日本経済の二本柱といえば、自動車と電機でした。
その電機が、いま、大変なことになっています。
東芝が、テレビの国内生産を中止することを決めました。
シャープは台湾の電機メーカーに支援を仰ぎました。
横綱級の二社であるパナソニックとソニーが、有機EL
テレビで提携することを決めました。
日立は、もうすでに、テレビとパソコンから撤退してい
ます。
半導体に目を移せば、日本で唯一、メモリーを生産して
いたエルピーダが倒産状態になり、アメリカの半導体メー
カーに買収されることになりました。
電機は、つい最近までは、日本が世界をリードし、ある
いは、席巻していたのです。
その電機各社が、相次いで、つまずいています。
これは、一時的なつまづきではなく、構造変化に伴う全
面的な衰退です。
これは、企業経営の話にとどまるものではありません。
電機は、自動車とともに、日本経済を支える二本柱のひ
とつです。
電機の衰退は、すなわち、日本経済の衰退ともなります。
これにどう対応するのか。
それは、本来、野田首相、民主党政権にとって、緊急の
課題です。
政府として、なにかできることはあるのか。
なにができるのか。
企業経営の問題として見過ごしてしまっていいのか。
なにか、政府として、公的に援助できることはあるので
はないか。
依然としてデフレから脱却できず、長い不況に苦しむ日
本にとって、電機産業をどうするのか、どう再建するのか
は、実際のところ、緊急課題です。
それなのに、野田首相は、
「消費税率の引き上げに政治生命を賭ける」
と言うのです。
それも、まことに、無表情な顔で。
どうかしているでしょう。
いま、消費税は5%です。
仮にこれを引き上げて、消費税の税収が増えたとしまし
ょう。
しかし、電機各社は巨額な赤字に沈んでいます。
ということは、電機各社が払ってきた税金は、これから
は、入ってこないことになります。
消費税を増税しても、その増収分は、
電機各社の支払う税金(法人税など)の減少分で、
相当程度、相殺されてしまいます。
政治生命をかけて消費税を増税しても、
一方で、電機産業が衰退してしまったら、
結局のところ、なんにもなりません。
さらにまた、消費税が上がって、電機製品の売れ行きが
落ちたら、それはまた、新たなダメージとなります。
野田首相が、いま、政治生命を賭けるのは、消費税の増
税などでは、絶対に、ありません。
いま、日本の首相が政治生命を賭けるのは、
まず、なによりも、原発事故を含む東日本大震災からの
復興です。
そして、衰退に向かう電機産業の再建です。
野田首相は、なにか、完全に勘違いしています。
最近の野田首相を見ていると、不気味なぐらい無表情で
す。顔の動きがありません。能面のようです。
この顔は、そう、マインド・コントロールされている人
の顔のように見えます。
消費税を増税しなくてはいけないというマインド・コン
トロールを受けているように見えます。
2009年の夏、歴史的な政権交代を実現させたとき、
「消費税の増税に政治生命をかける」と言う首相の出現を、
国民は、想像もしていなかったでしょう。
消費税増税で不毛な与野党対立をしている間に、日本の
電機産業は、衰退に向かいます。
それは、日本経済の衰退を意味します。
野田首相は、どうすれば、目を覚ますのでしょう。
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