いまジャーナリストとして

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潘基文事務総長と中国・・・国連事務総長は、国際的に利害関係の少ない途上国から選ぶ慣例でした。

2015年08月30日 17時10分10秒 | 日記

 中国が開く抗日戦勝記念の行事に、国連の潘基文・事務総長が参加
するというので、話題になっています。
 特定の国(日本)を念頭に置いた特定の国(中国)の行事に国連事務
総長が参加するのは、国連の理念に反するとして、日本は国連に抗議
しました。
 日本の抗議は、当然のことです。

 韓国の反応を見ていると、あくまでネット上の反応ですが、潘基文・
事務総長の参加を歓迎しています。というより、むしろ、それに日本が抗
議したことを批判するという流れになっています。
 とんでもない批判になると、「悔しければ、日本も国連の事務総長を出
してみろ」というのがあります。

 これは、日本が抗議して当然です。
 中国が、抗日戦勝記念の行事を開くのは、中国が日本に勝ったという
ことを祝っているわけです。
 そんな行事に、国連事務総長が参加するというのは、ありえないことで
す。

 どうして、こんなことが起きるのか。
 潘基文氏は、韓国の人です。次の韓国大統領を狙っているとも言われ
ます。
 韓国は、「反日」で成立している国ですから、日本のことになると、国が
沸き立ちます。「反日」をすれば、とにかく国民から支持を得られる国なの
で、次期大統領を狙う潘基文氏にしてみると、対日戦勝を祝う行事に参
加して、何の損もないということになります。

 ここで、ひとつ、大きな問題点として指摘しておかなければならないこと
があります。
 それは、国連の事務総長は、本来、小国、あるいは、途上国から出さ
なければならないということです。
 経済力のある国、大きな国から出すと、必ず、大国間の摩擦、国際関
係の利害に関わってしまうからです。

 国連の事務総長で、日本人になじみ深い名前は、ウ・タント事務総長
でしょう。この人は、1960年台に長く国連の事務総長を務めた人で、出
身は、ビルマです。
 子供のころ、社会科の授業で、ウ・タント氏の名前を聞いたときは、
どうして、ビルマのような小さな国の人が、国連の事務総長になるんだ
ろうと、不思議な思いがしたものです。
 実際は、小さな国だからこそ、国連事務総長になれるのです。

 ウ・タント氏の後も、先進国から出たのは、オーストリアぐらいではない
でしょうか。
 国連のホームページで、調べてみると、次のようになっています。


•トリグブ・リー(ノルウェー)
 1946年2月から1952年11月まで。
•ダグ・ハマーショルド(スウェーデン)
 1953年4月から1961年9月まで。
 乗っていた飛行機がアフリカで墜落し殉職。
•ウ・タント(ビルマ、現ミャンマー)
 ハマーショルド氏の死で、1961年11月に事務総長代行。
 1962年11月に事務総長。1971年12月まで在職
•クルト・ワルトハイム(オーストリア)
 1972年1月から1981年12月まで。
•ハビエル・ペレス・デクエヤル(ペルー)
 1982年1月から1991年12月まで。
•ブトロス・ブトロス=ガーリ(エジプト)
 1992年1月から1996年12月まで
•コフィー・A・アナン(ガーナ)
 1997年1月から2006年12月まで。
・潘基文(韓国)2007年1月に就任。

 ご覧のように、いわゆる先進国から出たのは、ノルウエーのリー氏、
スウェーデンのハマーショルド氏と、オーストリアのワルトハイム氏
だけです。先進国といっても、大国ではなく、小さな国です。
 あとは、みんな、途上国から出ています。

 アメリカやロシア、中国などから事務総長を出すと、国際関係を取り仕
切るとき、出身国の利害に絡んでしまい、かえって身動きが取れなくなり
ます。
 だから、国際政治に影響力のある国からは、事務総長は出さないのが、
慣例なのです。

 そういう視点で見ると、韓国から潘基文氏を出したのは、異例中の異
例のことでした。

 韓国は、国際的には、いわゆるG20の中に入り、それなりの経済力と
影響力を持った国です。しかも、日本や中国との間にあって、国際関係と
しては、難しいポジションにある。
 北朝鮮とは、実はまだ「休戦中」という位置づけです。いつ何があって
もおかしくはないという状況です。

 そういう中で、韓国から国連の事務総長を選んだのが、そもそも、おか
しかったのです。

 案の定、今回、中国の抗日記念の行事で、はしなくも、韓国出身という
バックグラウンドを見せてしまいました。
 これがたとえば、前任のアナン事務総長(ガーナ出身)なら、まず、出
席しなかったでしょう。ガーナの人にとって、中国と日本のことは、直接の
利害関係などありません。

 国連事務総長は、途上国、あるいは、影響力の小さい小国から出すのが、
長い間の慣例なのです。
 逆にいえば、韓国から事務総長を出したということは、国際社会では、
韓国は影響力の小さい小国と見なされているということになるのです。

 ですから、韓国の反応で「悔しければ日本から事務総長を出してみろ」
というのは、筋違いもいいところです。
 先進国サミット(G7)のメンバーで、経済規模が世界第三位の日本か
ら、国連事務総長が出る可能性は、ゼロです。

 韓国では、潘基文・国連事務総長を「世界大統領」と呼ぶこともあるよう
です。
 国際機関、中でも、国連ののトップを出したということが、誇りになって
いるのです。

 しかし、それは、大いなる勘違いです。

国連事務総長は、途上国あるいは小国から出す。
 それは、国連事務総長が、各国の利害関係から遠い所にいるべきだという
考えに基づくものです。
 ですから、本来、韓国のような国から国連事務総長を出したのが、
そもそも、間違っていると言うべきなのです。
 それならせめて、潘基文・事務総長には、事務総長は各国の利害関係
から遠い所にいるという理念を、踏まえて行動してもらいたいと思います。

 国連事務総長は、中国の抗日戦勝行事というものに出席するべきで
はありません。
 






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