いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

ラグビー日本代表の外国出身選手・・・日本は本当にいい意味で国際化してきたということです。

2015年10月02日 00時54分50秒 | 日記

 ラグビーのワールドカップで、日本代表は大活躍しています。
 その中で、日本代表のメンバーに、外国人が多いというのが、話
題になります。
 正確には、外国出身の選手といったほうがいいでしょう。
 前回のワールドカップの時には、外国出身の選手が多いのではな
いかという指摘がもっと多かったと思います。指摘というより、前
回は、批判という感じでした。

前回に比べると、その指摘は減りました。
 そういう状況に、慣れてきたのでしょう。
 では、しかし、外国出身の選手、外国選手ということの意味は何
なのでしょうか?
 
 日本代表で、外国出身の選手が話題になるのは、「日本人」の顔に
まじって、「外国出身の選手」は、いかにも外国という顔をしている
からです。
 あ、外国出身の選手だと、顔を見るとすぐに分かるのです。

 実のところ、日本のメディアより、むしろ、ワールドカップに取
材に来る海外のメディアのほうから、その指摘が出るのです。
 日本のメディアは、かつてに比べて、状況に慣れてきたと思いま
す。



 そこで、ちょっと立ち止まって、考えてみましょう。

 南アフリカ代表にも、オーストラリア代表にも、イングランド代
表にも、実は、いろんな人種の選手が入っています。
 あらかじめ断っておきますが、この場合、「人種」という言葉に、
差別的な意味は一切ありません。
 南アフリカは、かつて、イギリスとオランダが作った国です。白
人が現地のアフリカ人を支配するという構図が長く続いていまし
たが、マンデラ大統領が初めてアフリカ人の大統領となりました。
ラグビーの代表も、白人が中心ですが、アフリカ系の選手もいます。
 さて、では、「南アフリカ人」というのは、何を指すのでしょうか。
「外国人」って、どっちだ?という話にもなってしまいます。
 
 アメリカでは、かつて、奴隷制があり、アフリカ人が奴隷だった
歴史があります。いまでは、もちろん、奴隷制などなくなり、アフ
リカ系が普通に活躍し、アフリカ系の大統領も誕生しました。もち
ろんオバマ大統領です。
 バスケットボールなど、選手はむしろアフリカ系のほうがはるか
に多いぐらいです。
野球でもアフリカ系選手なしでは成立しません。 
 
 オーストラリアは、イギリス人が来る前に、もともと住んでいた
人たちがいます。その人たちも、当然、ラグビーのオーストラリア
代表に入っています。

 さて、こういうふうに検証してくると、ラグビーのワールドカッ
プで、どの国の代表も、さまざまな人種の選手で構成されているこ
とが分かります。
 ですから、日本代表に、さまざまな人種の選手が入っていても、
もおかしくないのです。

 ラグビー協会が、その国で生まれた選手でなければ代表にはなれ
ないと決めているのなら話は別ですが、ラグビー協会は、たとえば、
その国に3年以上住んでいればいいとか、規則で、ゆるめに決めて
いるわけです。

 どうして日本代表だけが、外国から来た選手が入っていると指摘
されるのかというと、それは、顔立ちがはっきりと違うからです。
 いま、顔立ちが違うからと言いましたが、逆にいうと、ただそれ
だけのことでしょう。

 アメリカ代表にいるアフリカ系選手は、白人選手とはっきりと顔
立ちが違います。顔立ちどころか、肌の色が違います。
 でも、いまでは、だれも、そんなことを指摘したりしませんし、
そもそも、もう、違和感を覚えなくなっています。
 アメリカ代表にアフリカ系がいるのは、当たり前のことになって
いるのです。
 
 同じように、日本代表だって、あとはもう、慣れの問題です。
 そもそも、主将のリーチマイケル選手は、オーストラリア生まれ
ですが、15歳から日本に来て、いまは日本国籍を取っているそう
です。
 
 いまの日本は、いい意味で、非常に国際化されました。この20
年ほどのことではないでしょうか。
 スポーツ選手を見ると、よく分かります。
 野球では、関東第一のオコエ瑠偉選手がいます。彼はお父さんが
ナイジェリア人です。
 陸上では、サニブラウン・ハキム選手が短距離で、彗星のように
登場しました。桐生君も、うかうかしていられません。ハキム選手
は、お父さんがガーナ人です。
 やり投げでは、ディーン元気選手が村上選手をしのぐ力を付けて、
ロンドン五輪で10位に入りました。
 少し前には、短距離の女子ハードルで、イボンヌ選手が五輪前に
突然現れて好記録を連発し、急ぎ、代表に選んだこともありました。
 バレーボールでは、宮部藍梨選手が、お父さんがナイジェリア人
です。その身体能力で、バレー界のホープです。
 
 どうですか。
 ちょっと振り返っただけで、ハーフの選手がこれだけ活躍してい
ます。
 ハードルのイボンヌ選手など、見た目は完全にアフリカ系なので、
初めは「え?」と思った人もいたかもしれませんが、いまではもう、
オコエ選手にしても、サニブラウン選手にしても、違和感を持つこ
ともなくなったのではないでしょうか。

 これは、日本の国際化として、非常に素晴らしいことだと思いま
す。
 日本という国が、外に開かれて、いろんな人がやって来たという
ことなのですから。

 芸能界に目を広げると、ハーフの芸能人はたくさんいます。いま
や、もう、珍しくもないでしょう。
 彼らは、日本で生まれ、あるいは、日本にやってきて、実に流ち
ょうな日本語を話します。
 
 流ちょうな日本語といえば、大相撲のモンゴル勢がそうです。白
鵬にしても、日馬富士にしても、やめた朝青龍にしても、みんな、
日本人のような日本語を話します。
 モンゴルの人たちは、日本人と顔つきが実によく似ているので、
大相撲のテレビ中継を見ていても、モンゴル出身だとは意識しませ
ん。
 流ちょうな日本語なら、ラグビーの日本代表で外国から来ている
選手は、みな、たいしたものです。リーチマイケル選手は主将なの
で、試合後、よくインタビューを受けていますが、ごく普通の日本
語ですよ。

 話をラグビーに戻しましょう。
 ラグビーの日本代表で、外国から来た選手のことが指摘されるの
は、たまたま、顔立ちがちょっと違うからに過ぎません。
 そして、野球のオコエ瑠偉選手や、陸上のサニブラウン選手を見
ても分かるように、顔立ちの違いは、すぐに慣れるものなのです。

 もし、日本代表のことを批判するメディアがあるとすれば、その
メディアは、アメリカ代表、オーストラリア代表、南アメリカ代表
のことを思い起こしてみるべきなのです。
 アメリカ人とは何か。オーストラリア人とは何か。
 そう問い詰めれば、日本代表は、別におかしなこともなにもない
のです。

 いまの日本には、それだけ、もう、いろんな人が、いろんな地域
から来るようになった。
 そして、そういう人たちが、日本を好きになってくれて、日本に
住むようになった。
 それは、日本の国際化として、素晴らしいことではありませんか。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿