶことでしょう。

今年の桜は気が早そうです。

 


メッセージ♪

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