平昌五輪が終わりました。
26日の月曜日には、選手がみな帰国して、メダリストたちが会
見をしました。
今回の五輪で、メダルを取った選手は、試合後すぐインタビュー
を受けていましたが、選手の答えが、どれも素晴らしかったと思い
ます。
ジャンプの高梨選手も、スノーボードの平野選手も、スケートの
小平選手も、高木姉妹も、みな、支えてくれた人たちへの感謝の言
葉を、真っ先に口にするのです。
4年間、練習をともにしてくれたコーチやスタッフ、仲間、友人、
そして、なによりも、家族への感謝の言葉が、自然に、出てくるの
です。
その感謝の言葉を、照れることなく、選手たちは、ごく自然に、
素直に口にします。4年間、支えてもらっわなければ、ここまでこ
れなかったという思いが、にじみ出てくるのです。
感謝の気持ちを素直に語る姿は、テレビで見ている私たちにも、
大変よく伝わってきます。練習に付き合ったわけでもない私たちに
も、それだけ伝わってくるのですから、4年間、苦労を共にしたコ
ーチやスタッフ、選手仲間、家族は、その感謝の言葉を聞いて、ど
れほどうれしいかと思います。
インタビューで、そうした感謝の言葉を引き出すのは、インタビ
ューするアナウンサーなり記者の腕でもあるでしょう。
しかし、無理矢理、感謝の言葉を引き出そうとしては、インタビ
ューとしては失格です。
スケートの500メートルで、小平選手が悲願の金メダルを取り
ました。小平選手は、前回のソチ五輪でメダルを取れず、なんとし
てもという思いで、ソチ五輪の後、オランダに留学したのです。
その思いが実っての金メダルでした。
小平選手を支えたのは、結城コーチです。
金メダルを取った後のインタビューで、これはTBSのアナウン
サーだったようですが、小平選手に、いきなり「感謝の気持ちを、
結城コーチに伝えたいですか?」と聞いてしまったのです。
こんな短い質問なのに、インタビュアーは、2つ失敗しています。
ひとつは、「感謝の気持ちを伝えたい」という言葉を、小平選手
が口にするのを待てばよいのに、インタビュアーが自ら口にしてし
まったことです。
もうひとつは、「結城コーチに伝えたいですか」と、ただ1人の
名前を挙げて聞いてしまったことです。
この質問に、小平選手は、はっきりと、戸惑った様子を見せまし
た。そして、こう答えました。
「いや、結城コーチというよりも、一緒に滑ってくれた学生や、
支えてくれた仲間や、(所属している)病院のみなさんや、大勢の
人に感謝を伝えたいです」。
彼女は、初めから、こう言いたかったのです。
インタビュアーに聞かれなくでも、こう答えたかったのです。
それを、インタビュアーは、かえって、邪魔をしてしまいました。
五輪という世界最高の舞台で勝ち、金メダルを取ったのです。
インタビューする側も、メダルを取った選手の努力に見合うだけ、
インタビューの技術をトレーニングしておかないと、選手に失礼と
いうものでしょう。
私たちは、テレビを通してでしか、五輪を見ることは出来ません。
インタビューは、まさにその現場にいる選手と、現場には行けな
い私たちをつなぐ生命線みたいなものです。
その覚悟をもって、インタビューしてほしいですね。
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