いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

参院選が終わって(1)・・・保守対革新という構図がなくなってしまいました。「革新」が消えました。

2013年07月24日 02時35分13秒 | 日記

 参議院選挙が終わりました。
 予想通りとはいえ、民主党は、歴史的な惨敗をしました。
 民主党は、もう、解党状態です。
 この先、分裂に向かうかもしれません。
 
 参院選のことを、何回か、書いておきます。

 今回の参院選で、まず、指摘したいのは、
 「保守」対「革新」
 という構図がどこかへ消えてしまったということです。

 日本の政治は、戦後長い間、保守と革新が対立するとい
う構図が続いてきました。
 具体的には、自民党 対 社会党 ということです。

 革新という言い方は、実は大変あいまいな言い方ですが、
ひとことでいえば、
 「自民党に対抗する勢力」
 「自民党政権という権力に立ち向かう勢力」
 ということでした。
 もっと簡単にいえば
 「反自民」
 ですね。

 「反自民」の一点ですから、幅は広い。
 正当派の社会主義を信奉する人や労働組合だけではな
く、市民運動をする人、平和運動をする人、もっといえば、
権力的なものに反発する人、権力を嫌う人、そういう人を
まるごとひっくるめたのが「革新」のイメージでした。
 大学の教授といえば革新ーーというイメージもありまし
た。
 
 政党でいえば、社会党が正当派の「革新」でした。
 
 一方で自民党は長い間、政権の座にありましたから、日
本においては、「政府」といえば自民党政府のことです。
 政府と自民党は、いつも、一体になっていました。

 ですから、「反自民」は、実のところ、「反政府」でもあ
ったのです。
自民党とか政府は「権力」を持ったものとしてとらえら
れ、「権力」を市民の手に取り戻すことが「革新」という
イメージでとらえられていました。

 ですから、選挙で、「反自民」の有権者は、基本的には、
社会党に投票していました。
 社会党が、長い間、「革新」の受け皿だったわけです。

 社会党は、政党の流れでいえば、福島瑞穂さんの社民党
が、本来の社会党です。

 しかし、社民党は小さな党になってしまいました。

 代わって、「革新」として、反自民、反政府の政党とし
て立ち現れたのが、民主党です。

 民主党は、かつての社会党の役割を引き受け、反自民、
反政府、あるいは、反権力の受け皿となっていました。

 それだけに、2009年の夏、あの政権交代で、民主党
が政権についたときは、大きな大きな期待がかけられたの
です。

 ところが、3年半の政権の間に、民主党は、無様な姿を
さらけだしてしまいました。

 そうして、この大惨敗です。

 「反自民」の受け皿は、あっけなく、砕け散ってしまい
ました。
 「反自民」は「革新」でしたから、それとともに、「革
新」も、どこかに消えてしまったわけです。

 「革新」が消えた日本というのは、もしかすると、戦後
初めてかもしれません。

                (続く)




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1 コメント

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ベースには人間観の違いが・・・ (N.O.)
2013-07-24 18:19:16
そうですか。革新イコール反自民の受け皿という観点から見れば、極右政党の維新の会も革新政党だということになってしまうのですね。
それは、どちらかといえば最近のジャーナリストの人たちの考え方ではないですか。政権交代が現実のものになったので、「考え方が違っていても、とりあえず敵の敵は味方ということでまとまっておこう」という考え方が強くなったのでは。
以前はもっと各党のポリシーがはっきりしており、革新政党といえば左寄りでした。その逆が保守反動だったのではないですか。それぞれ人間観や世界観が違っており、理想とする社会の姿も違っていました。
例えば、自民党は戦前の指導層の考えが色濃く残っており、憲法で保証された基本的人権や戦争放棄の考えを敵視していますね。社会党や共産党は逆に憲法擁護でその理念を現実の社会に取り入れようと提唱していました。現実には政争の道具に使った部分もあると思いますが、だからといってベースになるポリシーを忘れてはいけないと思いますね。今回の選挙で共産党が躍進したのも、単なる政権狙いではなく党の人間観、世界観と合致した主張があったからではないですか。でなければ、他の「野党」にもっと多くの票が流れたと思います。社民党は世代交代したほうがいいですね。
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